[管理番号:12684]
性別:女性
年齢:44
病名:
症状:
投稿日:2025年04月30日
田澤先生こんにちは。乳がんと診断される前から、よく読ませて頂いておりましたが、そんな私がこの度乳がんと診断されました。
今のところステージ0の可能性が高いとは言われていますが、内容に珍しい点もあり、私はもちろんですが、この質問を命綱のように読んでいる読者の方にも参考になれば幸いです。
昨年6 月、毎年の検診で乳頭近くに石灰化(5個程度)を発見。エコーには所見なし。
心配性なこともあり念の為MRI→まったく異常なしで、経過観察
11月 経過観察のため検査
その石灰化はマンモ上変化なし。しかしその石灰化の場所のエコーに嚢胞?がうつり、その形が平べったく、また下に線が見えないので恐らく良性とのこと。しかし、
同じ側の乳房の別の場所(少し離れたところ)に別の石灰化を発見。エコーでは見えず。
しかし、軸の向きが乳腺と90℃反対なこともあり、(乳腺の向きと直角な軸)、おそらく良性→経過観察
今年4月、また経過観察で伺うと、初回の石灰化が微妙に増加。またエコーで8ミリのしこりが見えるので組織診
結果、非浸潤の癌が見つかり、来月手術です。
ちなみに11月に追加で見つかった石灰化は今回は変化無し。エコーでも見えず。
ここで、非浸潤が見つかってすぐにMRIをやりました。
そうしたところ、明らかな癌と思われるものが映りませんでした。
担当の先生はマンモよりエコーより、なんといってもMRIが一番正確だとおっしゃっており、普通はマンモにもエコーにも所見ないのにMRIでは映ったという例が多いのに、マンモが一番見やすい所見があるとは!なかなかないパターンだとのこと。
もちろん生検で場所は分かってるので、ここに癌があるはずだから、ではMRIのここのなんかちょっと三角っぽい白いところが癌なんだと思うけど、もしMRIだけなら癌だと分からないとのことでした。
通っている病院は年間手術数400を超える、県内で一番の症例数の有名病院で、主治医はかなり経験豊富な院長です。
①その先生が、これでMRI写らない、とはと驚くほど、珍しいことなのでしょうか?
②なんで、そんなことになるのですか?と聞いたら、やはりできたばかりの早期中の早期だからだと思う(エコーで縦長でなく平べったく写り、下に線も出ない、組織診もステージ0、MRIにもほぼ写らない)
やはり、なかなかここまで早く見つけられないほど、早期中の早期では?との見解でしたが、田澤先生はとうお考えになりますか?
もちろん部分摘出で対応可能だが、追加で後ででてきた方の石灰化も、実は多発しているもので、こちらも癌の可能性も捨てきらないから(MRIでは初見なしだが)、組織診したとこだけを取る、もしくはそちら(追加ででてきた石灰化)も含めて1/4ほど取るという選択肢と、さらにまだ見えないだけで全体にあるかもしれないので全摘もある。
選んで下さいとのこと。
とりあえず1/4の部分にするも返答しましたが、全摘と迷っています。
③温存+放射線と全摘に生存率に差がないというのは分かっていますが、それは再発も同じく非浸潤で見つかり対処できた場合のみではないのてすか?
非浸潤の人の再発は半分浸潤と見ました。
再発が浸潤なら、生存率に差がないのは納得がいきません。あくまで再発も非浸潤で、そこで全摘してしまった場合でないと、最初から全摘と同じになるわけないとしか思えないのですが…
ちなみに
また、生存率は同じでも、それは机上の話であって、再発したというショックや、それ以降の再発に対する治療の大変さなど、生活の質は、最初から全摘で再発しなかった人と同じとは思えないのですが、どうでしょうか?(あくまで死なないというところの数値だけが同じなだけですよね)
また、最近の症例では、むしろ温存と放射線治療の方が全摘より10年生存率が良いという、京都の有名な病院のそこの病院のデータも見たのですが、そんなことありますか?
生存率が同じなら、部分切除と思ってましたが、ほんの1パーセントても全摘の方が生きられるのなら、全摘に抵抗はありません。
ほんとに同じですか?
それとも、まさかの温存と放射線の方がいい予後なのですか?
数字で言うとステージ0の全摘の局所再発率、部分+放射線の再発率、どの程度違いますか?
局所で再発した場合、どの程度また非浸潤で見つかりますか?
局所再発が非浸潤で見つからなかった場合、そこからステージ1での治療になるわけですよね?これで、全摘と同じ生存率なのですか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
ここで、非浸潤が見つかってすぐにMRIをやりました。
そうしたところ、明らかな癌と思われるものが映りませんでした。
⇒別に珍しくもありませんよ。
どうも、その医師も含め「MRI信者」が多いようですね。
あくまでもMRIは画像診断の一つであり、非浸潤癌(特にマンモでの石灰化で見つかるケース)ではMRIで所見がないのは「至極、普通」です。★
担当の先生はマンモよりエコーより、なんといってもMRIが一番正確だとおっしゃっており
⇒典型的な「MRI信者」ですね。
この機会に考えを改めては如何でしょうか?
普通はマンモにもエコーにも所見ないのにMRIでは映ったという例が多いのに、マンモが一番見やすい所見があるとは!なかなかないパターン
⇒上記★参照
もちろん生検で場所は分かってるので、ここに癌があるはずだから、ではMRIのここのなんかちょっと三角っぽい白いところが癌なんだと思うけど、もしMRIだけなら癌だと分からないとのことでした。
⇒当たり前!
MRIは診断目的ではありません!
通っている病院は年間手術数400を超える、県内で一番の症例数の有名病院で、主治医はかなり経験豊富な院長です。
⇒こういうのも何ですが…
何人がかりで400件?
1人で250症例以上年間手術している私には、ちょっと説得力に欠けます。(別に私を説得しようというつもりではないことは承知の上です。あくまでも冗談として聞き流してください)
①その先生が、これでMRI写らない、とはと驚くほど、珍しいことなのでしょうか?
⇒全く普通です。
寧ろ、「MRIで写らない癌が珍しい」と言っているのは「裏返せば」MRIで写るようになるまでは診断ができないということを露呈しています。
最近私は、早期診断ができることを「患者さん側に」啓蒙したいとYOUTUBEしています。
このような「MRIにうつるまでは癌と診断できない(今回は、逆に言えば診断できてラッキーということ)」医師には何を言っても無駄。
患者さん側を啓蒙することが重要。
このQAを通して、再度確認しました。
本来は昨年6月にST-MMTが提案されなかった?ことこそ(私から見れば)問題の本質なのです。★★
②なんで、そんなことになるのですか?と聞いたら、やはりできたばかりの早期中の早期だからだと思う(エコーで縦長でなく平べったく写り、下に線も出ない、組織診もステージ0、MRIにもほぼ写らない)
やはり、なかなかここまで早く見つけられないほど、早期中の早期では?との見解でしたが、田澤先生はとうお考えになりますか?
⇒本来エコーでも(勿論MRIでは尚更)解らないうちに「石灰化だけの所見」で見つけるための「石灰化」ですよ。
私から見れば「昨年6月の時点で診断することこそ本物の早期」です。
もちろん部分摘出で対応可能だが、追加で後ででてきた方の石灰化も、実は多発しているもので、こちらも癌の可能性も捨てきらないから(MRIでは初見なしだが)、組織診したとこだけを取る、もしくはそちら(追加ででてきた石灰化)も含めて1/4ほど取るという選択肢と、さらにまだ見えないだけで全体にあるかもしれないので全摘もある。
選んで下さいとのこと。
とりあえず1/4の部分にするも返答しましたが、全摘と迷っています。
⇒それであれば「追加で後ででてきた方の石灰化」をST-MMTしては?
③温存+放射線と全摘に生存率に差がないというのは分かっていますが、それは再発も同じく非浸潤で見つかり対処できた場合のみではないのてすか?
非浸潤の人の再発は半分浸潤と見ました。
⇒それは施設によるので一概に言えません。
再発が浸潤なら、生存率に差がないのは納得がいきません。あくまで再発も非浸潤で、そこで全摘してしまった場合でないと、最初から全摘と同じになるわけないとしか思えないのですが…
⇒質問者は「統計の罠」に嵌っています。
そもそも「再発率が低い」なかでは(有意)差がつかない=生存率に差が無いとなるのです。
また、生存率は同じでも、それは机上の話であって、再発したというショックや、それ以降の再発に対する治療の大変さなど、生活の質は、最初から全摘で再発しなかった人と同じとは思えないのですが、どうでしょうか?(あくまで死なないというところの数値だけが同じなだけですよね)
⇒それは「通知に現れない程、かなり低い確率で起こる(だから、生存率に差が無いのです)」ことを前提とすれば、その通りです。
また、最近の症例では、むしろ温存と放射線治療の方が全摘より10年生存率が良いという、京都の有名な病院のそこの病院のデータも見たのですが、そんなことありますか?
⇒一つの施設での話と軽く流しましょう。
生存率が同じなら、部分切除と思ってましたが、ほんの1パーセントても全摘の方が生きられるのなら、全摘に抵抗はありません。
ほんとに同じですか?
⇒上記通りに
非浸潤癌ならば(無論、手術標本で確定した場合ですが)全摘で「根治」となるので「全摘に抵抗はない」のであれば、部分切除を勧める理由がありません。
数字で言うとステージ0の全摘の局所再発率、部分+放射線の再発率、どの程度違いますか?
局所で再発した場合、どの程度また非浸潤で見つかりますか?
局所再発が非浸潤で見つからなかった場合、そこからステージ1での治療になるわけですよね?これで、全摘と同じ生存率なのですか?
⇒理解しましたか?
生存率に差がつかないということは、(そもそも)そのような「非浸潤癌で見つかったのに再発して亡くなる」という絶対数が非常に少ないのです。
数字のマジックではなく、最も正しい事は「非浸潤癌で全摘は根治」だけを理解すればいいのです。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/5/27
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