[管理番号:12453]
性別:女性
年齢:52歳
病名:浸潤性乳がん、子宮筋腫
症状:
投稿日:2025年02月02日
初めまして。3年前(49歳)で右乳房部分切除手術を受けました。術後3年が経過し、改めて病理検査結果を見返したところ、術後の治療や術前から患ってる婦人科疾患(子宮筋腫)について疑問に思うとことがありご質問させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
乳がんの手術後検査結果は以下の通りです。
【病理結果】
●浸潤がん●腫瘍の大きさ24mm●リンパ節転移なし●断端陰性(5㎜以上)●ホルモン受容体:ER陽性、PgR陽性●her2たんぱく2(FISH増幅なし)●Ki-67 6.2%
病期:T2 N0 M0 StageⅡA、今後の治療:放射線治療、ホルモン療法
【病理組織診結果】
右乳房部分切除、センチネルリンパ節生検検体
組織学的には、浸潤性乳管癌を認める。高度の核異型、低頻度の核分裂像を示す腫瘍細胞が篩状、管状に浸潤する。背景に DCIS あり。主腫瘍の浸潤径は2.4×2.3×1.1cmである。主腫瘍より乳頭外側に 0.3×0.3cm大の浸潤巣が別に存在する。乳房内転移巣か、DCISを介した同時多発病変かは判断が難しい。また、一部(標本5)にて、生検癜痕に沿って微小な異型上皮巣の散在が観察され、生検に伴う腫瘍の tract seeding の可能性を疑う。
DCISや浸潤癌成分に関しては、断端陰性である。背景乳線は腺症や乳管上皮過形成、
アポクリン化生など乳腺症の像を呈する。乳腺症を背景にFEAやADH 相当の変化とともに ALH (atypical lobular hyerplasia)の散在をみる。
標本8においては 0.4×0.2cmの範囲でLCIS (Iobular carcinoma in situ)を認める。一部の外側断端(標本 5)にてALHの露出を認める。また、迅速標本では明らかではなかったが、迅速戻し永久標本の外側断端にもALHを認める。なお、標本 1の裏面切片(乳頭側断端に近い切片)にも ALH が観察される。慎重な folow-upを検討されたい。
センチネルリンパ節に腫瘍の転移を認めない。
SLN1: 0/1, SLN2: 0/1, SLN3: 0/1, SLN4: 0/1
このような所見でした。
先生の率直なご意見をよろしくお願いいたします。
①乳がんQ&A[管理番号:556]「LCISと浸潤性乳管ガン」を拝見しました。質問者様は、LCIS→浸潤性乳管癌との診断でしたが、私のように、浸潤性乳管癌→切除部分からLCISや、ALHが観察された場合、断端は陰性でしたが、術後の治療方針としては、放射線治療ではなく、追加で全摘手術を行った方が良かったのではないかと思うのですが、田澤先生でしたら術後にこの結果を受けた場合、どのような治療方針とされますでしょうか。
②術後は、放射線治療、ホルモン療法(タモキシフェン10年服用予定、リュープリン注射2年(完了)でした。オンコタイプDX検査は受けていないのですが、術後ホルモン療法の患者で再発リスクが高い人は、TS1が服用できると知りました。
病理検査結果から私はTS1適用患者ではないかと推測されるのですが、今からTS1を服用したとして、効果はあるのでしょうか。
③40歳頃から子宮筋腫を患っており、乳がん手術後、リュープリン注射(2年間)
により3年間生理が止まっていましたが、最近生理が復活し、出血が術前より酷く貧血にもなるため、婦人科の先生に相談し、今年5月に卵管と子宮の摘出手術を予定しています。婦人科の先生から「卵巣は残すか摘出するか考えておいてください」と言われています。乳がん再発リスクの観点から、卵巣は摘出した方が良いでしょうか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私は術後補助療法として決してTS-1を勧めない」ことは「お知らせ」で強調しているつもりですが…(なかなか浸透せずに、このような質問が繰り返されることは何とも悲しい事です)★
①乳がんQ&A[管理番号:556]「LCISと浸潤性乳管ガン」を拝見しました。質問者様は、LCIS→浸潤性乳管癌との診断でしたが、私のように、浸潤性乳管癌→切除部分からLCISや、ALHが観察された場合、断端は陰性でしたが、術後の治療方針としては、放射線治療ではなく、追加で全摘手術を行った方が良かったのではないかと思うのですが、田澤先生でしたら術後にこの結果を受けた場合、どのような治療方針とされますでしょうか。
⇒メール内容では断端陽性はあくまでも「ALH]であり「LCISの露出はない」
ので追加切除を積極的には勧めません。
②術後は、放射線治療、ホルモン療法(タモキシフェン10年服用予定、リュープリン注射2年(完了)でした。オンコタイプDX検査は受けていないのですが、術後ホルモン療法の患者で再発リスクが高い人は、TS1が服用できると知りました。
病理検査結果から私はTS1適用患者ではないかと推測されるのですが、今からTS1を服用したとして、効果はあるのでしょうか。
⇒上記★参照
③40歳頃から子宮筋腫を患っており、乳がん手術後、リュープリン注射(2年間)
により3年間生理が止まっていましたが、最近生理が復活し、出血が術前より酷く貧血にもなるため、婦人科の先生に相談し、今年5月に卵管と子宮の摘出手術を予定しています。婦人科の先生から「卵巣は残すか摘出するか考えておいてください」と言われています。乳がん再発リスクの観点から、卵巣は摘出した方が良いでしょうか。
⇒婦人科の先生は「しばしば」そのような言い方をしますが…
それは不要です。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
(回答が公開されてから2週間後)
2025/2/21
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