[管理番号:687]
性別:女性
年齢:53歳
初めまして 先生に詳しい説明をお聞かせ願いたく メールをさせていただきます。
5年ほど前 マンモ後右胸に石灰ありとの事で 病院にてエコー実施:異常なし そ
の際 毎年マンモを受けるようにの指示で 受けておりました。昨年も異常なしとの
結果を頂いておりました。
今年4月末にしこりを感じ病院へ行ったところ そこでもマンモでは異常みられず
エコーにてMK疑い(しこり大きさ15.8mm)と診断されました。その後 セカンド
オピニオンにて検査をしていただきひょうたん型のしこりで27.5mmステージ2Aとに
診断。その後とんとん拍子に検査等をしていただき 術前2週間前のCT(造影)・
PETでも遠隔転移やリンパ転移みられないとの事で 安心しておりました。
術後(左乳房全摘)病理結果にて次のように報告され 頭の中が真っ白に。Drより
淡々と説明されました。今後の治療方針については ホルモン治療+放射線治療 そ
こで結果が得なければ抗がん剤治療との説明でした。
結果は次の通りでした。
左乳癌 浸潤性乳管癌
TNM病期分類 ⅢA期
pT2、pN2a、cM0、 pStageⅢA
リンパ節転移個数 4個(小:3 大:1)
浸潤径25mm
核グレード1、組織学的悪性度Ⅱ
リンパ管侵襲目立つ ly3
静脈侵襲あり v2
ER100% PR90% HER2(2+)
Ki67 12%(低い)
HER2最終的には陰性の判断(FISH法で陰性でした)
そこで 何点かご質問です。
1.ステージ3Aになった理由はリンパ節転移個数ということでしょうか?
それとも脇の下or胸骨の傍のリンパ節(これについては聞いていなかったと思いますが)
2.90%の専門のDrは抗がん剤を推奨するとの記載をみましたが 上記の結果により抗がん剤治療は放射線の結果次第と言われている理由はなんでしょう?(抗がん剤を施行するとなると きつい副作用がまっているのでしょう?)
3.再発率・転移の確率は高いのでしょうか(確認する事も恐ろしいですが)?
4.マンモ・CT・PETとことごとく 裏切られているような気がします。今後、再発・転移があった場合 画像診断により見つけられるか大変不安です。
ここ1週間どうしようもない不安に落ちつぶされそうです。お忙しい中大変申し訳ありませんが宜しくお願いします。
もちろん 主治医のDrを信頼しています。聞けなかった私のミスでもあります。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
術前診断 cT2(27.5mm), cN0, cStageⅡA ⇒ 術後病理による最終診断 pT2(25mm),
pN2(4個), pStageⅢA
♯c:clinical(画像による臨床診断)p:pathological(病理診断)
術前診断で(画像上)リンパ節転移の所見がはっきりしない事もあります。(CTやUS)
★だからといって、最初から「全て、リンパ節転移があるかもしれない」としてしますと、「臨床診断の意味」が無くなってしますのです。
回答
「今後の治療方針については ホルモン治療+放射線治療 そこで結果が得なければ抗がん剤治療との説明」
⇒「結果が得なければ」とは「どういう結果」でしょうか?
全く意味不明です。
術後補助療法は「あくまでも予防」なので、「結果など目に見える筈が無い」ので
すが…
「ステージ3Aになった理由はリンパ節転移個数ということでしょうか?」
⇒リンパ節転移の個数です。
リンパ節転移0個:pN0
リンパ節転移1~3個:pN1
リンパ節転移4~9個:pN2
リンパ節転移10個以上:pN3
となります。
(pT2なので)pN0であればpStageⅡA, pN1であればpStageⅡB, pN2であればpStage
ⅢA, pN3であればpStageⅢCとなるのです。
「90%の専門のDrは抗がん剤を推奨するとの記載をみました」
⇒これはSt.Gallen 2015のvotingの結果だと思います。(luminal Aでリンパ節転移4
個以上だと91%の専門家が化学療法をするとvotingしています)
Luminal Aは化学療法の効果は限定的だとは思ってはいますが、やはりこの数字は
無視できないと思います。
「抗がん剤治療は放射線の結果次第と言われている理由はなんでしょう?」
⇒全く意味不明です。
術後の補助療法には「そもそも効果の指標」は存在しません。
「抗がん剤を施行するとなると きつい副作用がまっているのでしょう?」
⇒抗がん剤のメニュー(レジメン)にもよりますが…
補助療法での抗がん剤は完遂できるレベルだと思います。(場合によっては減量投与も必要かもしれませんが…)
「再発率・転移の確率は高いのでしょうか(確認する事も恐ろしいですが)?」
⇒10年再発率(転移再発は同じものです)は20%となります。(Adjuvant!Onlineを
用いると)
この数字は「提案された治療を全て行った」上での数字です。
治療を頑張りましょう。
「今後 再発・転移があった場合 画像診断により見つけられるか大変不安です。」
⇒実際の「再発転移」診断は「定期的な画像診断」ではありません。
通常「定期的な腫瘍マーカー採血」を行って、「異常を認めたら、CTや骨シンチ、PETなどを行う」事となります。
その点で神経質になる必要はありません。
質問者様から 【感想2】
先日は お忙しいところ 回答をしていただき 大変感謝しております。
返信が来たときには涙が出そうでした。
恥ずかしながら 私の思い込みから 変な質問(放射線後の結果により抗がん剤治療を考える)になり 申し訳ありませんでした。
先生の回答を受け、自分の癌について納得せず治療に入り、後に後悔はしたくないと意を決して担当医に再確認しました。
「周囲からリンパ節転移が4個あったら まずは化学療法が先ではないか!
このまま 放射線治療をやって良いのでしょうか」
「あなたは大変ホルモン療法が効くタイプです。それなのに薬を6か月も止めて、効くかどうかわからない化学療法を行う意味ないでしょ!
とにかく 放射線治療をきちんと受けなさい」
化学療法は後で施行しても変わりないとのことでした。
きっと当日も同様の事 お話いただいたはずなのですが、気が動転して記憶にないのです。
先生も忙しいこともあり、電話でのやり取りでした。聞きたいことの2割も聞けなかったと思いますが、納得できる回答と叱咤激励を頂き、今は迷わず治療に専念し始めました。8割は次回来院時に再度確認させていただこうと思ってます
みなさんの悩んでいる質問・回答を自分に置き換えながら参考にし、心の支えとして 今後も拝見させていただきたいと思います。
質問者様から 【質問3 ホルモン治療と抗がん剤治療】
こんばんは また 先生のご意見を聞かせていただきたくメールさせていただきます。
先日は 先生より返信を頂き 落着きを取り戻し 現在放射線治療に専念しております。
そこで 今後の治療につき 参考にしたいと情報を得てたところ、気になった点があり
ご質問をさせてください。
現在 ホルモン治療として タモキシフェン:1錠/1日投与してますが、閉経後(10年前 子宮筋腫により子宮全摘術と左卵巣摘出をしております)はアロマターゼ阻害薬が適切ではないかと不安になってきました。
薬剤師の方にも 上記の件 お話させていただいてます。
それでも タモキシフェン投与とあるのは 別な意味があるのでしょうか
次回(9/2 放射線治療終了後)来院時 採血と胸x-pを予定されています。
この結果から 何が得られるのでしょうか
抗がん剤治療について 今後検討すべき時期がくるのかとはらはらしてます。とは言え、後に後悔しないように 必要であれば 受ける覚悟でいます。先生的には私のようなタイプには抗がん剤を推奨しますか
お忙しいところ 大変申し訳ありません
回答をいただければ 幸いです
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
放射線治療中ですね。
子宮摘出を行っている場合の「卵巣機能の低下=閉経の判断」は「子宮が無いので生理の有無により判断できない」ので少し難しいのです。
「子宮が無い=生理は(当然)ない」ことは「卵巣機能の低下=閉経」とは無関係であることに注意が必要です。
回答
「タモキシフェン投与とあるのは 別な意味があるのでしょうか」
⇒これは質問者の年齢(54歳)から右卵巣機能がまだ(完全には)停止していない。との判断だと思います。
子宮が無いので、卵巣機能については採血(エストラジオール)によって確認します。
もしかして採血していないですか?
採血していないとすれば、「54歳だと、完全な閉経ではないだろう」(生理が止まっても1年位はタモキシフェンの方が無難です)という判断でしょう。
★1年位タモキシフェンを内服して「エストラジオールが閉経値であることを確認」してからアロマターゼ阻害剤へ変更の方が無難です。
「次回(9/2 放射線治療終了後)来院時 採血と胸x-pを予定 この結果から 何が得られるのでしょうか」
⇒何も得られません。
ただ「正常である事」を確認するだけです。
「先生的には私のようなタイプには抗がん剤を推奨しますか」
⇒推奨します。
ルミナールAですが「リンパ節転移4個」なのでSt.Gallen 2015でのvotingの結果を考慮し、抗がん剤を推奨します。
化学療法による(再発に対する)上乗せ効果は11%位あります。
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |