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ルミナールタイプB リンパ節転移ありの治療について

[管理番号:9654]
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉ガン
症状:
投稿日:2021年8月21日

田澤先生はじめまして。
こちらのサイトで勉強させていただいております。

6月に右乳房に浸潤性小葉癌、ステージ2Aとの診断で7月に全摘手術を受けました。
まだ全ての病理検査の結果は出ていませんが、田澤先生のご意見を伺いたく、質問させていただきます。

以下、医師から聞いた内容をメモしたものになります。

腫瘍径 20ミリ 浸潤径40ミリ
ホルモン受容体陽性 90%
HER2 陰性
KI67 30ー35%
ルミナールタイプB

術中にリンパ節転移が見つかり、標準的に取り除きました、とのことで、腋窩リンパ節郭清しました。
病理検査の結果、それ以上の転移はリンパ節になかったようだが、乳房全体をスライスした断面の検査結果がまだ出ていない為、他のリンパ節への転移はまだ不明です。

① 抗がん剤には抵抗があり、場合によってはオンコタイプDXを
受けようと思っていました。
リンパ節への転移が1つであれば、対象であるとの理解ですが、それ以上であれば受けるまでもなく、抗がん剤を使用した方が再発は低くなるということでしょうか? また医師からはKI67が30ー35%で増殖スピードが早いので…と言われましたが、この数値はグレーゾーンとの理解でよろしいでしょうか?

②全ての病理検査の結果が出てからになるが、治療方針として、AC療法と言われました。
あとは、FEC療法を合わせるかどうか、と。
ルミナールタイプBであれば田澤先生はTC療法とおっしゃっていたと思います。
病院の治療基準として、リンパ節転移があればAC、なければTCとなっているようです。
田澤先生はどう思われますか?
またホルモン療法についてですが、今年4月に子宮筋腫の為子宮を全摘しています。
それまで一定の周期で生理がきていたことを
考えると、卵巣からのホルモンはまだ出ていると思うのですが、
その際ホルモン剤は何を選ばれますか?閉経後の扱いになりますか?

③手術をしていない左乳房の乳頭がただれて下着に浸出液が付着します。
術前にエコーやマンモで検査していますが、わずかな病変が見られるがフォローアップしていく、となっていました。
医師からは一年後の検査でよい、との回答でしたが、シコリができないタイプの乳がんもあると聞きますので、不安です。
現時点でできる検査はあるのでしょうか?術前検査から3ヶ月しか経っていないので、不要でしょうか?

以上、ご回答を宜しくお願い致します。

 

田澤先生からの回答

こんにちは田澤です。

「① 抗がん剤には抵抗があり、場合によってはオンコタイプDXを受けようと思っていました。
リンパ節への転移が1つであれば、対象であるとの理解」

⇒その通り

「それ以上であれば受けるまでもなく」
⇒4個以上の場合には、(現時点では)OncotypeDXは参考程度(つまりlow riskでも抗がん剤を勧めないというエビデンスに乏しい)と思います。

「KI67が30ー35%で増殖スピードが早いの
で…と言われましたが、この数値はグレーゾーンとの理解でよろしいでしょうか?」

⇒その通り、グレーゾーンです。

「②全ての病理検査の結果が出てからになるが、治療方針として、AC療法と言われました。
あとは、FEC療法を合わせるかどうか、と。
ルミナールタイプBであれば田澤先生はTC療法とおっしゃっていたと思います。
病院の治療基準として、リンパ節転移が
あればAC、なければTCとなっているようです。
田澤先生はどう思われますか?」

⇒私なら(抗がん剤するなら)迷うことなくTCです。

「またホルモン療法についてですが、今年4月に子宮筋腫の為子宮を全摘しています。
それまで一定の周期で生理がきていたことを
考えると、卵巣からのホルモンはまだ出ていると思う」

⇒正しい。

「その際ホルモン剤は何を選ばれますか?閉経後の扱いになりますか?」
⇒閉経前の扱いとなります。
 タモキシフェンとなります。(OncotypeDXした場合にはLH-RHagonist併用が推奨されるケースがあります)
 ★ 今日、後悔したばかりの「今週のコラム 303回」をご参照のこと

「③手術をしていない左乳房の乳頭がただれて下着に浸出液が付着します。
術前にエコーやマンモで検査していますが、わずかな病変が見られるがフォローアップしていく、となっていました。
医師からは一年後の検査でよい、との回答でしたが、シコリができないタイプの乳がんもあると聞きますので、不安です。
現時点でできる検査はあるのでしょうか?」

⇒皮膚生検です。

「術前検査から3ヶ月しか経っていないので、不要でしょうか?」
⇒是非、行いましょう。

 
 


 

質問者様から 【結果2 】

ルミナールBリンパ節転移ありの治療について
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉ガン
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

9654で質問させていただいた者です。田澤先生、お忙しい中ご回答いただきありがとうございます。次回の外来が来週となっており、術後病理検査の結果を聞くまで1.5ヶ月と時間がかかっているのでその間にできることはないかと勉強中です。不安な毎日ですがこのような質問の場を設けていただけること、感謝しております。次回外来で担当医に皮膚生検について聞いてみたいと思います。

<Q&A結果>

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

浸潤性小葉ガン ルミナールタイプB リンパ節転移ありの治療について
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉ガン
症状:右乳房全摘手術済み、左乳頭滲出液と痒み
投稿日:2021年8月28日

田澤先生、こんにちは。

先日はお忙しい中ご回答いただきありがとうございます。

次回外来は来週となっており、その際にオンコタイプのことを担当医に改めて相談しようと思っているのですが、以前聞いた時には、うちの病院ではやっていないし、過去にやった人もいない、と言われました。

手術を受けた病院で、対応ができないとなると、対応出来る病院に転院しなければならないのでしょうか?手術を受けていない方の左胸、乳頭からの浸出液と痒みも気になります。
(血性の浸出液ではありません、黄色です。)パジェット病の疑いもあるのでしょうか?一度田澤先生に診てもらえたらと思うのですが、自宅から通うには2時間ほどかかります。
もし抗がん剤投与となった場合、通院出来るのか不安なのですが、そのような方はいらっしゃいますか?
田澤先生に診ていただく場合、現在の担当医に紹介状を書いてもらい予約すればいいのでしょうか?
病理検査の結果が来週揃うと思うのですが、手術が終わってから1.5ヶ月経ちます。
これからオンコタイプを受けるとして、結果が出るまで無治療でいることにも不安を感じます。

アドバイスをいただけますでしょうか?よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「手術を受けた病院で、対応ができないとなると、対応出来る病院に転院しなければならないのでしょうか?」
⇒違います。

複数の病院に通院することは全く問題ありません。
実際に以下のケースがありました。

地元の病院で通院したまま、当院を受診され(これで当院の患者さんにもなります)
 地元の病院からプレパラートの提供を受けて当院からオンコタイプをオーダーする。
その結果を受けて、また地元の病院で診療継続する。

「左胸、乳頭からの浸出液と痒みも気になります。
(血性の浸出液ではありません、黄色です。)パジェット病の疑いもあるのでしょうか?」

⇒もしかして「乳頭ではなく」乳輪では?
 
 Pagetは(乳輪からではなく)必ず「乳頭から」できます。
 乳輪の爛れと痒みはPagetではなく、「ただの」乳輪部皮膚炎ですよ。(痒みと黄色い浸出液という表現は皮膚炎のようですね)

 是非、『今週のコラム 5回目 「最初は乳頭なのです」』をご参照ください。

「通うには2時間ほどかかります。
もし抗がん剤投与となった場合、通院出来るのか不安なのですが、そのような方はいらっしゃいますか?」

⇒飛行機で九州から通った人もいますし、新幹線で青森から通った人もいます。

「アドバイスをいただけますでしょうか?」
⇒一度受診してOncotypeDXだけ当院からオーダーしたらいいと思いますよ
(地元に通院したまま)

 
 

 

質問者様から 【質問4 】

ルミナールタイプB 抗がん剤治療について
性別:女性
年齢:51
病名:浸潤性小葉癌
症状:
投稿日:2021年9月7日

田澤先生、いつもありがとうございます。

オンコタイプDXについて、先週の外来時に担当医と相談しました。
うちの病院でできるか、確認する、とのことでまた来週の受診でどうなるかの相談をすることになりました。

病理検査の結果が揃いました。

浸潤性小葉ガン
サイズ 17x19x11mm 拡がり40mm
脈管浸潤 あり(軽度)
核グレード 2
組織学的悪制度 グレードII
KI67 30~35%
エストロゲンレセプター 90%以上陽性
プロゲステロンレセプター 90%以上陽性
HER2判定 スコア1+
リンパ節転移 あり 1/6
サブタイプ ルミナールB

担当医からは、推奨されるのはFEC療法4コース+DOC療法4コース(3~4週毎投与8コース)と言われました。
コロナ渦で家族と同居もしているので8ヶ月も感染症対策に気を使いながら過ごすのかと思うと気が重くなりました。
田澤先生はルミナールタイプBで抗がん剤をするならTCとおっしゃっていました。
病理検査の結果をご覧になって、それは変わらないでしょうか?乳がんは再発転移したら確実に癌死が待っている。
それを防ぐ為の抗がん剤です。
リンパ節転移もあったのでしっかりやった方がいいと言われ、先々の不安と、8ヶ月も抗がん剤投与に耐えられるのかの不安でどうしたら良いのかわかりません。
まずはオンコタイプDXとは思っているのですが、結果グレーゾーンだった時の心構えとして、再度先生のご意見を伺いたく、よろしくお願い致します。

 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは田澤です。

「まずはオンコタイプDXとは思っている」
⇒その通り。
 OncotypeDXするのであれば、その結果が出てから考えましょう。

「結果グレーゾーンだった時の心構え」
⇒グレーゾーンなどありません。
 是非『今週のコラム 269回目 Rx PONDER (中間解析) その解釈』を熟読ください。

 
 


 

質問者様から 【結果5 】

浸潤性小葉ガン リンパ節転移あり ルミナールタイプB 術後の治療について
性別:女性
年齢:51歳
病名:浸潤性小葉ガン
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

田澤先生、いつもありがとうございます。
先週の外来受診で、やはりかかりつけの病院ではオンコタイプの検査についての進捗はなく、紹介状をいただいて江戸川病院を受診させて頂くことにしました。その際にはまたお世話になりますが、直接お話が伺えるので安心しています。宜しくお願い致します。

<Q&A結果>