[管理番号:493]
性別:女性
年齢:43歳
2週間程前、お風呂上がりに左胸の下のあたりに、しこりがあることに気がつき、総合病院でエコーとマーモと検針?をし、細胞の一部を採取しました。
しこりは、自分で気づいた(直径1.5センチ位)の他に、それよりも小さいしこりが同じ左胸の外側もありました。
一週間後に検査結果がでて、どちらも癌細胞だと言われました。
その日のうちにMRI検査をし、一週間後にペット検査もする事になっています。
結果がわかるまで不安な日々が続いてます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
乳がんと診断されたのですね。
お気持ちお察しします。
しこりが「1.5センチ、それより小さい」ものであれば、「早期乳癌」です。心配ありません。
「多発」していても「進行とは関係ありません」
ただ、「MRI」で拡がりを確認して、「術式(温存か?切除か?)」を決める必要があります。
「PET検査」はあくまでも念の為のものであり、「1.5センチ程度の乳癌」では決して遠隔転移はありません。安心してください。
質問者様から 【質問2】
早速、お返事頂きありがとうございます。
昨日、病院で、PET検査をし、今後の手術の日程などを決めてきました。
左胸に、しこり2センチ大が二つ、脇の下のリンパ節が画像 ではれている。
浸潤性乳管癌であるということ、針検の結果、癌の悪性高いということ、ホルモン治療が適している事、ステージ2AかB、2つの場所等やその他のこと等踏まえると、乳房切除がいいということで、23日に手術する事ぬりました。
手術後、ホルモン治療、抗がん剤での、全身治療をする事、傷がきれいになったのち、乳房再建をしましょういう事です。
詳しく説明してくれ、私の意見もきいてくれましたが、納得できましたが、その場では、色々考える事かできず、私の判断は、間違っないでしょうか?
後、一番の気掛かりが、四年前まで、子供に授乳をしていたのですが、子供に、悪い影響はありませんか?
自分は、検査結果がはっきりし、癌と闘おうと、元気がでできました。
すぐ、お返事をいただける先生がいてくれて、ありがたいです。
お陰様で、落ち着けつて、検査、告知がうけられました。
子供の質問のこと、宜しくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
検査結果がでて、ある程度治療方針がきまりましたね。
状況の確認
「ホルモン治療、抗がん剤での、全身治療」
⇒この事からluminal Bタイプである事がわかります。ER+, PR+, HER2-, NG3(悪性度が高いという事より)
「2つの場所等やその他のこと等踏まえると、乳房切除がいい」
⇒多発腫瘍の場合には原則として「乳房切除の適応」となります。
ただ、「同一乳管系」であれば、温存も可能です。
回答
◎最終的に「乳房切除⇒抗がん剤+ホルモン療法」となりました。
「私の判断は、間違っないでしょうか?」
⇒正しいです。完璧です。
「四年前まで、子供に授乳をしていたのですが、子供に、悪い影響はありませんか?」
⇒大丈夫です。
全く影響ありません。
「検査結果がはっきりし、癌と闘おうと、元気がでできました」
⇒「解らない不安」よりも正面から立ち向かう方が、きっと頑張れる筈です。
頑張ってください。
質問者様から 【質問3 術後の全身治療について】
早速のお返事有り難う御座います。
子供への影響がないとわかり、とても安心しました。
前回の結果にも、書きましたがリンパ節の腫れは、転移の可能がたかいのでしょうか?
乳房切除の事を色々考えて、そちらまで考えが回らず、担当の先生に、質問できませんでした。手術ではどういう風になるのでしょうか?
後、術後の治療ですが(ホルモン治療と抗がん剤治療)私の場合、どういう流れで、どの位の期間になり、また、どんな副作用の心構えが必要ですか?
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
前回、画像診断と針生検の結果 「2cm大のしこりが2つ、luminal B」と診断された方ですね。
回答
「リンパ節の腫れは、転移の可能がたかいのでしょうか?」
⇒「転移」の場合と「反応性腫大」の場合があります。
残念ながら、「その画像を見ていない」ので、その「どちらの可能性が高いのか?」はコメントできません。
ただ、担当医は「リンパ節転移を念頭にいれて」そのような表現をしている可能性はあります。
「転移なのか、反応性腫大なのか?」迷う際には「センチネルリンパ節生検」を行います。
「手術ではどういう風になるのでしょうか?」
⇒担当医の判断によります。
「リンパ節転移の可能性が高い(N1)」と判断すれば、最初から「腋窩郭清」となりますし、「リンパ節は腫大しているが、転移でない可能性もある(N1?)」と判断すれば、まずは「センチネルリンパ節生検」を行います。(そこで転移陽性の判断なら、そのまま腋窩覚醒を行います)
「術後の治療ですが(ホルモン治療と抗がん剤治療)私の場合、どういう流れで、どの位の期間になり、また、どんな副作用の心構えが必要」
⇒順番は
①抗がん剤⇒②ホルモン治療(抗がん剤と同時に開始もあり)
①抗がん剤
TC療法(ドセタキセル+エンドキサン)なら(3週間に1回の点滴を4回:計3か月)
EC(ファルモルビシン+エンドキサン)+タキサン(ドセタキセル)なら(3週間に1回の点滴を8回:計6か月)
FEC(5Fu+ファルモルビシン+エンドキサン)なら(3週間に1回の点滴を6回:計4.5か月)
♯TCの可能性が高いと思います。(トリプルネガティブの場合にはEC+タキサンを選択することが多い)
○副作用は 食欲不振、吐き気、脱毛、口内炎、便秘、全身倦怠感など
②ホルモン療法
タモキシフェン 5年間(毎朝内服)
○副作用はのぼせ位
質問者様から 【質問4 手術を終えて…。】
6月24日に手術が終わり、間もなく退院の予定で。
手術は左 胸の2センチ以下のしこり2箇所の左胸全摘出と、左リンパ節の全摘出です。
手術後に心配していた、リンパ節摘出による左腕のむくみやしびれも今のところでていません。今後は、3週間後くらいに摘出した癌細胞等を検査した結果がでて、抗がん剤の種類や治療期間が決まります。
手術前日の担当医の説明で、MRIでもペット検査でも確認できなかった、ミクロ単位の癌を死滅させる為に、抗がん剤治療をおこなうという説明でした。
このいまは隠れているかもしれない癌を、本当にたいじできるのか、先生の長年の経験による回答をお願いいたします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
手術が無事に終了して良かったです。
腋窩郭清をしたとの事ですが、「センチネルリンパ節生検はしたのでしょうか?」
回答
「このいまは隠れているかもしれない癌を、本当にたいじできるのか」
⇒再発予防のための治療「術後補助療法」は限定的な効果です。
①無治療でも再発しない人
②術後療法(抗癌剤やホルモン療法)を追加した事により再発をまぬがれる人
③術後療法をしても、結局再発する人
このうち②が「隠れているかもしれない癌を退治」する場合なのです。
質問者の場合に②の可能性がどの位あるのか?
それは、術後病理が判明してから、ある程度数値としてでてきます。
○再発の可能性は高くはありませんが、その理由としては②よりも①の方が圧倒的に比率が高い事もまた事実です。
質問者様から 【質問5】
田澤先生いつも的確なお答えありがとうございます。
手術後の検査結果がでました。
結果的にリンパ節4つに転移があったということで、強めの抗がん剤を使うことになりました。
エンドキサン+アントラサイクリン系を、三週間おきに4回おこなった後、別の抗がん剤を一週間おきに4回ということで、あとでおこなう抗がん剤の種類等の説明はまだされてませんでしたが、こちらの方は経過や状態をみて治療間隔を決めるそうです。
もちろん副作用の説明も受けましたが、治療中の日常生活にどのくらい影響があるのか不安です。治療は7月30日からはじまります。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
術後治療ですね。
「リンパ節転移4個」となると、抗がん剤の適応が一般にでてきます。(質問者の場合にはアンスラサイクリン+タキサンが提案されているようです)
また、術後放射線照射も「抗がん剤後に行う」ことになります。(推奨度A)
回答
「エンドキサン+アントラサイクリン系を、三週間おきに4回」
⇒EC(ファルモルビシン+エンドキサン)もしくはAC(アドリアマイシン+エンドキサン)です。4サイクル行います。
「別の抗がん剤を一週間おきに4回」
⇒「別の抗がん剤」とはタキサンの事です。
タキサンには通常「ドセタキセル(タキソテール)」と「パクリタキセル(タキソール)」があります。
♯ナブパクリタキセル(アブラキサン)もありますが、一般的ではありません。
★パクリタキセルの毎週投与(12回)かドセタキセルの3週毎投与(4回)のどちらかしかありません。
「別の抗がん剤を一週間おきに4回」と言う記載は誤記載でしょうか?
「こちらの方は経過や状態をみて治療間隔を決めるそうです」
⇒副作用の状況を見ながら、という事です。
時々「勘違い」されている方がいらっしゃるのでお話ししておきますが、
「術後補助療法としての化学療法」には「効果をみるすべ」はありません。本当に効いているのか?指標は無いのです。
だから、「経過や状態をみて」という中に「効果」は入っていないのです。(あくまでも副作用だけです)