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検査待ちです

[管理番号:338]
性別:女性
年齢:52歳
5年ほど前に左乳房の下にやわらかいんだけど触ると痛いしこりがあったので、次の日にすぐに乳腺外科を受診しました。
その日に細胞診をして、4~5日後に結果を聞きにいったところ悪性で乳ガンだと診断されました。
か回りの意見もあって、別の病院を受診し検査(針生検2回とマンモトーム検査です)したところ、悪性とは診断されませんでした。
前の病院のプレパラートも持って行きました。
乳管内にとどまっている比較的おとなしいガンで、良性だと言われました。
それから2年くらい半年に一回検診に行ってたのですが、仕事が忙しく間があいてしまったので、おととしの11月に市民検診で乳ガンを受けたところ、左乳房に石灰があるということで、再検査に行きました。
再検査に行きましたがとりあえず様子見と言うことで、一年後に予約してもらって、4月に受診したところ石灰が増えてると言うことで、5月にステレオガイドマンモトームすることになりました。
カテゴリー4で五分五分だそうです。
悪性ならば石灰が広い範囲にあるので全摘になるそうです。
もしも悪性だったら…と思うと心配でなりません。
今回の石灰は5年前のしこりと関係あるのでしょうか?
ちなみに5年前は石灰はなかったみたいです。
もし手術した場合、手術後の治療はどうなるのでしょうか?
忙しい中長文ですみません。
悪いほうにばっかり考えてしまいます。
(2015年4月の質問)
 

田澤先生からの回答

 おはようございます。田澤です。
 かなり問題のある診療内容だとおもいます。
 本来は「質問者のような患者さん側」ではなく『(きちんとした診療を行っていない)医師側』にこそ、見てもらいたい内容です。
 質問者は何ら間違ったことをしていないのに、「可哀想な診療をされている」というのが、正直な感想です。
 この「Q and A」を見ることで『少しでも多くの方が、今後(誤った医療)から自ら回避する』きっかけとなってもらいたいと、切に思います。

状況の確認

「回りの意見もあって、別の病院を受診」
⇒この記載からすると、どこかの「大学病院」か「○研病院」「○んセンター」のような大病院でしょうか?
 そのような大病院では「担当医」もコロコロ変わり、どうしても「自分が確実に診断をつける」という責任感が希薄となります。
 「次の診察時には、担当は自分じゃないかもしれない(おそらく自分では無いだろう)」と思うと、どうしても「無責任な診療(良く解らないけど、様子をみましょう)」となりがちです。
 その上、診療経験に乏しい医師ばかり多くいるのですから…
 
 「ブランド病院に安心感を覚える」のは無理からぬ感覚かもしれません。
 こういう私も「昨日、ポール○ミ○でスーツを買ってきたばかり」ですから。
 
 ただし、「自分の体」はそうではいけないと思います。(スーツは破れたら買いかえればいいのですから… 『多少の散財はいい勉強』とさえ言えるかもしれません。)
 「本来、診断されるべきチャンス」を逃したら「自分の体を買い替える」ことはできないのです。
◎質問者の状況とは、やや離れた話をしてしまいました。
 今回の診療には、そのような問題点が散見されます。
 

回答

「乳管内にとどまっている比較的おとなしいガンで、良性だと言われました」
⇒これは「正真正銘」癌です。良性ではありません。
 当然5年前に「摘出」すべきなものです。
 何故、治療せずに、「半年に1回の検診」となっていたのか理解に苦しみます。
 
「おととしの11月に市民検診で乳ガンを受けたところ、左乳房に石灰がある」
⇒「この時点で、様子を見るというのは全く賛成できません(しかも経過観察期間が『一昨年の検診から数えると、1年5カ月!』と長すぎ」
何故なら、
(5年前)
質問者47歳 石灰化なし
(2年前)
質問者50歳 左乳房石灰化
 
 しかも、(おそらく)同部位に「かつて癌?と診断した」病巣があるのです。
 50歳の年齢で『3年間で新たに発生した石灰化』これは当然、癌の可能性を考えるべきものです。(私であれば、躊躇なく、ステレオガイド下マンモトーム生検をします)
 
「4月に受診したところ石灰が増えてると言うこと」「カテゴリー4で五分五分だそうです。悪性ならば石灰が広い範囲にあるので全摘」
⇒「石灰化が増えている」というよりも「全摘しなくてはならない程広範囲に増えている」ということですよね。
 これは「とんでもない」医療です。
 「1年5カ月前」にステレオガイド下マンモトーム生検をしていれば、こんな事にはなってはいなかった訳です。
 ◎大病院で「(責任感の希薄な)医師」が担当をコロコロ変わった結果と思います。
 「きちんとした(診断をつけるのは自分しかいない)責任感と診断技術をもった」医師であれば、(安易に)「様子をみる」ことにはならなかったでしょう。
 
「今回の石灰は5年前のしこりと関係あるのでしょうか? ちなみに5年前は石灰はなかったみたいです。」
⇒関係あると思います。
 
「質問者からの情報から」推測すると
(5年前)低悪性度の「非浸潤癌}
⇒(一昨年の11月)石灰化を出現
⇒(今年4月)石灰化が増加(病変の範囲がより広範囲に拡がる)
※最初(5年前)にできた「低悪性度の非浸潤癌」は『大人しいので石灰化は起こしていなかった』
 これが3年間で「増殖が比較的速いタイプに変化(壊死型石灰化が起こるということは、ある程度の増殖⇒壊死が起きている訳です)」という事だと思われます。
 
「もし手術した場合、手術後の治療はどうなるのでしょうか?」
⇒病変の大部分は「非浸潤癌」であることは間違いないと思われますが、(かなり長い経過があるので)「浸潤している部分が存在(微小浸潤といいます)」している可能性があります。
 乳房全摘をした場合、
「全てが非浸潤癌」⇒術後治療は不要
「浸潤あり」⇒浸潤の程度と「サブタイプ」によって変わってきます。
 
 「NCCNのガイドラインから」
 浸潤径が5mm以下では「化学療法は不要」ですが、
 浸潤径が5mm以上あり、「ホルモン感受性陰性 or HER2蛋白の増幅あり」となると化学療法の適応がでてきます。
※ホルモン感受性陽性の浸潤癌であれば、(化学療法をする/しない)に関わらず、ホルモン療法の適応となります。