[管理番号:328]
性別:女性
年齢:46歳
7年前に左乳がん ステージⅡリンパ転移なしが見つかり、温存手術・抗がん剤・放射線・ホルモン治療をしました。
主治医の指示に従い定期健診は欠かさず実施しています。
2か月前体調を崩しCTを受けたところ、右胸および左鎖骨のリンパに「再発の疑いあり」と指摘を受け、エコー検査を実施の上、内容物の検査をしましたが、いずれも再発ではないとの診断を受けました。(右胸:リンパ管腫の可能性大、左鎖骨:不明)
ところが最近、ちょくちょく左むねがチクチク?!痛む感じがしており、不安になっています。
胸全体ではなく局所的な感じで、痛みは断続的です。
自ら触った感じでは、しこりのようなものは感じられず、乳頭などの分泌液のようなものもありません。
再発=治る見込みはない=余命宣告に等しい と思うと、宣告されるのも怖く定期検査を前倒しで行く勇気が出ず、しかし不安でたまりません。
定期検査の前倒し受診をすべき症状なのでしょうか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「術後の診療」については、様々なケースがあり(私なりに)「この場合には、このように検査を進めていく」という方針があります。
今回は、「私が担当医であれば…」というような内容になりますが是非参考にしてください。
回答
「CTを受けたところ、右胸および左鎖骨のリンパに『再発の疑いあり』と指摘」
⇒「左鎖骨上リンパ節腫大がある」という事だと思いますが、「細胞診:不明」となっているのが気になります。(右胸の細胞診のリンパ管腫の診断はいいとして)
「鎖骨上リンパ節の細胞診」は比較的難しい場所(大血管の傍)にあるので「検体不良(きちんと取れていない)」の可能性があります。
どの位の大きさなのでしょうか?
★私であれば
まず、「超音波で鎖骨上リンパ節が腫大しているのか」を確認します。
『もし腫大しているのであれば』細胞診の前に『PET検査』をして「全身検索」を行います。
其の後に『鎖骨上リンパ節の細胞診』をきっちりと行います。
※何故PETが先なのかというと、「細胞診がPET結果に影響を与える可能性がある」からです。
◎その上で、「細胞診も(きっちりと細胞が採取された上で)異常なし」「PETでも異常なし」「腫瘍マーカーもチェックしてOK]となれば一安心です。
「再発=治る見込みはない=余命宣告に等しい」
⇒これには異論があります。
(もしも、局所のリンパ節再発だけであれば)十分「根治を狙う」チャンスがあります。
私の「局所リンパ節再発の戦略」
全身療法(ホルモン療法又は、抗癌剤)で可能な限り「小さく」してから局所療法である放射線「IMRT(トモセラピーなど)」で治療します。
決して「諦めるような状況」では無いのです。
「定期検査の前倒し受診をすべき症状なのでしょうか。」
⇒(定期検査の項目は存じませんが…)鎖骨上リンパ節の大きさは「チェック」、その上で「PET」をしておくと安心です。