[管理番号:7232]
性別:女性
年齢:45歳
病名:浸潤性乳管癌
症状:
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ステージ1の右側浸潤性乳管癌 潰瘍性大腸炎罹患の方でしょうか。
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田澤先生、こんにちは。
「ステージ1 潰瘍性大腸炎罹患」で質問させていただいた者です。
今回の診察でH E R2のD N A増幅の有無の検査(FI S Hのことですね?)の結果、術前の化学療法は無しになりました。
ルミナールであるとのことです。
ただ、まだ気になることは、人間ドックではしこりが複数あると言われていたのに、切除するのは一つと言われたので、確認したくて、ドックでは3時(ここは癌確定)と9時に腫瘤があり、それ以外でもまだ怪しいとの所見があるとのことを再度伝えました。
主治医も私に言われる前から懸念していたようで、M R Iの画像を念入りに診ており、「(前回は)9時のところは見えなかったんだけどなあ。
9時のところには
石灰化もあるので、もう一度バネ式の生検をしましょう。」ということで5回程針を刺しました。
この場所の腫瘤は、4ミリ程度で非浸潤であろうとのことです。
その後、術式の話になりました。
前回は、(右胸)生検したものの癌は出なかったが怪しいと思われる正常乳腺を含めて切除する温存療法でいいのではということでしたが、今回は「あなたの乳腺は見れば見る程問題が見えてくる。
両胸とも嚢胞も腫瘤も乳管拡張もたくさんある。
今回は右の手術だが、左も気をつけていかなければならない。
高信号がたくさんある。
過形成の部分が M R Iで造影されている。」と言われました。
前回も乳腺が複雑だと言われましたが、「乳腺症ということでいいのかな?それなら、 M R Iの所見も納得できるな。」と話していたのに・・・。
それを聞いた私は「そんなにリスクがあるなら、全摘がいいでしょうか?」と尋ねたところ、「その方がいいね。」と言われました。
人間ドックの医師も、エコーをしながら「ああっ、うーん」と言って黙ってしまったのが恐ろしかったです。
(ちなみに、人間ドックの医師は、両胸怪しいが、特に右胸が怪しいと言い、今の主治医は、両胸怪しいが、マンモでもスピキュラが二箇所あったので、左胸の方を特に疑ってました。
私が人間ドックでは、右胸の方ばかり見ていましたよと伝えると、少々驚いていて、その後エコーを始め、全体的にモヤモヤしているのは乳腺症かな?と言いました。
)しかも、前回の診察のときは、癌は一つで7、8ミリとのことでしたが、今回は隣にも腫瘤があって、くっついているとのことでした。
まさか、こんなに状況が悪くなるなんて思ってもいなかったのでショックです。
癌のタイプとしてはさほと悪いものではなかったと素人考えですが、思っていました。
なので、全摘してその後ホルモン療法だけなら、今の主治医でもいいかなと思っていましたが、右の手術の後の左胸をどうするのか考えたら、手術後は田澤先生にお世話になるのがいいのではと考え始めております。
(理由は、今回の4ミリの生検を取れるかな?とぽそっとつぶやいていたので生検して正しい結果が出るのかが不安だからです。
前回の生検も癌が見つかった一箇所以外はたまたまヒットしなかったのかもしれないと心配になります。)
主治医は切ってみないとわからないというようなことを言ってましたが、私の乳腺は鑑別困難なタイプということなのでしょうか?
また、主治医からは、再建するなら潰瘍性大腸炎があるので、今後免疫抑制剤使用の可能性があるから、人工物は望ましくないと言います。
私はステロイドも使ったことがないくらいなので、免疫抑制剤は現実的ではないと思うのですが、がんになると治療や免疫力低下の影響で、潰瘍性大腸炎が悪化するのでしょうか?主治医は、再建自体もあまり勧めないと言っています。
最後に、血液検査についてです。
E2が311、F S Hが2,22でした。
これは、年齢的に考えて癌に影響する値なのでしょうか?
どうかご意見をいただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「がんになると治療や免疫力低下の影響で、潰瘍性大腸炎が悪化するのでしょうか?」
→そんなことはありません。(考えすぎ)
ただし、抗がん剤すれば(当然ながら)免疫力は落ちます。(抗がん剤中はHBVが賦活化されることはよく知られています)
「主治医は、再建自体もあまり勧めない」
→?
無関係です。
「E2が311、F S Hが2,22でした。これは、年齢的に考えて癌に影響する値なのでしょうか?」
→全く違います。
「どうかご意見をいただけますでしょうか。」
→(針)生検の結果には「100%責任を持つ(自信をもつ)」べきです。
「生検では良性だけど…(後で、悪性に変わるかもしれないから…)」的な診療は私が一番嫌いなものです。
質問者様から 【質問2 前回は部分切除、今回は乳頭乳輪温存乳腺全切除を勧められる】
性別:女性
年齢:45歳
病名:右浸潤性乳管癌
症状:
田澤先生、3月中は大変お忙しい中、生検していただきまして本当にありがとうございました。
4月(上旬)日に、部分切除手術を受けました。
病理結果が出ましたので、ご報告と再度の質問をさせていただきます。
よろしくお願いいまします。
浸潤性乳管(硬癌taye)核グレード分類:Grade1 組織学的グレード分類:GradeⅡ
浸潤癌の範囲は7×6×6mm
浸潤径+乳管内進展巣:42×39mm
核異形は中程度で、核分裂像は少数。
拡張した乳管内の篩状構造や充実
性胞巣を形成し、増殖する乳管内成分が豊富に認められます。
辺縁部の乳管内成分は、腫瘍の増殖の程度が軽くなっていますが、核異形は同等のものが進展しています。
連続性がやや不明瞭で、構造異型の程度がやや軽くなっていますが、ほぼ同等の核異型が見られたことから、一連の病変と判断しています。
乳頭側断端とやや尾側方向の胸筋側が断端陽性に相当します。
エストロゲン受容体陽性 プロゲステロン受容体陽性 HER2陰性 ki67 25%
考えられる事と選択肢
1.右の乳房から癌を(確実に)取り除きたい場合→①乳頭を含め乳房切除②乳頭を残して乳腺切除③断端陽性と思われる部分を追加切除(追加切除後も断端陽性となる可能性あり)
2. 右乳房の整容性(形)にこだわりたい場合→①このまま放射線治療を行う 断端陽性が疑われる部分にはブースト照射を追加する②断端陽性と思われる部分を追加切除してから放射線治療③乳房切除または乳頭を残して乳腺全切除を行なってエキスパンダー(組織拡張器)による皮膚伸展を経ずに自家組織で乳房再建(潰瘍性大腸炎があるので異物は入れない方が良い)
病理医の(非公式)コメント
乳管内成分の腫瘍細胞は増殖の程度と構造異型が軽いので乳癌と診断しなくても良いのかもしれないが、メインの浸潤性乳管癌と一連の病態と考えれば乳癌(乳管内)という診断になる。
追加切除にはそれほどこだわらなくても良いのでは。
つまり、断端陽性の部分はあるが、残ってるとしても癌と呼べないような悪性度の低い病変であり、生命予後に影響を及ぼさない。
放射線療法と内分泌療法で制御できる可能性は高いし、再発するとしてもかなり先ではないか。
10年後ではなく、今、プールにはいるなどの整容性にのだわりがあるのであればこのままの状態で放射線療法+内分泌療法を行い、超音波などで経過観察を行うのがよいか。
完全切除+自家組織再建の場合は当院では対応できかねるので他院紹介。
以上説明書より
センチネルリンパ節生検は、0/1でした。
リンパ、静脈侵襲について
は不明です。
放射線療法+ホルモン療法の予定です。
主治医の話では、同一乳管内の広がりであろうが、病理検査から同じ乳管内なのかややわかりにくい部分があるとのことです。
別の乳管であるとすれば、別の癌の可能性もあるそうです。
断端陽性の部分は非浸潤であり、悪性度が低いということですので、手術したばかりであり、受験生もおり、あと1カ月で復職することにもなっているため、追加の治療はしないという気持ちが現時点では強いですが、まだ決めかねています。
80%再発はないだろうとの話です。
また、健側については今後癌になる可能性があると今回も言われました。
半年に一度はフォローをしてもられるそうです。
質問1
非浸潤の断端陽性で、ブースト照射を追加(60グレイ)するのは、一般的なことなのでしょうか?
質問2
2.③を選択して、自家組織での再建でエキスパンダーを使用するのは一期再建以外ですか?(主治医は、エキスパンダーなしで再建できる病院は○○○クリニックだけだと言っていましたが・・・余談です。)
質問3
ホルモン療法では、今のところタモキシフェンを10年の予定です。
他の選択肢はありますか?
来週の水曜日に通院します。
それまでどうするか考えてきてほしいと言われました。
今回も長文になってしまい、申し訳ありません。
どうかよ
ろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「質問1 非浸潤の断端陽性で、ブースト照射を追加(60グレイ)するのは、一般的なことなのでしょうか?」
→その通り。
「質問22.③を選択して、自家組織での再建でエキスパンダーを使用するのは一期再建以外ですか?」
→質問の内容が解りにくいですが…
広背筋皮弁であれば、エキスパンダーは通常入れません。
「質問3ホルモン療法では、今のところタモキシフェンを10年の予定です。他の選択肢はありますか?」
→それでいいでしょう。
質問者様から 【質問3 お礼と報告、今後の治療について】
性別:女性
年齢:45歳
病名:右浸潤性乳管癌
症状:
田澤先生、こんにちは。
5月8日のセカンドオピニオンでは大変お世話になりました。
先生のお話はとてもわかりやすく説得力があり、自分の癌の全体像がはっきりしました。
その後、先生とのセカンドオピニオンをもとに、主治医に病状を再度確認しましたところ、大胸筋膜まで切除してあることがわかりました。
また、乳頭側は5ミリ以下ですが、マージンがあることがわかりました。
「そんなに心配する程のものではない、大丈夫。」と言われました。
(そのような具体的な説明があればよかったのですが。)
今後の治療は、追加手術はせず、放射線治療を30回60グレイにすることにしました。
一つ質問なのですが、セカンドオピニオンのため、すぐに放射線治療を始めず、術後約3週間からホルモン治療を始めました。
来月あたりから、放射線治療が始まります。
治療が被るケースは聞いたことがないような気がするのですが、身体的に大丈夫なのでしょうか?最近、タモキシフェンの副作用なのか、体温調節がうまくできず、冷えと発汗を繰り返しています。
冷えを感じた時は、手足の関節が痛みます。
その他、息苦しさ等もあります。
今の体調不良プラス放射線治療の副作用が出ると
どうなるのだろうかという不安はあります。
ここからはお礼です。
乳がんになってしまいましたが、先生と乳がんプラザのおかげで、正しい知識と患者としての心構えを身につけることができ、がん告知前とほぼ変わらぬ生活を送ることができています。
また、実際に3回ほど先生にお目にかかることができ、これぞプロフェッショナルというものであると感動いたしました。
検査のうまさも丁寧でわかりやすい説明もそれらからくる安心感も異次元でした。
感謝という言葉では足りません。
本当にありがとうございました。
そして、今後とも宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「治療が被るケースは聞いたことがないような気がするのですが、身体的に大丈夫なのでしょうか?」
→ホルモン療法はと放射線は重なっても全く問題ありません。
「今の体調不良プラス放射線治療の副作用が出るとどうなるのだろうかという不安」
→放射線には殆ど副作用がないので大丈夫です。
ご安心を。
「実際に3回ほど先生にお目にかかることができ、これぞプロフェッショナルというものであると感動いたしました。検査のうまさも丁寧でわかりやすい説明もそれらからくる安心感も異次元」
→過分なる評価!
ありがとうございます。
質問者様から 【質問4 】
放射線肺臓炎になってしまいました。
性別:女性
年齢:46歳
病名:右浸潤性乳管癌
症状:
田澤先生こんにちは。
お久しぶりです。
実は、放射線肺臓炎になってしまい、休職中で来週から復職予定です。
かなり重症に近かったようで、1カ月の自宅療養となりました。
質問ですが、放射線肺臓炎になってから、自己判断でタモキシフェンを中止してました。
先日、乳腺外来にかかって、主治医にその旨を話しましたが、放射線肺臓炎で中止したことは妥当な判断だったようで、今すぐ再開しなければいけないとは言われませんでした。
放射線科で血中酸素濃度を測ると、時々基準値を下回り、放射線科医からは、まだ、呼吸が苦しいよねと言われました。
そのような状況なので、まだしばらくは
タモキシフェンの中止を続行したいのですが、タモキシフェンを飲まない期間がどのくらいあくと、再発に影響するのでしょうか?
だいたい1カ月は飲んでいません。
放射線科医の話だと、完治までに1~2カ月かかるようなので、そのくらいは飲まなくていいようなら、休薬を続行したいのですが。
それから、私は両側乳癌の疑いがあり、主治医は半年に一度はエコーすると言っていました。
半年過ぎたのでエコーをお願いしたのですが、シコリにならないとわからないと言って、してもらえずでした。
(愚痴っぽくてすみません)それなので、田澤先生にエコーをしていただきたいのですが、お願いできますでしょうか?(水曜日の江戸川ですよね?)
沢山の患者さんを抱え、大変お疲れのことと存じます。
寒い季節になってきました。
お身体を大切に、お元気でお過ごしください。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
放射線肺臓炎、大変でしたね。
(以前にもコメントしましたが)
江戸川に来てトモセラピーにしてから、放射線肺臓炎で治療したケースは皆無です。
(この5年で術後の照射件数だけでも1000件は超えていると思うので、相当な低頻度と言えます)
仙台時代には年に数件治療をしていた(100人に1人位かな?)ことを考えると、すっかりその存在を忘れています。(とても幸運なことです)
「田澤先生にエコーをしていただきたいのですが、お願いできますでしょうか?(水曜日の江戸川ですよね?)」
→違います。
市川で予約をとりましょう(3か月後くらいには予約取れるようですよ)
質問者様から 【質問5 】
術後1年の検査について
性別:女性
年齢:46歳
病名:右浸潤性乳管癌
症状:
投稿日:2020年5月27日
田澤先生こんにちは。
術後1年が過ぎ、主治医からエコー、マンモ、CTを提案されましたが、再発するなら5年後くらいと言われていたので、エコーのみにしたのですが、結果は癌と言えるような所見ありませんとのことでした。
(癌以外に気になるところがあったそうです。
詳しくは聞いてません。
因みに、エコーをしたのは、主治医ではなく、臨床検査技師です。)ですが、主治医曰
く、CTを撮っていないので、肺や肝臓に癌があるかないかはわからないと言われました。
検査としては不十分なんだそうです。
血液検査ではダメなんですか?と聞いたら、わかる癌とわからない癌があると言っていました。
質問ですが、①血液検査でわかる癌とは具体的に何ですか?
②田澤先生にはセカンドオピニオンも診察もしていただきました。
先生のお見立てでしたら、私にCTを勧めますか?③来年も主治医はCTを勧めてくるでしょうが、私としてはやるなら5年後と思っていますがそれでいいでしょうか?たくさん質問してしまい、申し訳ございません。
コロナ禍で、先生におかれましては、患者さんのために神経をすり減らす日々をお過ごしのことと存じます。
これから暑い季節になります。
どうかお元気お過ごしください。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「質問ですが、①血液検査でわかる癌とは具体的に何ですか?」
⇒具体的なものではありません。
画像上転移所見が出てから「マーカーが上昇するまで」タイムラグがあるものもあるということです。
ただし、(逆に)マーカーが上昇してから「画像所見で見えるまで」タイムラグのあるものもあります。
その意味では「1年に1回のCT]よりも「半年もしくは3か月に1回のマーカー」の方が遥かに効率的です。(早く検出できるし、被爆もない)
「先生のお見立てでしたら、私にCTを勧めますか?」
⇒勧めません(私の患者さんで「定期で」CT撮影している人は一人もいません)
「③来年も主治医はCTを勧めてくるでしょうが、私としてはやるなら5年後と思っていますがそれでいいでしょうか?」
⇒上記通り。