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乳がんの術後の治療について

[管理番号:7109]
性別:女性
年齢:47歳
病名:乳がん
症状:術後の症状は、切除部周辺の軽い痛み

どうぞよろしくお願いいたします、質問できる場があり心から感謝いたします。

昨年11月に乳房切除(左乳房全摘)手術を終え、今月よりタモキシフェン20mg ホルモン治療5-10年の予定です。

[術後の病理結果]

Carsinoma of the left breast, ACE area

DCIC(72×40×14mm width) with foci of invasion (up to 7×5×3mm),

Papillo-tubular to solid tubular type, s(-), f(+), ly0, v0, NG2,

Mastopathy with sclerosing adenosis,BD area,

Demodex folliculorum in nipple skin
ER:100% PgR:80%
Ki-67標識率:15%
Surgical margin(-)

最大浸潤径7ミリ以外にも、2ミリや4ミリ含め浸潤箇所は5か所ありました。
術前の浸潤箇所は1か所で、同7ミリでした。

ki-67については、術前は60%でしたが術後は15%

以上の結果から今後タモキシフェン20mg を5-10年の服用予定となりました。

気になる点が2点あります。

①追加のレポートに「左Aの内側断端近くにDCISがあったため、真の断端を調べる目的で埋めなおし標本を作製しました。
その結果真の断端には腫瘍細胞が陰性でした、断端陰性とします」とあり、陰性ではあるもののマージンは2mmに至らず1.5mmと主治医から聞きました。

ただ非浸潤癌なので放射線も追加切除もしないとなりましたが、再発のリスクは極力抑えたく、追加の切除または放射線治療の追加は本当に不要なのか?先生ならどう判断されますでしょうか?

②術前のKi-67は60%と高かった為、抗がん剤も適応になる可能性を念頭に入れてました。

術後は15%のためホルモン単独となり、抗がん剤の負担がなくなった分、術前の数値とまま乖離しており、本当にしなくてもいいのか多少不安がございます。
主治医は再発予防のために徹底的に叩きたいのなら抗がん剤もしてもいいとの言及はあります。

こちらで勉強させて頂き、ルミナールAでの抗がん剤の上乗せ効果は低い可能性を念頭に入れ、ホルモン剤のみの選択としましたが、自信をもって今後の治療に臨むべく、ベストの治療をどのように推奨されるかご意見を頂けると幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「先生ならどう判断されますでしょうか?」
→陰性であれば、追加切除は必須ではありません。

「今後の治療に臨むべく、ベストの治療をどのように推奨されるかご意見を頂けると幸いです。」
→抗がん剤は不要です。(Ki67は術後の結果でいいのです。)

 
 

 

質問者様から 【質問2 卵巣腫大について。】

性別:女性
年齢:47歳
病名:乳がん
症状:卵巣肥大

以前、管理番号7109で質問させて頂きました。

病名:乳癌 ルミナールA ステージⅠ 最大浸潤径7mm(含め5か所)
いつもご回答ありがとうございます。

左乳房全摘手術から約5カ月年、タモキシフェンを飲んでいますが、つい先日婦人科で右側の卵巣腫大(最大4.8cm大)を指摘され、腫瘍マーカーの検査をしました。

約2カ月前くらいの婦人科検査時は3.6cmくらいでしたので、徐々に大きくなっているようです。

腫瘍マーカーの結果がまだ次回の外来まで不明ですが、こちらのQ&Aを勉強させていただき、タモキシフェンの影響ではないかと想像しております。

今後の対処法についてご意見をお願いします。

・去年の8月ごろから既に生理は来ておらず、手術は昨年の11月末、ホルモンの服用は今年の1月からでしたので閉経してると考えています。

・再発が心配ですので内服は続けたいが、卵巣が大きくなり手術になるのは避けたいので、こういった場合の今後の対応を教えてください。

イメージとしてはタモキシフェンを一時休止、卵巣の大きさや腫瘍マーカー(現時点では数値が不明ですが)が下がっていれば、ほかの薬に変更または、ほかの薬を併用というざっとしたイメージですが、正しい対処を教えて頂けると幸いです。

・タモキシフェンを休止するとなった際は、どれくらいの期間が目途になりますか。
何も服用しないのは多少不安ですが、許容範囲がどれくらいか目安を知りたいです。

・またタモキシフェン5年-10年服用でなくほかの薬になっても、再発予防の効果は同じなのしょうか。
心配が尽きなく申訳ございませんが、
どうぞ、ご回答よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「こちらのQ&Aを勉強させていただき」とありますが…

★質問者は「あるあるQ]の『タモキシフェン内服中の「卵巣腫大」について悩む方は管理番号7256『卵巣の腫大について』をご参照ください。』をご覧になっていますか??
 回答はその中にあります。(まずは、集中して読んでみてください)

「・去年の8月ごろから既に生理は来ておらず、手術は昨年の11月末、ホルモンの服用は今年の1月からでしたので閉経してると考えています。」
⇒誤り。
 閉経ではなく「更年期」です。
 ★閉経とは「最終月経から1年以上」経ったうえで「E2(エストラジオール)が低値」であった場合です。
  最終月経から1年経っていないわけだから、全く違います。

「腫瘍マーカー(現時点では数値が不明ですが)が下がっていれば」
⇒全くの勘違い。

 腫瘍マーカーは(そもそも)婦人科医が「卵巣腫瘍なのか?」という発想から調べているだけです。(卵巣癌でない以上、どうでもいいことです)

「ほかの薬に変更または、ほかの薬を併用というざっとしたイメージですが、正しい対処を教えて頂けると幸いです。」
⇒上記「あるあるQ]に書いてある通りです。

 閉経前(更年期も含む)である以上、ホルモン療法は「タモキシフェン単独」もしくは「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」の2択しかありません。

 つまり回答は「タモキシフェン休薬」⇒「卵巣縮小したら」⇒(タモキシフェンだけを再開したら再度、卵巣腫大するだけなので)「タモキシフェン+LH-RHagonist併用」開始となります。

「・タモキシフェンを休止するとなった際は、どれくらいの期間が目途になりますか。」
⇒卵巣が縮小するまで(時間がかかるようならLH-RHagonistを行えば、より速やかに縮小します)

「・またタモキシフェン5年-10年服用でなくほかの薬になっても、再発予防の効果は同じなのしょうか。」
⇒ホルモン療法の基本を理解されていないようです。

 「あるあるQ]に掲載しますので、よく読んでください。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

骨転移の可能性について
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳がん
症状:背骨と筋肉の痛み

【経緯】昨年11月下旬に左乳房全摘し、センチネルリンパ生検陰性、最大浸潤径7ミリ 他4か所 ステージⅠ
オンコタイプはRS23 タモキシフェンのみで10カ月経過
※ 体型がかなり痩せており、術側の皮膚直下はあばら骨の形がくっきりです。

【症状】1ヵ月ほど前から背中の骨の一部とその周辺の軽い痛みがあります。
日常生活に支障は全くありませんが「痛み」を自覚することが心配となってしまい、気になって仕方ないです。
前かがみでほんの少し、
反ったほうがほんのもう少し痛く感じます。
ただ大したことはなく忘れている時も多少はありますが、ふと気づくと痛みを少し感じます。
毎日持続してます。

痛みを感じた頃に(3週間ほど前)内科兼整形外科にて乳がんの経緯も話してレントゲンを撮ってもらいましたが、レントゲンにハッキリ映るような転移はなく、異常は指摘されませんでした。
しいて言えば骨が多少曲がっている。

痛み出した当初に比べれば症状は収束しているものの、完全に痛みがなくなったわけではなく、特に左背筋と一部の骨が痛い感じです。

最近は心配しすぎのせいなのか、左脇(センチネル生検しました)も普段よりズキズキ痛いです。

骨自体の痛みは普段はわずかですが、時折グキっと強い時もあります。

最近はかなり倦怠感があり、膝も時々痛みます。

今の症状を踏まえて2週間前に乳腺の主治医に外来でお話しし、血液検査を受けましたが血液の数値に異常はなしでした。

症状があるのであれば、希望ならCTと骨シンチしましょうと言われましたが、そこまでの検査が必要なのか迷ってしまい結局予約は保留としてしまいました。

本来の次回の検査は術後1年にあたる11月下旬に、エコー、対側のマンモ、血液検査、レントゲンの予定でした。

※参考になるか余談ですが、背中が痛み出したのは蓄積された膨大な写真データを使って、フォトアルバムを急に作成しだし一日に1-2時間合間をぬってはスマホとパソコンとにらめっこをし、12日間ほど連続して作業しました。

作業始めたその3-4日後くらいから症状が出ましたが引き金になったかどうかは不明です。

【質問】①レントゲンには映らないような、微細な骨転移の可能性はあるでしょうか?

 ②骨転移があっても、血液検査にはまだ反応してない陰性という結果も考えられますか?

 ③今の症状から、まずはどんな検査が必要でしょうか?すぐにする必要はありますか?

 ④骨の転移とは、まずはどんな症状が現れるのでしょうか?

 ⑤次の検査まで様子を見るとしたら、CTや骨シンチMRI等の追加は必要ですか?

⑥先生でしたらどのような診断をなさいますでしょうか?

 こちらのQ&Aを読み返しながら自分の状況に当てはめてみては、更年期による卵巣機能低下の症状で、遠隔転移ではないのではと自分に言い聞かせていますが、ひょっとしたら遠隔転移かもしれないという心配が払拭できず、ストレスで胃も痛い状況です。

 乳がんの術後は冷え性の体質を改善しようと努力してきた経緯もあり、かえって血行を良くししすぎてしまったのかと不安です。

 長々とすいません、お忙しいのに申し訳ございませんが、ご回答よろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。

以下について、よくご理解してください。

1.ホルモン療法の副作用もしくは「エストロゲン欠乏症状(更年期を含む)として「関節痛」がある。
2.骨転移は疼痛の原因となるが、(ご本人のいう)「微小な骨転移」は疼痛の原因とはならない。
3.つまり単純レントゲンで写らないような骨転移が疼痛の原因とはならない。(骨シンチやMRIなどをして「たまたま」質問者のいう「微小な骨転移」が見つかることと「疼痛」とは無関係である)

「【質問】①レントゲンには映らないような、微細な骨転移の可能性はあるでしょうか?」
⇒上記通り。

 それを疑う根拠がありません。(上記を熟読してご理解ください)

「②骨転移があっても、血液検査にはまだ反応してない陰性という結果も考えられますか?」
⇒それはあります。(ただし、「それがあったとしても」それは、疼痛の原因とはなりません。 上記を熟読してご理解ください)

「③今の症状から、まずはどんな検査が必要でしょうか?すぐにする必要はありますか?」
⇒主治医の言う通りでOK(疼痛の原因とは無関係だが、この機会に骨転移の検査をするならしてもよい)

「④骨の転移とは、まずはどんな症状が現れるのでしょうか?」
⇒症状が出るとしたら…

 疼痛です。

「⑤次の検査まで様子を見るとしたら、CTや骨シンチMRI等の追加は必要ですか?」
⇒③と同じ

「 ⑥先生でしたらどのような診断をなさいますでしょうか?」
⇒骨シンチやMRIでしか解らないような骨転移があるのかは(それらの検査をしない限り)不明ですが、骨転移を疑う根拠がない。

 あくまでも「ご本人が、この機会に(骨シンチやMRIのような画像診断でしか解らないような)骨転移が気になるから調べたい」というのであれば、それらの検査をしますが…
 私から「それらの検査が必要な状況(骨転移を疑う根拠がある)だから、行いましょう」とは、決してなりません。