[管理番号:6640]
性別:女性
年齢:28歳
田澤先生、質問失礼いたします。
がんの早い増殖と卵子凍結などの検討もあり、今週にも答えを出さなければいけない状況に追い込まれて、
がんの告知の後、心休まる間もなく慌てふためいております。
でも、自分の人生、後悔しないように慎重な答えを出したくて、田澤先生の見解をお聞きしたくメールさせて頂きました。
28歳 女
先日、右乳房A領域に不整な低エコー部があり、バネ式針成検をした結果、
組織学的にはクロマチンが増量し腫大した楕円形~類円形、多角不整形の異型核、明瞭な核小体を持ち、弱小体を持ち、
弱好塩基性~弱好酸性の胞体を有する腫瘍細胞が小胞巣状、索状、個別細胞を呈して浸潤性に増殖する浸潤性乳管癌を認めます。
腫瘍細胞は免疫染色にて
ER(+:60%)、PgR(+:50%)、AgR(-:0%)、FOXA1(+:99%)、GATAー
3(+:99%)、HER2(0)を示し、Ki‐67
labeling index は 約40%です。
という診断報告書を頂きました。
担当医には、しこりは約4センチ。
胸の真ん中から内側にある。
癌のステージでいうと2だと教えて頂きました。
CTをとったのですが、右のリンパ節が明らかに腫れていました。
他への転移は目に見える形では今のところはありません。
子供が欲しいこともあり、卵子凍結か受精卵凍結を検討しております。
その場合は排卵期に合わせなければならないこともあり、8月後半から抗がん剤治療を
して、半年後に手術、
手術後も2年飲み薬と注射をして、2年休薬後に妊活。
妊活後また抗がん剤投与予定と言われました。
そしてリンパも腫れているようだから手術はリンパもおそらく取らなくてはならないかもしれない、と言われております。
今後のスケジュールは
術前
↓
アブラキサン 週1 12回投与
↓
FEC 3週に1回 4回投与
(翌日、翌々日にジーラスタ有)
↓
手術
↓
(一か月)
↓
タモキシフェン
リュープリン
↓
2年休薬
↓
妊活
↓
投薬再開
といった流れで行くそうです。
抗がん剤は身体に良くないのでなるべく使いたくないのですが、(できれば投与の期間を短くするとか)私の場合は転移の可能性があるのと、しこりの大きさから、
まず抗がん剤で小さくしてから手術した方が体の負担も少なくなるし、転移していた時の心配もない、と言われております。
私としては、転移や再発の可能性を少なくできるのなら全摘出でもいいと考えていると伝えてあります。
田澤先生への質問なのですが、
本当にこの流れで投薬を開始するべきか、他に選択肢があるのであれば田澤先生の御意見をお聞かせ頂けないでしょうか。
そして、私の癌のサブタイプは何にあたるのでしょうか。
癌のステージとしては細かく表記するとⅡBでしょうか。
悪性度のようなものも、この組織診断書からわかるのであれば教えて頂きたいです。
担当医から卵子凍結しないなら今すぐに、するのなら排卵日の関係からして遅くても8月後半から抗がん剤の投与は開始した方がいいと言われました。
私の癌の場合、早急に抗がん剤投与を急ぐべき腫瘍なのでしょうか。
(癌の増殖スピードが速いのでしょうか?)
上の方針でいくと31歳頃から妊活に入る予定なのですが、
私の場合生理が戻ってくる可能性、そして無事出産できる可能性はどれくらいありますか。
右のリンパ節が腫れているのですが、他に転移している可能性は高いのでしょうか。
(おそらく転移の可能性があるからまず抗がん剤を急ぐということなのだと思うのですが・・・。)
例えば薬がよく効いて投薬期間中に目に見える癌がなくなった場合、そこで抗がん剤を
やめることは危険ですか?
アブラキサンは通常、一度投薬してから20日間休薬期間を設けると手引きに書いてあったのですが、私の場合は週1で12回投薬。
その短いスパンで投薬する理由と、20日間休薬するのと週1投薬では体への影響は違ってくるのでしょうか。
沢山の質問失礼致しました。
お答え頂けること、心よりお待ちしております。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
物事は整理して考えなくてはなりません。
今回の件では(妊娠出産はひとまずおいておいて)
1.抗がん剤が本当に必要なのか?
2.抗がん剤をするとして、それは術前なのか術後なのか?
まず、ここから始まります。
1について
質問者の場合には、ルミナールタイプでKi67=40%となっています。
これは、「グレーゾーンでありルミナールAなのかBなのかは不明」となります。
(本来は手術先行として手術標本でKi67を測定しなおし、必要ならOncotypeDXをして適応を決めるべきなのです)
つまり「抗がん剤ありき」という診療方針自体がまず問題となります。
2について
「小さくして温存」以外の理由で術前抗がん剤をする理由はありません。
質問者にその希望が無い限り、術前に行う理由が全くありません。
☆ここに「妊娠出産」という要素が入ります。
結論として
「手術先行」→(手術標本の評価で)抗がん剤が必要なら→「受精卵凍結」→「抗がん剤」→「妊娠出産授乳」→「ホルモン療法」
「手術先行」→ 〃 抗がん剤が不要なら→「妊娠出産授乳」→「ホルモン療法」
つまり、そもそも「抗がん剤の適応が不明なのに(温存目的であるべきの)術前抗がん剤を勧める」ことは、(私には)あり得ない話です。