[管理番号:187]
性別:女性
年齢:47歳
定期健診でマンモ、触診、エコーしました。
触診までは異常なくエコー後「組織診しましょう」と言われました。
私としては細胞診を希望しましたが「二度手間です」と。
いきなり組織診ということは悪いのでしょうか?一年前は嚢胞との診断でした。
エコー画像は境界線ははっきりしているように見えました。中が石灰化?白いまだらでした。
不安です。可能性を教えて下さい。
妹は乳がんで全摘しています。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「嚢胞内腫瘍」が疑われていると思います。
それでは、まず「嚢胞内腫瘍の基本的事項」を解説した上で回答します。
嚢胞内腫瘍とは
⇒「乳管内に発生した腫瘍(良性も悪性もあります)からの分泌液(血性の事もあります)で満たされた腫瘍」です。
つまり、これは「嚢胞=(ただの液体が貯まった)袋」では無いのです。
あくまでも腫瘍です。
●診断には組織診が必要です。(細胞診では情報量が圧倒的に少なく、過小診断されるケースが多いのです)
ただし、嚢胞内腫瘍は(針を刺して調べる)針生検よりは(腫瘍をそっくり摘出する)「摘出生検=外科的生検}が望ましいと思います。
※針を刺す事で、(万が一癌であった場合に、液体に浮遊していた癌細胞が)外へ広がる事を危惧してです。
⇒実際には、そのような癌細胞があっても生着せず、(その後きちんとした)手術をすれば問題ないのですが、理想を言えば(もし癌だった場合を考えて)摘出の方がいい。となるのです。
回答
「いきなり組織診ということは悪いのでしょうか?」
⇒理由は上記で記したとおりです。(細胞診では診断が殆ど意味が無いからです)
「癌を強く疑うから」という訳ではないと思います。
「一年前は嚢胞との診断でした。」
⇒「嚢胞壁にある腫瘍」が1年前には「はっきりしなかった=小さかった」ということだと思います。
1年かけて、ゆっくり「もともと壁に存在していた」腫瘍が大きくなって「超音波で認識できるようになった」という事が推測されます。
私であれば(参考にしてください)
針生検ではなく、摘出生検の方を勧めます。
※理由は上記「嚢胞内腫瘍とは」の中で記載した通りです。
★「嚢胞内腫瘍」の場合には「もし、癌であったとしても」非浸潤癌であることが多く、間違い無く早期だと思います。
きちんとした診断を行うことが最も大切です。
「早期発見に勝る治療はない」のです。
質問者様から 【質問2】
先日の質問で敏速かつ丁寧な答えに感動しました。申し訳ありませんが、今一度のお答えをお願いします。
昨日針生検5本をし、先生に少し聞いてみたのですが「前回の嚢胞ではなく新たにできたもの、癌の疑いで」と。エコー画像が先日のと違うもの?で、エコーの流れのなかに境界のはっきりしない、もやっとした画像でした。
大きさは?。
自分自身しこりの感触は無。
張っている感触は有。
情報が少ないですが、一年での発見は早期ですか?
やはり良性の可能性は低いでしょうか?
妹の癌はハーセプチンをしました。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
今回の腫瘍は「もともとあった嚢胞とは異なる」との事。
「新たにできたもの」との担当医の見解ですね。
それでは回答します。
回答
「一年での発見は早期ですか?」
⇒十分早期だと思います。
「やはり良性の可能性は低いでしょうか?」
⇒「新たにできたもの、癌の疑い」という担当医のコメントからすると、(残念ながら)悪性の疑いが高そうです。
質問者様から
【質問3 全摘しか方法がないのか?】
前回質問させて頂きましたが、結局乳頭腺管癌でした。
1.8㎝ ER.PR90% HER2 1~2 ki-67 20~30% 当初温存でしたが、MRIで何個か非浸潤癌の疑いがでました。
CT,PETでは分からず。
MRIの診断が正しいだろうということで、全摘を促されました。
手術では直径7cmとるそうなので、温存は難しいと。
手術はもうじきなのですが、本当に全摘が妥当なのでしょうか?
非浸潤癌の疑いの箇所は生検などしないものですか?
1.8㎝だけ手術をして、非浸潤癌部分は放射線などの方法はないのでしょうか?
少ない情報ですが、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
前回「嚢胞が一年後癌化しますか?」でご質問いただいた方ですね。
針生検の結果 乳頭腺管癌 cT1c=18mm, luminal typeということですね。
それでは回答します。
回答
「当初温存でしたが、MRIで何個か非浸潤癌の疑いがでました」「MRIの診断が正しいだろうということで、全摘を促されました」「本当に全摘が妥当なのでしょうか?」
⇒私は妥当だとは思いません。
「MRIでの所見」は「超音波では捉えられているのでしょうか?」
超音波で捉えられれば、『その部位を針生検すべき』です。
「MRIで何個か非浸潤癌の疑い」
⇒それだけで「全摘」とするのは誤りです。
特にご本人が「温存の可能性を考えている場合」には「MRIの所見を超音波で見つける努力」が必要であり、「超音波で見つけて、そこを針生検して証明する」事が必要です。
★MRIは『拡がり診断目的で行うべきもの』であり、「他の部位に所見があったとしても、それは癌の存在診断ではなく、(癌の疑いとして)組織診断が必要」なのです。
「非浸潤癌の疑いの箇所は生検などしないものですか?」
⇒当然、超音波で確認し、「針生検すべき」です。
「1.8㎝だけ手術をして、非浸潤癌部分は放射線などの方法はないのでしょうか?」
⇒(MRIで「非浸潤癌の疑い」とされた部位が本当に非浸潤癌(と生検で証明された)ならば)「(放射線ではなく)その部位もきちんと切除するべき」です。
●局所療法の中心は「あくまでも手術」なのです。
(術後の)放射線照射は「あくまでも予防照射」なのです。
◎とにかく、『MRIで非浸潤癌が疑われる部位を超音波で確認』してもらってください。
もしも「超音波で全く所見が無い」のならば「MRIの方が誤り」と言う事も十分考えなくてはなりません。