[管理番号:4547]
性別:女性
年齢:61歳
母のことで、質問させていただきます。
一か月前に術後の化学療法を終えたのですが、体調が悪化してしまっており
今後の治療についてアドバイスをいただければと思います。
何卒よろしくお願いいたします。
昨年からの治療の経過は以下の通りです。
6月中旬 乳腺外科初診
マンモグラフィー、エコー、針生検(左乳腺から2本のCNB組織)
→乳がんの疑い
6月下旬 骨シンチ、造影CT、血液検査など
→骨・肺・肝臓・頸部には転移みられない
7月上旬 検査結果 ステージ2B、ルミナールBタイプ
核グレード1(Atypia2+, Mitosis= Score3)
ER-, PGR=30%, HER2=0, Ki67=25%
左乳房に2cm位、0.5cmくらいの2つの悪性腫瘍
湿潤性乳管癌で硬癌と診断される
リンパ節に1個の転移と白い炎症状のものが見える。
7月下旬 手術、左乳房全摘、リンパ節レベル1・2を廓清した。
(レベル③をみて転移があれば、レベル3も廓清すると言われたが、
手術後はレベル1・2のみ廓清したと言われる。)
8月 病理検査結果 ステージ3C、ルミナールBタイプ
核グレード3(Atypia3+, Mitosis= Score3)
ER-, PGR=3%, HER2=0, Ki67=40%
リンパ管・静脈侵襲、少数陽性
リンパ節外の脂肪にも浸潤
断端陰性
リンパ節レベル2上部13/13、レベル2下部17/17
乳房(乳腺)に2つの硬癌(25x10x20mm, 15mm離れて14x7mm)
9月 術後の化学療法開始
(AC4クール+ウィクリーパクリタキセル12回)
2月 術後の化学療法終了
今後、アロマターゼ阻害剤と放射線治療をする予定
化学療法はAC4クール+ウィクリーパクリタキセル12回でした。
〇AC4クール
副作用は、味覚障害と骨髄抑制があったものの比較的軽かった。
(骨髄抑制はジーラスタで対応)
〇ウィークリーパクリタキセル
骨髄抑制があり、途中2回ほど休薬しました。
後半9回の投与から頭痛と発熱が出てきました。
そのあと、9回目を一週間休薬して10、11、12回と3週連続して投与しました。
10回目の後からは、37度台の発熱に加えて頭痛が出てきました。
12回目の投与後からは頭痛がひどくなり、むかつきが強く出てきました。
〇治療後
パクリタキセル12回目の投与から一か月ほど経つのですが、頭痛・発熱は収まることがなく、
さらに吐き気がひどくなっています。
(ここ数日は食べても吐いてしまうことが多くなり、ずっと気持ちが悪いと訴えています。)
〇診断
1週間ほど前に、MRIで脳を検査しましたが、異常はない(脳転移などはない)という結果でした。
数日前、CTや血液検査もしましたが、問題ないそうです。
そのため、精神的なものと判断され、抗うつ剤と頭痛薬と吐き気止めを処方されています。
①化学療法終了後、一か月ほど時間が経過しているのにも関わらず、頭痛や吐き気の症状が悪化しています。
体力も低下している中で、このまま様子を見ていてもいいのか、アドバイスを頂ければと思います。
②今後、放射線治療とホルモン治療をする予定なのですが、当人の体力がない中で治療を開始してよいものか
判断がつきません。
アドバイスを頂けないでしょうか。
③そのほか、気になることとして2月ごろからずっと血圧の下が高くなっています。
(血圧の上が110-120、下が90-100程度)
これも体調不良と関係しているのでしょうか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
化学療法の副作用は「人それぞれ」です。
強く出る方は「終了後、2~3カ月」継続しても何らおかしくはありません。
心配な気持ちも解りますが「化学療法とはそういうもの」と割り切ってください。
ホルモン療法や放射線治療は「大きな副作用なく」できるとは思いますが、『敢えて、副作用が残っている時期に開始する必要はなし』です。
もう少し改善してから開始した方がいいでしょう。
「体力も低下している中で、このまま様子を見ていてもいいのか、アドバイスを頂ければと思います。」
⇒そのままで大丈夫です。
タキサン系の副作用は「蓄積」するので徐々に改善するのです。
「②今後、放射線治療とホルモン治療をする予定なのですが、当人の体力がない中で治療を開始してよいものか」
⇒可能だとは思いますが…(放射線もホルモン療法も、大した副作用はありません)
もう少し改善してからの方がいいでしょう。(無理して急いで開始する必要はないのです)
「2月ごろからずっと血圧の下が高くなっています。」
「(血圧の上が110-120、下が90-100程度)これも体調不良と関係しているのでしょうか。」
⇒その通りです。