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抗がん剤・浸潤性微小乳頭癌について

[管理番号:4298]
性別:女性
年齢:41歳
はじめまして。
よろしくお願いします。
昨年10月に自分でしこりを発見し、マンモグラフィー、エコーにより右乳癌が確定し、穿刺吸引細胞診、マンモトーム生検で「右乳管癌 疑いい」となりました。
右乳房には、3つのしこりがありました。
T : 腫瘍の大きさは、径1.8×1.5×1.5cm
N : 腋下の明らかな腫れはないとしてリンパ節転移はなし
M : 遠隔転移はなし
StageⅠということで、ひと月後には「皮膚温存乳房切除術」を行いました。
術前前日の説明で、主治医から細胞診や生検の検査結果の時には説明のなかった「invasive maicropapillary carcinomaを呈している癌である」とはじめて聞きました。
意味を尋ねると、「浸潤性微小乳頭癌と言って悪性度の強い癌という意味です」と言われ、頭が真っ白になりました。
その時は、手術で取り除いた乳房の病理検査の結果が出ないと何とも言えない・・というような説明でした。
翌日術中のセンチネルリンパ節生検で、転移が見つかりリンパ郭清を行いました。
(2個/14個中)
病理検査の結果は、
「右乳頭腺管癌」 腫瘍径 2.6×1.8×1.3cm
T : 2 N : 1 M : 0  stageⅡB
ホルモン受容体:エストロゲン・プロゲステロン受容体 ともに陽性
脈管侵襲:陽性
核異型度:1
HER2:2+ FISH:陰性
Ki-67:4~6%
サブタイプは「ルミナルA」
ホルモン療法:ノルバディックス5年間とゾラディックス2年間
放射線治療:右胸壁と右鎖骨上窩
が決まりました。
現在通院中の病院には、リニアックの装置がなく別の病院で放射線を受けることになり
けることになり、初診で放射線医師(大学病院の放射線腫瘍教室の先生らしいですが・・
らしいですが・・)より治療方針に疑問を持たれました。
「惑わすわけではないけども・・」と前置きしながらも、自身が今まで診てきた中で私のようなケースで抗がん剤なしで、いきなり放射線はいないと。
「リンパ節転移及び脈管侵襲があり、年齢的にも若く化学療法後の放射線、もしくは化学療法のみではいかがでしょうか」という内容で主治医に手紙が届き、主治医からの返事は「リンパ節転移及び脈管侵襲はあるが、Ki-67の値が低く、サブタイプはルミナルAで化学療法の効果の見込みはほぼなく、診療ガイドラインではリンパ節転移1~3個で放射線治療は推奨グレードBであるため」という内容でした。
主治医から私への説明も、手紙の内容と同じで診療ガイドラインに基づくと言われました。
同じようなタイプの患者さんはどのようにされたのか尋ねましたが、自分の経験ではデータ数的に少ない。
それよりももっとたくさんのデータを元に作成された診療ガイドラインに基づいて治療をすすめることがをすすめることが一番であるということでした。
セカンドオピニオンやオンコタイプDXの検討もしましたが、主治医の説明で再度納得し放射線治療でいくことにしました。
放射線医師も、私が主治医からの説明で納得していることで治療を開始することを了解されました。
ただ「レアケースですけどね」と最後に付け加えられ、また不安になりました。
現在は、ホルモン療法と放射線治療の最中です。
≪質問です≫
① 「invasive maicropapillary carcinoma」については主治医に尋ねても、放射線医師に尋ねてもさほど気にしなくても良いといった回答でした。
確かに、病理検査の結果だけでみれば癌自体の顔つきはさほど悪くなく、抗がん剤の効果も期待はできないと理解しています。
しかし、乳頭腺管癌はリンパ節転移や脈管侵襲が少ない癌であると何かで読みました。
私がそうでなかったのはmaicropapillaryが併存している癌だったからなのではと思えてなりません。
患者用乳がん診療ガイドラインには、特殊型について「それぞれの病態に応じた治療方針がガイドラインで示されている」と記載されていますが、それ以上のことは詳しく載っていません。
また、放射線医師は年齢的にみて抗がん剤を勧めています。
両方のことを踏まえ、私は抗がん剤を行う必要はないのでしょうか。
② 「maicropapillary」を教えてください。
ネットでいろいろ検索してみましたが、そこに記述されている先生によって理解の仕方が違うので混乱します。
今後も再発のしやすさなどを気にしたほうが良いのか、そこまで気にしなくてもよいのか・・。
田澤先生の過去のQ&Aでは「特殊型の予後を「少数例での検討」するのは止めにしてほしいものです」と書かれていました。
「maicropapillary」の単独型ではなく、併存している場合でも症例数的には少ないのでしょうか。
だから少数例でしか検討できないということなのでしょうか。
長々となりましたが、どうぞご教示のほどよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
私が主治医であれば(何の疑問もなく)
(放射線無しで)「ホルモン療法単独(タモキシフェン+LH-RHagonist)」となります。
「「リンパ節転移及び脈管侵襲があり、年齢的にも若く化学療法後の放射線、もしくは化学療法のみではいかがでしょうか」
⇒全く余計なお世話です。
 放射線科医が「放射線照射の適応」について意見をいうのは構いませんが、「化学療法の適応について口を挟む」ことは全くナンセンスです。
「私がそうでなかったのはmaicropapillaryが併存している癌だったからなのではと思えてなりません。」
⇒無関係です。
 考え過ぎです。
 実際には「乳頭腺管癌」であろうが、「硬癌」であろうが、「粘液癌」であろうが、「微小乳頭がん」であろうが、「脈管侵襲やリンパ節転移」とも無関係です。
 癌のステージには「性質」以上に、「時間」が重要になります。
 私が良く説明するのは…
 グレード1でも「長い時間」成長すれば、いずれは「ステージ2,3,4」へとなるし、
 (逆に)グレード3でも「早く」みつかれば、「ステージ0,1」などとなるのです。
「放射線医師は年齢的にみて抗がん剤を勧めています。」
⇒全く「バカバカ」しい。
 年齢は化学療法の感受性とは無関係であるし、(そもそも)現在は「乳がんの低年齢化」がすすんでおり、質問者の41歳というのが「若いから抗癌剤を」という年齢ではありません。
 
 20代であれば、「若いから…」と言う話もでるかもしれません(それでも、あくまでも「考慮する」程度です)
「両方のことを踏まえ、私は抗がん剤を行う必要はないのでしょうか。」
⇒必要ありません。
 その「両方のこと」は全く「抗ガン剤の適応とは無関係」です。
「maicropapillary」を教えてください。気にしたほうが良いのか、そこまで気にしなくてもよいのか・・。」
⇒忘れましょう。(無意味)
「maicropapillary」の単独型ではなく、併存している場合でも症例数的には少ないのでしょうか。」「だから少数例でしか検討できないということなのでしょうか。」
⇒併存している例は少なくはありません。
 ただ、その併存の割合も様々(僅か5%程度~半分近くまで ♯半分を超えると「優勢を占める組織型としてmicropapillary caという組織診断」となります)なので、「併存」として一括りにはできない(意味が無い)のです。