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温存手術後の治療について

[管理番号:3910]
性別:女性
年齢:58歳
いつも乳がんプラザを読ませていただいています。
初めて質問させていただきます。
58歳です。
今年9月の終わりに右乳房の温存手術をしました。
先日病理検査結果が出て
組織型 浸潤癌
がんのサイズ 1.4cm
断端 マイナス
センチネルリンパ節 マイナス
HER2 0
ホルモン ER(+)・PgR(+/-)
腫瘍周囲の脈管浸潤 なし
グレード 3
となっています。
今後の治療として
1.化学療法(TC療法) 4クール(グレードが3であるためと言わ
  れました)
2.放射線治療 25回
3.ホルモン治療 アナストロゾール錠「NK」内服5年間
  と言われました。
質問ですが
1.化学療法は本当に必要か。(必要ならばもちろんきっちり受けるつもりです)
2.一番先に化学療法と言われましたが、今月に息子の結婚式で遠方まで行く、大きな仕事が今月に集中しているなどがあり、副作用を考えて放射線治療を先にするのは問題があるか。
3.放射線治療を先にするならば、化学療法までの間にホルモン治療と放射線治療を同時にするということになっているが問題はないか。
4.化学療法をしながらの仕事継続は可能か。
5.和太鼓プレイヤーであるが、いつごろからプレイできるか。
  以上5点についておたずねいたします。
  よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0, luminal
十分な早期癌です。
まずはご安心を。
担当医はNG3を「化学療法の根拠」にしているようですが、「明らかな誤り」です。
ルミナールタイプの(ホルモン療法に加えて)「化学療法を上乗せするかどうか?」は通常ルミナールAとBに分類して決めます。
○担当医はKi67を測定していないのですか?
 Ki67でルミナールA(ホルモン療法単独)とルミナールB(ホルモン療法+化学療法)を分けます。
○OncotypeDXをしてみてはどうですか?
 化学療法による上乗せと10年再発率などが解ります。(上記Ki67だけで判断するよりも21遺伝子の検索によるのでより正確です)
「1.化学療法は本当に必要か(必要ならばもちろんきっちり受けるつもりです)」
⇒上記通りです。
 化学療法が必要でない可能性も高そうです。
「副作用を考えて放射線治療を先にするのは問題があるか」
⇒一般的には化学療法が先ですが…
 全く問題ありません。
「3.放射線治療を先にするならば、化学療法までの間にホルモン治療と放射線治療を同時にするということになっているが問題はないか」
⇒全く問題ありません。
「4.化学療法をしながらの仕事継続は可能か」
⇒全く問題ありません。
「5.和太鼓プレイヤーであるが、いつごろからプレイできるか」
⇒術後1週間もあれば十分です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
以前、化学療法より先に放射線治療をしてもいいのかをお尋ねいたしましたが、問題ないということで化学療法より先に放射線治療をし、昨日25回の放射線治療が終了しました。
ところが、放射線治療の副作用で皮膚のダメージが大きく、放射線科の先生も「こんなにひどい人はめったにいない」と驚かれるくらいです。
乳房全体は赤黒く腫れ上がり、脇においては炭のように焦げています。
乳房の下の方と脇から皮膚がめくれてきて血と液が混ざったようなものが出てきています。
ちょうど火傷で皮膚がめくれるような感じで、腐ったような臭いもします。
外からと内側からの痛みが激しく、痛みで気分が悪くなるほどです。
そんな中、明日、乳腺外科を受診し今後の化学療法の日程等を決めることになっているのですが、(Ki67の測定値が90%であったために化学療法を受けるつもりです)受診の前に田澤先生のご意見をお尋ねしたくてご質問させていただきます。
1. 放射線治療の副作用である皮膚の炎症に対してどういう治療をするのですか。
(現在は放射線科の方からリンデロンVローションを処方してもらっていますが、思わしくありません。)
2. この皮膚の炎症状態から、もとの皮膚に戻りますか。
戻るとすればどれくらいの期間がかかりますか。
3. 皮膚が炎症(めくれている状態)を起こしていても、皮膚の治療と化学療法を並行して行ってもいいですか。
4. 皮膚の状態が落ち着いてからの化学療法開始となると、術後から開始までの期間が長くなりますが、術後どれくらいの期間内に開始すれば問題ありませんか。
(9月下旬に温存手術しています)
以上4点お尋ねいたします。
TC療法4クールまでが今年度いっぱいで終了する計画ではりきっていたので、放射線治療の副作用のひどさに戸惑い、皮膚炎からの感染症等も心配しています。
それでも、ひとつづつきちんと治療していくつもりでいますので、田澤先生のご意見をよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「1. 放射線治療の副作用である皮膚の炎症に対してどういう治療をするのですか。」
⇒リンデロンを用いる事が多いです。
「2. この皮膚の炎症状態から、もとの皮膚に戻りますか。戻るとすればどれくらいの期間がかかりますか。」
⇒戻ります。
 実際に診ていないので不明ですが、3カ月位すると余程落ち付くでしょう。
「3. 皮膚が炎症(めくれている状態)を起こしていても、皮膚の治療と化学療法を並行して行ってもいいですか。」
⇒通常は問題ありません。
「4. 皮膚の状態が落ち着いてからの化学療法開始となると、術後から開始までの期間が長くなりますが、術後どれくらいの期間内に開始すれば問題ありませんか。」
⇒通常は3カ月が目安です。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、いつも丁寧な回答をいただだきありがとうございます。
その後TC療法を3クール終えて最後の4クール目になりましたが、4クール目のTC療法についておたずねいたします。
どうぞよろしくお願いいたします。
1クール目は、白血球が700になり嘔吐が続き水分も摂れない状態が1週間ほど続いた上に高熱も出たため9日間入院しました。
2クール目は、1クールの時に白血球が下がったのでジーラスタの皮下注をしましたが、ジーラスタをした当日から体調を崩し、高熱と白血球が20000以上になり14日間入院しました。
3クール目は、2クール目にしたジーラスタ皮下注の副作用が強く出たのでジーラスタをしなかったのですが、やっぱり白血球が下がり入院しましたが39.6℃前後の高熱が10日下がらずに、検査を重ねてニューモシスチス肺炎だとわかって21日間入院しました。
3クール目までは3週間クールでTC療法ができたのですが、ニューモシスチス肺炎にかかったこともあり最後の4クール目を3クール目から7週間目に行う予定になっています。
そこで質問させていただきたいのは
① 3週間クールで行うTC療法が最後の4クール目は7週間の期間が空いても問題はないのでしょうか。
② 3クール目まで終えたTC療法ですが、7週間期間が空く4クール目を体調を崩しても最後まで行った方が上乗せ効果は高くなるのでしょうか。
田澤先生も4クールまで終わらせることを勧められますか。
③ 4クール目をするとすれば、ジーラスタ皮下注は必須でしょうか?(担当医からは、白血球が下がる体質な上にニューモシスチス肺炎まで起こすようでは、ジーラスタ皮下注をしない訳にはいかないと言われています。)
お忙しい中に申し訳ありませんが、以上3点についてお尋ねいたします。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
TC3クールまでに3回とも入院するなんて、俄かには信じられませんが大変でしたね。(ちなにみ当院ではTCも含め化学療法で入院となったケースは1回もありまえん)
「① 3週間クールで行うTC療法が最後の4クール目は7週間の期間が空いても問題はないのでしょうか。」
⇒今までの経過、そして「肺炎」となった経過からすれば、当然「4クールは回避」すべきです。
 どうしても化学療法を完遂したい場合にはweeklyPTXにしてはどうでしょうか?
 それならば、さすがに安全に行えます。(というか、もっと早くTCは変更すべきだったのでは?)
 TC3回おわっているのだから、残りweeklyPTXは3回で十分です。
「田澤先生も4クールまで終わらせることを勧められますか。」
⇒上記通りです。
 どう考えても「3クールまでの状況から考え」このまま継続はおかしいと思います。(術後補助療法は身体を危険に曝してまで行うものではありません)
「③ 4クール目をするとすれば、ジーラスタ皮下注は必須でしょうか?」
⇒そもそもTCから離れましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

先生には、いつもたいへんお世話になっております。
明確な回答をいただき心強く感謝いたしております。
昨年の9月に温存手術後、放射線治療、化学療法と終わりまして、現在はホルモン治療(アナストロゾール服用)中ですが、ひと月ぐらい前から温存手術をした右胸が全体的にパンパンに腫れて(乳輪まで腫れています)硬くなって痛みもあります。
あまりに硬いので、胸全体にがんがはびこっているのではないかと思うくらいです。
痛みは、胸の奥に刺すような痛みもあれば、腕を上げた時に引きつるような痛みもあります。
(腫れているせいかもしれませんが…)
3週間ほど前の診察の時に晩期放射線障害ではないかと言われ、シナール配合顆粒とリカバリンカプセルの内服薬・リドメックスコーワ軟膏とヘパリン類似物質油性クリームの混合薬が処方されましたが、一向に改善の傾向が見られません。
放射線治療後半年経って起こった晩期放射線障害であれば、このまま処方薬を続ければいいのか、それとも、もしかしたらがんの局所再発ではないだろうかと心配で不安な日々が続いています。
5月初旬のエコーでは、異常なしということで安心していたすぐあとにこういう状態になりました。
そこで質問させていただきたいのは、下記の3点です。
1、 温存手術後、放射線治療をした右胸の腫れ、硬化、痛みは、晩期放射線障害だと思われますか。
そうだとすれば、治療の方法は上記処方薬でいいでしょうか。
また、晩期放射線障害ではないとすれば、他にどういうことが考えられますか。
2.放射線治療・化学療法が終わりましたが、今後はアナストロゾールを服用しながら、どれくらいの期間をおいて、どういう検査をしていけばいいのでしょうか。
3.TC療法中から続いている足の痺れが今も続いていますが、改善の見込みはあるのでしょうか。
お忙しい中に申し訳ありませんが、ご回答をよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
放射線による晩期障害とは少なくとも「数年先」のことをいいます。
「半年後に晩期障害」など、そもそも用語として誤っています。
「1、 温存手術後、放射線治療をした右胸の腫れ、硬化、痛みは、晩期放射線障害だと思われますか。」
⇒そもそも時期的に「晩期」にはあたりません。
「晩期放射線障害ではないとすれば、他にどういうことが考えられますか」
⇒普通に考えれば「手術+放射線」で(そもそもが)浮腫み易い状態に「ドセタキセルの影響が被った」と考えます。
 
 ヒルドイドでしょう。
「どれくらいの期間をおいて、どういう検査をしていけばいいのでしょうか。」
⇒3カ月処方なのだから、
 1.3カ月に1回の受診のたびに診察エコー
 2.半年程度に1回の採血マーカー
 3.1年に1回のマンモ
「3.TC療法中から続いている足の痺れが今も続いていますが、改善の見込みはあるのでしょうか。」
⇒半年位ですね。