[管理番号:3795]
性別:女性
年齢:67歳
田澤先生初めまして、いつも拝見しております。
9月(上旬)日に左胸を全摘手術しました。
病理組織診断は浸潤性乳管癌(充実腺管癌)
浸潤径:9㎜、
悪性度:Ⅲ
リンパ節転移:センチネル(0/3)転移なし
切除断端:陰性
エストロゲン受容体(100%)
プロゲストロン受容体:陰性
ハーセプテスト:陽性
ki67:38、6%
ルミナールB(HER2陽性)タイプです
9月(上旬)日からホルモン剤フエアストンを飲んでいます。
抗がん剤はパクリタキセルとハーセプチンを勧められていますが
副作用が楽な分転移再発のリスクが高くなるような気がして不安です。
田澤先生のご意見をお聞かせいただければ幸いです。
私は入院中に体重が落ちて、現在は39Kgです。
胃が弱くて胃薬を飲んでいます。
グレードがⅢとKI67が高いので転移しやすいのかと心配です。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN0
完璧な早期癌です。
抗HER2療法をスルわけですから、再発超低リスクと言えます。
「抗がん剤はパクリタキセルとハーセプチンを勧められています」
⇒妥当な判断です。
私も完全に一致します。
「副作用が楽な分転移再発のリスクが高くなるような気がして不安」
⇒そんな事を心配する状況ではありません。
再発超低リスクです。
「グレードがⅢとKI67が高いので転移しやすいのかと心配」
⇒早期である事が重要です。
「全くの杞憂」です。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、先日はご回答をありがとうございます。
先生のQ&Aはとても勉強になります。
充実性乳管癌、大きさ9㎜、グレードⅢ、リンパ節
転移なし、ER100%、PR陰、HER2+3、KI67-38.
6%、
ER100%(100%ってあるのでしょうか)はホルモン剤がよく効
くということですか
顔つきと書いてありグレードⅢとは核グレードがⅢということでしょうか
悪性度について調べてみました、
核グレードⅢ(悪性度が高い)、がん細胞の大きさ形ともに多形成を示し核分裂像多数のもの。
このグレードは腋かリンパ節転移のない場合の
術後化学療法決定に不可欠な情報のひとつとされています。
腋かリンパ節転移のない場合は核グレード1、2、3、の5年健存率は
98%、97%、81%ですとありショックを受けました。
さらに乳がんはどちらかといえばこの核グレードで予後がわかるといえる重要なものですと続きます。
早期でも、リンパ節転移がなくても決して安心できないと思いました。
グレードⅢでHER陽でパクリタキセルとハーセプチン療法で、充分転移を防げるのでしょうか。
最強ともいえる「ハーセプチン」に最強の「アンスラサイクリン系」の組み合わせの方がより効果があるのではないかと考えたりします。
若い方はEC+ハーセプチン療法をしていますが体重39㎏の私では副作用に耐えられないないのでしょうか。
後々後悔しないようにしっかり治療したいと思っているのですが。
お忙しい中まことに申し訳ございませんが先生のアドバイスをお願いいたします。
長々と申し訳ございません。
田澤先生から 【回答2】
*****
再質問をする場合は、原則として1週間程度あけてからお願いします。
*****
こんにちは。田澤です。
今回のメールが「1週間経っていない」ことをまずはご指摘します。
勿論「どうしようもない事情」があれば別ですが。
まず一言。前回の回答の一部を抜粋します。
(前回の回答、一部抜粋)
「グレードがⅢとKI67が高いので転移しやすいのかと心配」
⇒早期である事が重要です。
「全くの杞憂」です。
私に「何を聞きたい」のですか??
『質問者自身で調べると、自分は予後が悪いと(自分では)思うのですが、(前言を撤回して)予後は悪いと言って欲しい』のですか??
◎私は、前回回答したように、「グレードⅢとか、HER2タイプで予後が悪い」とは一切思っていません。
それについては、前回も回答した筈ですが…
もしも、ご自分で調べたネットの情報を信じるのであれば、それは(私にとっては)構わない事です。(ご本人の自由です)
ただ、前回私が回答している事に対し、私が訂正する事などありえません。
「先生のアドバイスをお願いいたします。」
⇒前回と全く(1ミリも)変わりません。
あくまでも早期乳癌。予後良好であり、「非アンスラサイクリンレジメンの適応」です。
私の言う事を信じないのであれば、このQandAをしても無意味だと思います。
質問者様から 【質問3】
嚢胞内腫瘍について
性別:女性
年齢:68歳
田澤先生いつもお世話になっております。
先生にはお忙しい中ご丁寧なお返事をいただきまして大変感謝いたして
おります。
4回の抗がん剤(FECでした)の副作用は思っていたより
楽で現在はハーセプチン12回を終えたところです。
本日は嚢胞内腫瘍についてご質問させていただきます。
3年前健診で左胸に石灰化を指摘され乳腺クリニックを受診、マンモ、
エコー、触診の結果1年の経過観察でした。
翌年も同じクリニックを受診し異常なしといわれました。
7か月後の昨年7月に左胸に、ムニュムニュした柔らかいしこりのようなものがあり驚いて大きな病院の乳腺外科を受診しました。
そこでもマンモ、エコーの画像では癌が写らなかったのか担当の先生が
「良性の場合もあるので」とおっしゃっていました。
その場で針生検をしましたが、嚢胞の事は何も説明は有りませんでした。
当時私は「嚢胞」も「針生検のリスク」も全く知りませんでした。
2週間後の結果は乳がんでした。
最近「嚢胞内腫瘍について」のQ&Aを拝読し、左胸のムニュムユした柔らかいしこりのようなものは嚢胞内腫瘍だったのではないかと思うようになりました。
1、先生、左胸の柔らかいしこりのようなものは嚢胞内腫瘍だった可能
性はありますでしょうか。
2、もし嚢胞内腫瘍だった場合針生検で癌細胞が体の中に広がったと考
えられますか。
3、病理結果は充実腺管癌と記載されておりました、これは嚢胞内腫瘍
ではないということですか。
4、もし針生検で癌が体じゅうに広がった可能性があるならFEC4回
ハーセプチン18回、フエアストン5年の治療方針ですが、タキサ
ン系を追加治療した方が良いのでしょうか。
わからないことばかりで長文になりましたこと誠に恐縮ではございますがご教示いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「1、先生、左胸の柔らかいしこりのようなものは嚢胞内腫瘍だった可能性はありますでしょうか。」
⇒全く根拠がありません。(判断しようがありません)
担当医に聞いてみましょう。
「2、もし嚢胞内腫瘍だった場合針生検で癌細胞が体の中に広がったと考えられますか。」
⇒全くの誤った理解です。
嚢胞内腫瘍を破った場合の懸念は「乳腺内への散布」です。
質問者は全摘しているのだから、無駄な心配です。
「3、病理結果は充実腺管癌と記載されておりました、これは嚢胞内腫瘍ではないということですか。」
⇒組織型は無関係です。
どんな組織型であれ、乳管を閉塞すれば嚢胞内腫瘍の形態をとるのです。
「4、もし針生検で癌が体じゅうに広がった可能性があるならFEC4回 ハーセプチン18回、フエアストン5年の治療方針ですが、タキサン系を追加治療した方が良いのでしょうか。」
⇒前回、前々回の回答に全く変更はありません。(非アンスラサイクリンレジメンで十分)
質問者様から 【質問4 石灰化の不安とマンモグラフィーの時期】
性別:女性
年齢:69歳
田澤先生いつもお世話になっております。
私は昨年Q&Aで質問させていただいたものです。
よろしくお願い致します。
1年半前に左胸を全摘、今年1月にハーセプチン治療が終わりました。
3月上旬に主治医先生の診察、採血、CT、術側、健側のエコーがあり問題なしでしたが、健側のマンモ検査がなかったのが気になりました。
私は術側に石灰化が見つかって、2年の経過観察中に自己検診でしこりを見つけた経緯があります。
エコーで健側にがんの所見が無ければ石灰化は気にしなくてもよいのでしょうか。
術側に石灰化が見つかる前、両胸に痛みがありました。
健側は現在も鈍痛、重苦しさがあります。
抗がん剤、ハーセプチン中も痛みがあったのですが、ハーセプ中はがんが出来ない、終わったらよく診ましょうと言われました。
術前にマンモ検査をしてから1年8か月になるので病院でマンモがなかったら健診センターで健康診断の際マンモをするつもりでしたが、
看護師さんに健康診断は乳がん検診を除いて受けるようにと念を押されました。
以前、Q&Aで大学病院で手術をした質問者様が、健側の検査を近所のクリニックでと思ったら、主治医の紹介状が必要と言われたとありました。
手術をした病院で診て頂いている間は他のクリニックや健康診断で乳がん検診をしてはいけない決まりがあるのでしょうか。
田澤先生は、手術→抗がん剤→ハーセプチン治療後、何時ごろマンモをするのですか。
ハーセプチン治療直後はマンモ検査をする必要がないのでしょうか。
「当院でも術後1年経過した時点で術側も含めてマンモグラフィーをするようにしています」と先生のサイトを拝見しましたので3月の診察でマンモをしなかった事が不安です。
次の診察で主治医先生にマンモ検査の事を尋ねるつもりですが、先に田澤先生のご意見をお伺いしたくてメール致しました。
先生のご意見を頂ければ幸いです。
質問が愚問でしたらお許しください。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「手術をした病院で診て頂いている間は他のクリニックや健康診断で乳がん検診をしてはいけない決まりがあるのでしょうか。」
⇒ありません。
「田澤先生は、手術→抗がん剤→ハーセプチン治療後、何時ごろマンモをするのですか。」
⇒ハーセプチンをしているうちに(最初の)1年は過ぎるので…
(抗HER2療法をしている人は)2年目にマンモを撮影します。
「ハーセプチン治療直後はマンモ検査をする必要がないのでしょうか。」
⇒あまり厳密に考える必要はありません。
2年目でいいでしょう。
質問者様から 【質問5 】
肝臓の血管腫は転移とも考えられますか
性別:女性
年齢:70歳
病名:左乳がん
症状:
田澤先生いつもお世話になっております。
私は昨年6月2日にメディカルプラザ市川駅で、田澤先生に右胸(健側)のエコー検査とマンモ検査をして頂いた者です。
その節は大変お世話になりました。
ありがとうございます。
検査結果は石灰化も乳がん所見もなく、腋の良性のリンパ腫も消えているとおっしゃって頂きまして、安心して帰路につきました。
術後1年3か月のCT検査、血液検査も異常なく、2年検診の腹部エコー検査も問題ありませんでした。
今年の3月(中旬)日に近所の病院で受けました、腹部エコーで肝臓に14.6mmの血管腫があると指摘され、心配ならCTかペット検査を受けなさいと言われました。
聞きなれない病名に驚いています。
また1月中旬頃から体重が減り、
もしかしたら肝臓への転移ではないかと不安になっております。
次の診察が5月で1か月以上、間がありますので、先に田澤先生のご意見をお伺いしたくメール致しました。
よろしくお願いいたします。
1 肝臓の血管腫は乳がんの転移という事も考えられるのでしょうか
2 すぐに消化器内科か肝臓内科を受診して、MRIまたはCTかペット
検査等をするべきでしょうか。
3 主治医先生に連絡をして手術をして頂いた病院で診て頂くのが良い
のでしょうか。
田澤先生のお考えを、お伺い出来ますなら幸いです。
よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「腹部エコーで肝臓に14.6mmの血管腫」
「肝臓への転移ではないかと不安」
→10000%無駄な心配です。
肝血管腫は、極めて「良くある」良性腫瘍です。
ご安心を。
「1 肝臓の血管腫は乳がんの転移という事も考えられるのでしょうか」
→奇想天外な心配です。
無駄な心配を辞めるのは「今でしょ」
ご安心を。
「2 すぐに消化器内科か肝臓内科を受診して、MRIまたはCTかペット検査等をするべきでしょうか。」
→全く「不要」
余計なことは止めましょう。
「3 主治医先生に連絡をして手術をして頂いた病院で診て頂くのが良いのでしょうか。」
→不要です。
余計な心配は今すぐ止めて安眠しましょう。
質問者様から 【質問6 】
手術から5年後の無治療の不安
性別:女性
年齢:73歳
病名:
症状:
投稿日:2022年4月19日
田澤先生いつもお世話になっております。
私は2018年6月2日に市川病院で右健側のエコーとマンモグラフィ検査をしていただいた者です。
結果は石灰化も癌所見も無く、腋下の良性リンパ腫も消えていると、ご丁寧に分かり易く説明して下さいましてとても気持ちが楽になりました。
その後、心穏やかに4年間過ごせました事を田澤先生に感謝申し上げます。
ありがとうございました。
昨年9月、術後5年検診日に主治医先生から「フエアストンは終わりです」と言われま
して、その後の再発転移の不安を伝えましたら「抗がん剤もしているし、ハーセプチンもしているので大丈夫で
しょう」と仰って詳しい説明が無いままホルモン療法は終了しました。
再発転移を少しでも予防出来るなら、あと5年間ホルモン療法を続けたいと考えておりましたが主治医先生が「終了です」と仰るのでそれ以上言い出せず悩んでおります。
私はパソコンが不慣れですから、すぐにでも市川病院で田澤先生に診察していただきご意見をお伺いしたいのですがコロナ禍で上京出来ずにおります。
①4年前、先生に「フエアストンを長く服用すると子宮体癌になる場合も有ります、アロマタ-ゼ阻害剤の方が良いのですが」とアドバイスを頂き、半年ごとに婦人科を受診しています。
先生の仰る通り子宮内膜は4.2mmから6.7mm、7.6mmと肥厚しております。
一度MRI検査を受けましたらポリープのようなものが有り経過観察となりました。
このままフエアストンを続けると子宮体癌の心配が有るので、ホルモン療法は終了したと考えられますでしょうか。
本来なら主治医先生にお尋ねすべきですが、その前に田澤先生のご意見をお伺いしたくてメールしました。
②以前ご助言いただきましたアロマターゼ阻害剤については「レトロゾールのようなアロマターゼを阻害する薬にタモキシフエンを上回る再発抑制効果や生存率を高める効果があることが分かってきた為アロマターゼ阻害剤が使われるようになってきました。
ただしタモキシフエンに比べ骨量を減少させるという問題もあり、骨量を増やすビスフオネート製剤を利用する事が必要です」という記事を見つけまして、乳がん患者にとって心強い薬が出たことに大変興味を持ちました。
私の手術直前の骨密度検査結果は
骨密度:0.251g/cm、若い人と比較した値は52%、同年代と比較した値は75%、
「若い人と比較した値はかなり低下している。
骨粗鬆症の疑いもある」とコメントがありました。
これではこの先の5年間のアロマターゼ阻害剤は無理でしょうか。
③以前先生はQ&Aで典型的な充実腺管癌は増殖傾向が強く核異型度が高いケースが多いと仰っていました。
他にも充実腺管癌は骨、肺、肝臓、脳転移しやすいと言われます。
私の病理組織診は、浸潤性乳管癌(充実腺管癌)、径9mm、悪性度Ⅲ、ki67:
38.6%、リンパ節転移0/3
で悪性度が高く術後5年経ってからも再発転移するリスクが高いのではと不安です。
術後5年7か月たちましたが再発転移の予防のために、後5年間何かしら治療(療法)をしたいと思っております。
でも、骨密度の低い点、子宮内膜の肥厚などを考慮しますと私の場合、今後予防薬はないのでしょうか。
長くなりまして誠に恐縮ではございますが先生のご意見を頂ければ幸いです。
前回は送信を間違えましたが今度は上手くいきますようにと祈るような気持ちで送信しました。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは田澤です。
ホルモン療法が5年なのか?10年なのか?
エビデンスとしては閉経前のtamoxifenも、閉経後のaromatase inhibitorも「5年より10年が再発率を低下する」という臨床試験結果となっています。
★ただ実臨床では、どうでしょうか?
無論、施設もしくは医師により見解が異なることは承知の上で「私の」見解を示します。
1.5年の時点で「まだ」30歳代の場合 やはり年齢を考えると(その後の長い余命も含め)「5年より10年」を勧めます。
2.5年の時点で「すでに」80歳以上の場合 (1とは逆に)「5年でいいのでは」と5年を勧めます。
3.腫瘍径が1cm以下 これも「低リスク」故に「5年でいいのでは」と5年を勧めます。
質問者の場合は3を充たします
よって、「5年で終了」とした主治医の意見に同感です。
ご参考に。
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再質問をする場合、下記日付以降にしてください。
2022/5/2
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