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非浸潤性乳管癌から浸潤癌へのグレードアップについて

[管理番号:3075]
性別:女性
年齢:33歳
田澤先生、はじめまして。
インターネットであれこれ見て不安になる毎日で、ぜひ田澤先生のお話を伺いたいと
思い今回投稿させていただきました。
宜しくお願いします。
4月(下旬)日に右乳房内側上にしこりを発見し、4月(下旬)日に会社の健康診断で自己申告し、初めてエコーをしてもらいました
しこり(約1.5センチ)が2個映っていたため大学病院を紹介され、5月(上旬)日に大学病院でエコーとマンモ(自己申告)をしました。
「画像を見たところ乳腺症だと思いますが、念のため針生検もやりましょう」という
ことで、5月(中旬)日にエコーの針生検で5ミリほど切開して3箇所から組織をとりました。
そして、5月(下旬)日に低悪性度の非浸潤性乳管癌との診断を受けました。
これから、CT、MRI、骨シンチの検査をし、検査結果を見てからですが、手術は早くても7月頃になるそうです。
そこで質問させていただけますでしょうか。
①非浸潤性乳管がんで、突然1.5センチのしこりが形成されることはあるのでしょうか?
わかりやすいところにあるのに、これまでまったく気づきませんでした。
先生に、「いつ頃できたものなのでしょうか?」と伺ったところ、「それはわかりませんが、1センチになるのに数年かかるので、1.5センチのしこりだと5~7年前からあった可能
性もあります」と言われました。
それほど長い間、非浸潤性のまま乳管に留まっていたということもあるのですか?
②「本当に非浸潤性ですか?」と伺ったところ、「針生検で一番悪いと思われるところをとって
非浸潤性乳管癌だからほぼそうだと思います」とのことなのですが、他に浸潤している可能性もやはり可能性としてはあるのですよね?
非浸潤癌と思っていたものが、実はステージが高い浸潤癌だったということもあるのでしょうか?
③昨日あたりから、右胸のしこり部分がズキっと痛みを感じたりわきの下がピリピリしたり体が熱っぽく感じるのですが、浸潤が始まってしまったのでしょうか?
どれくらいの期間で浸潤が始まってしまうのか、手術の時までに転移していないか心配でなりません。
実は、3月末から右肩と右首のコリがひどく、もしかして既に骨に転移してしまっているのでは・・・と心配しています。
生理日前というのも関係しているのでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問の意図とは異なりそうですが…
このメール内容を見て、どうしても言いたくなってしまうのでご勘弁願います。
「非浸潤癌の診断」で「CTや骨シンチなどやるな!」
「33歳と言う年齢も全く考慮していないのか?」
全く大学病院の医師は… 何を考えているのか?何も考えていないのでしょう。
どうも、すみません。
勿論質問者には罪はありません。
ただ、これからご自身の身を守るために重要なこととして、是非『今週のコラム6回目 「無駄どころか、有害なのです」』をご一読ください。
もしも、「それら無駄な検査がこれから」ならば、是非「断ってしまいましょう」
(自分の身は自分で守ってください)
 
「①非浸潤性乳管がんで、突然1.5センチのしこりが形成されることはあるのでしょうか?」
⇒非浸潤癌の典型的な形成過程を説明します。
 乳管内に非浸潤癌が増殖し、「乳管内で薄く拡がって」から、「乳管を拡張させるように」厚みを増すのです。
 つまり、「薄く拡がっている」間は、しこりとして認識できないので「突然、1.5cm」というように感じるのです。
 
「それほど長い間、非浸潤性のまま乳管に留まっていたということもあるのですか?」
⇒低悪性度の非浸潤癌は5年も10年も「非浸潤癌のまま留まるケースが多い」です。
 それに対してhigh gradeの非浸潤癌は「比較的、早く浸潤癌へ移行」し易い事が知られています。
 
「他に浸潤している可能性もやはり可能性としてはあるのですよね?」
⇒それはありますが、「低悪性度の非浸潤癌の場合は」かなり低いです。
 
「非浸潤癌と思っていたものが、実はステージが高い浸潤癌だったということもあるのでしょうか?」
⇒ステージが高いことはありません。せいぜい1期です。
 
「③昨日あたりから、右胸のしこり部分がズキっと痛みを感じたりわきの下がピリピリしたり体が熱っぽく感じるのですが、浸潤が始まってしまったのでしょうか?」
⇒浸潤が始まっても「症状はありません」無関係です。
 
「どれくらいの期間で浸潤が始まってしまうのか、手術の時までに転移していないか心配でなりません」
⇒それは誰にもわかりませんが…
 2,3カ月では大して変わり無いと思います。
 
「実は、3月末から右肩と右首のコリがひどく、もしかして既に骨に転移してしまっているのでは・・・と心配しています。」
⇒それは1000%ありません。
 だから「骨シンチは止めるべき」です。(自分の体のことを考えれば)
 
「生理日前というのも関係しているのでしょうか?」
⇒そうだと思います。
 余計な心配は一切無用です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
いつも拝見しています。
5月末に非浸潤性乳管癌と診断を受け、セカンドオピニオン先の病院で7月中旬に温存手術を受けました。
病理の結果は、6cm大の非浸潤癌で、一部に浸潤部分が見つかりました。
浸潤部分の大きさは3㎜で、グレードは1でした。
手術ではRIと色素法を併用したセンチネルリンパ節生検を行い、リンパを3つとって検査したところ3つともリンパ転移はありませんでした。
非浸潤部分のサブタイプは、針生検でホルモン陽性でした。
浸潤部分のサブタイプはまだ結果がでていないのですが、大きさが3㎜と小さいため、抗がん剤はおすすめしませんが、もしHER2陽性だった場合は、ハーセプチンを単独投与したほうがいいでしょうとの説明を受けました。
もちろん抗がん剤と併用したほうが効果はありますが、抗がん剤まで投与することはおすすめしませんとのことでした。
今後の治療としては、ノルバデックス5年間と、局所再発を抑える放射線治療を8月中旬から30回の予定です。
サブタイプ次第では、ハーセプチンを1年間単独投与の可能性もあります。
この場合、田澤先生はどのような治療をすすめますか?
もし、サブタイプがトリプルポジティブ、トリプルネガティブであったとしても抗がん剤は不要と考えますか?
非浸潤癌から浸潤癌になってしまいましたが、私は根治するでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
pT1a(3mm)ですね。
当然、抗HER2療法も化学療法も適応外です。
「浸潤部分のサブタイプはまだ結果がでていないのですが、大きさが3㎜と小さいため、抗がん剤はおすすめしません」
⇒当然です。
「が、もしHER2陽性だった場合は、ハーセプチンを単独投与したほうがいいでしょうとの説明」
⇒完全な「誤り」です。
 決して「ハーセプチン単独投与」など行ってはいけません。
 ハーセプチン単独投与は適応外です。(単独投与によるエビデンスは全くありません)
「今後の治療としては、ノルバデックス5年間と、局所再発を抑える放射線治療を8月中旬から30回の予定です。」
⇒非浸潤癌のサブタイプを浸潤癌に適応してはいけません。
 そもそも「3mmの浸潤癌でホルモン陽性」だとしても「ホルモン療法すべきか?」という程度です。
「サブタイプ次第では、ハーセプチンを1年間単独投与の可能性もあります。」
⇒これは誤りです。 止めましょう。
「この場合、田澤先生はどのような治療をすすめますか?」
⇒基本的に無治療です。
 浸潤部分がホルモン陽性であれば、「ホルモン療法すべきか」相談します。
「もし、サブタイプがトリプルポジティブ、トリプルネガティブであったとしても抗がん剤は不要と考えますか?」
⇒不要です。
「非浸潤癌から浸潤癌になってしまいましたが、私は根治するでしょうか?」
⇒当然、根治する可能性の方が遥かに高いです。