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閉経前患者のホルモン治療について

[管理番号:1366]
性別:女性
年齢:47歳
田澤先生、
はじめてご質問させていただきます。
2012年9月、44歳の時に、日本で乳癌温存手術、10月から放射線療法、ホルモン治療を開始、翌年7月にシンガポール(星)に転居し、現在、こちらのオンコロジーの医師のもとで治療を継続しております。昨年夏から、治療計画について、日本の主治医と星の医師で意見が異なり、自分にとって何がベストな治療法なのか非常に混乱しており、田澤先生からぜひサードオピニオンをいただけますと助かります。お忙しいところ、長いメールになってしまい大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。(ホルモン治療完了前に日本へ帰国する可能性があることから、日本の主治医のところでも、年に1度診察および検査を受けております)
私の病理検査結果は下記の通りです。
ステージ I (硬がん、腫瘍径:0.8cmX0.5cmX1.0cm)
切除断片、リンパ管侵襲、血管侵襲:陰性
ER、PgR:90%
HER2:陰性(IHC 2+、FISH 1.39)
グレード2
Ki-67: 10%
リンパ節転移:なし(センチネルリンパ節生検 0/1)
日本の主治医の治療計画は、放射線療法の後、ホルモン療法(リュープリン3年、タモキシフェン5年)とのことでしたが、シンガポールの医師からは、リュープリンも5年にした方がよいということで、(日本の医師からも了解を得て)延長する方向で治療を進めてきました。
2014年6月、リュープリンなどで(擬)閉経状態である場合、タモキシフェンよりもエキセメスタンの方が無病生存率(DFS)が上がるという臨床試験結果がASCOで発表されたのを受けて、星の医師から、(リュープリンを継続した上で)、タモキシフェンからアロマシンに変更、更に、アロマシン服用による骨粗鬆症を予防するために、ゾメタを半年に1度、点滴投与する治療に変更しようと強くすすめられました。この臨床試験の結果以外に、星の医師が治療変更をすすめた理由として、タモキシフェン服用以来、WBC(@2.2-3.2で推移)、PLT(@108-130で推移)が正常値を下回っていること(軽い骨髄抑制)、GGT(@55-103で推移)が正常値を上回っていること(肝機能への影響)から、タモキシフェンは私の身体にあっていないのでアロマシンへ変更することにより、これらの数値が正常になるかもしれないと言われました。また、タモキシフェンを服用する患者の3割は、タモキシフェンが効かないこと、薬の効果は2~3年で低下するので、タモキシフェン2~3年服用後にアロマシンに変更した方がよいと言われました。ゾメタに関しては、骨転移の予防効果もあるのでなるべく早く追加した方がよいとすすめられました。
突然の治療変更に非常に混乱し、すぐ日本の主治医の意見を仰ぎましたところ、日本では、閉経前乳癌患者へのアロマシンは保険適用外であることから、同医師のもとではこの治療は行えないこと、私のがんのタイプでは、アロマシンへ変更することにより得られるベネフィットはあまりないと言われました。(ゾメタに関しては、骨転移の予防に効果はないと思うということでした)日本の医師の意見に加え、私は、昨年、2度、両足股関節の関節鏡手術をし、リハビリ中であったことから、アロマシンによる副作用(関節痛など)によりリハビリが困難になることを危惧し、現在に至るまで、当初の予定のまま、リュープリンとタモキシフェンの治療を続けています。その後も、星の医師からは、2014年12月に、別のSOFT試験でもエキセメスタンの方がタモキシフェンよりも有効であるとの結果がでたと話があり、アロマシン(+ゾメタ)への変更を強くすすめられています。(よく読むと、化学療法を行ったような高リスク患者および35歳未満の閉経前患者の場合だと思うのですが)
また、今年5月にはじめて行った骨密度検査(DEXA法)で、(昨年の股関節手術の影響もあるのかもしれませんが)骨減少症(T-Score -1.1(腰椎) -1.9(左大腿骨))と診断され、ゾメタだけでも早くはじめたほうがよいと強く言われました。2ヶ月後の7月に、日本で再度DEXA検査を受けましたが、YAM91%(腰椎)、71%(左大腿骨)でした。表す基準が異なるのですが、5月と7月の骨密度をみると、0.884g/cm2→ 0.924g/cm2(腰椎)、 0.633g/cm2→ 0.558g/cm2(大腿骨)と腰椎は少し改善しているものの、大腿骨の値はさらに低下してしまいました。
そこで、下記の点について質問させてください。
1.
星の医師から、私のがんのタイプでは、(リュープリンをした上で)アロマシンの方がタモキシフェンよりもDFSが3~4%上がると言われましたが、本当に、アロマシンの方がよいのでしょうか?日本では、保険適用外ということで、治療はできないかもしれませんが、現在、海外にいるので、もし、DFSが確実に上がるというならば、がんの再発予防を第一に考えると、副作用は心配ですが、アロマシンに変更すべきなのかと悩んでいます。
2.
星の医師に、日本では保険適用外なのでアロマシンの治療ができないということを話したところ、「日本は薬の導入が遅すぎる。ASCOの臨床結果をうけて、欧米では、私のがんのタイプの治療に、欧米では、タモキシフェンではなく、エキセメスタンを使用する医師が多くなると思う。特に、タモキシフェンが身体にあわない患者(私)になぜアロマシンを代用できないのか疑問だ」と言われました。素人の考えですが、臨床試験の数の少なさ、短いフォローアップの期間、臨床試験参加者が日本人ではないことなどから、エキセメスタンの方が本当に(特に日本人にとって)有効であると言えるのかわかりません。今後も、同様の臨床結果がでて、欧米中心に、エキセメスタンを選択する医師が増えてきた場合、私はどう考えればよいのでしょうか?星では、何人か(オンコロジー以外)専門医の診察を受けたことがありますが、皆、日本は欧米では使用しなくなった薬をまだ使用している、新しい薬の導入が遅いなどとよく言われます。
3.
星の医師から、これ以上BMDが低下した場合には、ゾメタの投与は待ったなしだと言われました。医師からは、骨密度低下は、リュープリンの影響だと言われたのですが、リュープリンを中止すれば骨密度は戻るのでしょうか? それとも、いったん失った骨密度は戻らず、リュープリンを中止したとしてもゾメタを服用しなければならないでしょうか?
4.
骨減少症と診断されてから、カルシウム(VDなども含む)サプリメントを増量し、運動も定期的にするように心がけています。日常生活を改善しても、薬による影響は、骨減少を食い止めるほどではないのでしょうか?星の医師は、次回の骨密度検査は1年後の来年5月にすると話していますが、リュープリンを続けたまま、1年も待っても大丈夫なのでしょうか?
5.
日本でホルモン療法をはじめた時に、リュープリンで骨減少が起こるが、タモキシフェンは骨に対して逆に作用するので、両方している間は、骨密度はあまり心配ないと言われました。骨密度の検査を受けるまでは、WBC、PLT、GGTの値に影響がでていることから、タモキシフェンが効きすぎていると思っていたのですが、骨密度が低下したというのは、(股関節手術の影響もあるのかもしれませんが)タモキシフェンがあまり効いていないということでしょうか?星の医師から、タモキシフェンを服用する患者の3割は、タモキシフェンが効かないと言われたのが非常にひっかかっており、効いてないのなら、5年も服用せず、アロマシンに変更したほうがいいのではと思ってしまいます。また、日本でタモキシフェンを開始した10日後に、骨髄抑制との診断を受け、1ヶ月中断し、トレミフェンに変更した経緯があります。(星ではトレミフェンがないので、来星前に、タモキシフェンに変更して現在も服用しています)WBC、PLTが依然正常値以下なのですが、タモキシフェンは身体にあってないのでしょうか?
6.
日本の医師の治療計画ではリュープリン3年で、前回8月末にうけた注射で終了となります。再来週、こちらで3ヶ月のリュープリン注射をする(延長に入る)予定なのですが、リュープリンを5年ではなく3年で中止した場合、再発リスクはどのくらい上がるのでしょうか?星の医師からは、私の場合、①タモキシフェン単独、②タモキシフェン+リュープリン、③アロマシン+リュープリン(+ゾメタ)を比較した場合の再発リスクは、①→②で1ー2%、②→③で3ー4%低くなると説明されました。①と②の選択肢だけだったら、差が1~2%なので、リュープリンを中止してしまおうかとも思うのですが、③の治療をすすめられている中で、それより5%強再発率が高くなる①の治療を選択するのが怖いのが現状です。私にとって、①を選択するのもありなのでしょうか?
7.
もし、リュープリンを中止した場合、女性ホルモンの値が上昇したり、生理がはじまったりしても、大丈夫なのでしょうか?(生理がはじまったりすれば、がんに餌を与えていると精神的に不安になってしまうと思います)
8.
星の医師から、アロマシンに変更しない場合、タモキシフェンを10年服用するほうがよいと言われました。タモキシフェン10年服用とタモキシフェンとアロマシン計5年服用とで再発予防効果が同じくらいになるということでした。以前、タモキシフェンは5年よりも10年服用したほうがいいとの研究結果を読んだことがあります。日本の医師からは、タモキシフェン5年の後、アリミデックスを5年することもあると言われたのですが、どの選択がよいのでしょうか?早期乳がんでは、5年、10年以降の晩期再発もあると読んだことがあるので、治療をやめると不安です。晩期再発はどのくらいあるのでしょうか?
9.
星の医師から、アロマシンをすすめられている理由として、WBC、PLT、GGTの値が正常値ではないことがありますが、白血球の数値が低い状態やGGTの値が高い状態が長期に及ぶことで、身体の他の臓器に影響はありますか?影響があるようであれば、タモキシフェンも中止しないとなりませんか?
以上、状況説明が長くなり申し訳ございませんが、ご意見くださいますようお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を読みました。
基本的には「日本とシンガポールの保険制度の違い(きっと、シンガポールは個人保険なのでしょうね)」から来るものですね。
まず、日本では「アロマシン」の閉経前治療の適応はありません。それで、「LH-RHagonistとの併用のデータがでても、使用できない」のです。
また、日本では「ゾレドロン酸(ゾメタ)は骨粗鬆症では使用できません。あくまでも骨転移が適応条件」です。日本で使用できる骨粗鬆症に用いられる注射薬には「デノスマブ」があります。
LH-_RHの至適投与期間については「まだ解っていない」と言うのが事実です。
ただし、「ATLASの長期試験の結果に引っ張られる」形でSt.Gallen 2015では「5年投与」がvoting結果としては最も多かったので、今後は「長期投与」となってくるかもしれません。

回答

「私のがんのタイプでは、(リュープリンをした上で)アロマシンの方がタモキシフェンよりもDFSが3~4%上がると言われましたが、本当に、アロマシンの方がよいのでしょうか?」
⇒データ上は、そのようです。
 日本では「保険適応がない」ので、勿論使用できませんが、海外で使用する場合は構わないでしょう。
 
「欧米中心に、エキセメスタンを選択する医師が増えてきた場合、私はどう考えればよいのでしょうか?」
⇒勿論、これは「LH-RHagonist併用」という条件づきです。
 海外で治療するのであれば、「海外での考え方」に従ってもいいと思います。
 
「骨密度低下は、リュープリンの影響だと言われたのですが、リュープリンを中止すれば骨密度は戻るのでしょうか?」
⇒戻ると思います。
 
「日常生活を改善しても、薬による影響は、骨減少を食い止めるほどではないのでしょうか?」
⇒そう思います。
  
「タモキシフェンがあまり効いていないということでしょうか?」
⇒そういう訳ではないと思います。
 LH-RHと併用している場合は「骨密度は下がる」のが普通です。
  
「タモキシフェンを服用する患者の3割は、タモキシフェンが効かないと言われた」
⇒「CYP2D6]の変異による「エンドキシフェンへの代謝活性低下」についてのコメントでしょうか?
 どうしても「気になるのであれば」「CYP2D6]を受けてみる手はあります。 ただし日本乳癌学会は推奨していません。
 
「WBC、PLTが依然正常値以下なのですが、タモキシフェンは身体にあってないのでしょうか?」
⇒そんなことは無いと思います。
 『WBC(@2.2-3.2で推移)、PLT(@108-130で推移)』という数値は、私であれば「全く気にしません」
 
「リュープリンを5年ではなく3年で中止した場合、再発リスクはどのくらい上がるのでしょうか?」
⇒あまり変わらないと思います。
 SOFT試験の結果を引き合いにだすと、「35歳未満」と「化学療法を行うハイリスク」以外では「LH-RHagonistによる上乗せ」は無かったのです。
 その意味では「そもそも質問者にはLH-RHagonistの適応ではない」と思います。
 
「私にとって、①を選択するのもありなのでしょうか?」
⇒私であれば①とします。
 SOFT試験が、その根拠です。
 
「リュープリンを中止した場合、女性ホルモンの値が上昇したり、生理がはじまったりしても、大丈夫なのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
 理屈で考えると、「不安にある」のは理解できますが、実際のところは「SOFT試験の結果」からは大丈夫なのです。
 
「タモキシフェンを10年服用」「タモキシフェンとアロマシン計5年服用」「タモキシフェン5年の後、アリミデックスを5年」「どの選択がよいのでしょうか?」
⇒現時点では「タモキシフェンとアロマシン計5年服用」と言えます。(乳癌学会ガイドライン推奨)
 「タモキシフェン10年」>「タモキシフェン5年」
 「タモキシフェン+アロマシン計5年」>「タモキシフェン5年」
 であることは解っています。
 一方で「タモキシフェンとアロマシン計5年服用」と「タモキシフェン10年」の直接比較はありません。
 しかし、現時点では「閉経が確認された時点」で「アロマターゼインヒビターへスイッチ」することが推奨されています。
 更に「アロマシンインヒビターの長期投与」については「安全性も含めたデータが無い」状況です。 ♯今後の臨床試験の結果によっては「アロマターゼインヒビターの長期投与の時代」となる可能性はあります。
 
「晩期再発はどのくらいあるのでしょうか?」
⇒晩期再発についてのデータはありません。
 ただ、「質問者の10年再発率は10%程度」と考えられます。
 「晩期再発」を「10年以降」とすれば2-3%以下だと思います。
 
「白血球の数値が低い状態やGGTの値が高い状態が長期に及ぶことで、身体の他の臓器に影響はありますか?」
⇒その程度では「殆ど影響ない」と思います。
 タモキシフェンは継続し、「閉経したら」アロマターゼインヒビターへ変更してみましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

閉経前患者のホルモン治療について
性別:
女性
年齢:
47
メッセージ本文:
田澤先生、
ご丁寧なご回答を下さりありがとうございます。
昨年6月よりずっと一人で気が狂わんばかりに悩んでおり、セカンドオピニオンを得
ようと信頼できる医師を探しましたがずっと見つからず、先日、偶然ネット検索で先
生の乳がんプラザにたどり着きました。一つ一つの質問に誠心誠意答えてらっしゃる
先生のお人柄に非常に感銘を受け、また、先生のご出身は存じ上げませんが、仙台に
長く在住していらしたようで、(私は仙台出身なので勝手ながら)親近感も湧きまし
て、これまで溜まっていた悩みを長々と書き連ねてしまいました。非常に多くの質問
をさせていただいたにも関わらず、早急にご回答をくださいまして感謝いたします。
さて、私の理解力不足かもしれませんが、先生のご回答について1点確認させてくだ
さい。また実は、質問を送った後で、来年(おそらく前半)に日本に帰国する可能性
が高くなったことが判明しました。シンガポールに在住を前提とした治療とは異なる
選択肢になると思いますので重ねて質問させてください。お忙しい中、再度の長い質
問で申し訳ありません。来週火曜日(10/20)にオンコロジーの医師との診察があ
り、その時までに治療方針の最終的な希望を回答しなければなりません。先生のご意
見をお聞かせいただけますと助かります。
確認事項
1
LH-_RHの至適投与期間についてまだ解っていないものの、SOFT試験の結果を受けて、
今後「長期投与」となってくる可能性はある、とのことですが、これは、上乗せ効果
があるとされる患者(化学療法適応のハイリスク、35歳以下)においてのみでしょう
か?それとも、閉経前患者(ホルモン陽性)すべてにおいてでしょうか?別の回答
に、そもそも私は、リュープリンの適応ではない旨ご回答いただいておりますので、
おそらくハイリスク患者ということだと思いますが、確認させてください。
質問
1
星ですすめられているゾメタは、日本では骨粗鬆症予防として使用できず、デノスマ
ブというお薬があるとのこと。もし、星で、骨密度がさらに減少し、ゾメタを使用
し、日本に帰国後にデノスマブに変更するとなった場合、問題はあるのでしょうか?
あまり強いお薬を何種類も体内に取り込むのが怖いです。(星の医師によると、ゾメ
タは骨転移予防にもなるので、乳がん患者の骨粗鬆症予防には必ずゾメタを使用する
とのことでした。(骨転移予防効果のない別の薬で治療される可能性
があるので)乳がん治療を専門としない骨粗鬆症専門医による治療はさせたくないと
のことでした)
2
今年7月の骨密度の検査で、YAM91%(腰椎)、71%(左大腿骨)という値でした。
リュープリンを中止することで骨密度は少し上がったとしても、そのまま閉経し、ア
ロマターゼインヒビターへ変更することになれば、骨密度はさらに影響を受けるので
はないかと思います。現在、骨減少症の段階にあることを考えると、今後、ホルモン
治療中、デノスマブの服用は避けられないと思われますか?可能であれば、なるべく
強いお薬の投与は避けたいです。
3.
私のがんのタイプでは、(リュープリンをした上で)アロマシンの方がタモキシフェ
ンよりも(データ上は)DFSが3ー4%上がる、ただ、日本では保険適応ではないこと
からこの治療方法は選択できない、とのこと。閉経前患者に保険適応にならないの
は、(非アジア人対象の少ない臨床試験などの理由から)日本人には安全性がまだ確認
されてないからですか?今後も、エキセメスタンの有効性を示す同様のSOFT試験が出
てきた場合、日本でも閉経前患者が、リュープリン+アロマシンの治療法を選択でき
るようになる可能性はありますか?先生は、現段階で1番有効な治療法として、タモ
キシフェン+アロマシン5年服用と言われていますが、これは、あくまで、「タモキ
シフェン服用中、閉経したらアロマシンへ変更」という意味でしょうか?それとも、
SOFT試験でいう、リュープリンをした上での治療でしょうか?少し混乱していてすみ
ません。仮に日本人に安全性が確認されていないという場合でも、海外であれば
(リュープリン+)アロマシンへの変更は大丈夫だと思いますか?
4.
もし、リュープリン+アロマシンの方がタモキシフェンより確実に効果があるという
のであれば、新たに強いお薬の服用には心配がありますが、アロマシンに変更したい
気持ちです。日本の主治医からは、「海外ではその治療法は選択できるし、アロマシ
ンに変更したいということであれば構わない。ただ、計5年間のホルモン治療を完了
する前に日本に帰国して、もしアロマシンを続けたいとなれば、海外で処方してもら
うことになる。日本でアロマシンが使用できないからといって、タモキシフェンにま
た戻すという選択肢はないと考えてください。アロマシンに変更するなら、治療はア
ロマシンで終了したほうがいい。(薬はころころ変えない方がよい)」と言われまし
た。現在、リュープリンは3年終了、タモキシフェンは、2年9ヶ月服用しました。残
る2年3ヶ月の治療をタモキシフェンにするか、アロマシンにするかです。仮に来年前
半に帰国した場合、1年半~2年弱くらいホルモン治療が残ってしまいますが、アロマ
シンの方が効果が確実だとなれば、(肉体的にも金銭的にも大変ですが)海外での処
方でもがんばって続けようかとも思うのですが、この3ー4%の違いは実際どの程度な
のでしょうか?もともと低リスクだとは言われているのですが、そこまでして治療を
変更したほうがよいくらい再発予防効果に差があるものでしょうか?田澤先生は、私
の状況でどのようなご提案をされますか?また、こちらで、アロマシンへ変更したも
のの、日本帰国後、海外へ行っての処方ができなくなった場合、ホルモン治療を3年
半前後で終了することになりますが、そうなると再発リスクは上がりますか?
5.
「タモキシフェンを続けて、閉経した時点でアロマターゼインヒビターへ変更しま
しょう」との先生からのご意見に関して。タモキシフェン服用があと2年3カ月残って
います。もし、今回リュープリンを中止することで、自然閉経になっているかどうか
わかると思うのですが、確実に閉経したといえるには、リュープリン中止後どのくら
いの期間がかかりますか?例えば、リュープリン中止後、半年間、生理がなければ、
閉経したと言えますか?タモキシフェンとアロマシン計5年間服用において、アロマ
シン服用期間がタモキシフェン服用期間にくらべて(例えば、1年未満など)かなり
短くなっても、やはり、タモキシフェン5年間服用するよりも有効なのでしょうか?
それとも、タモキシフェンからアロマシンに変更するなら、最低何年か服用し続けな
いとアロマシンの効果はありませんか?ちなみに、今日、婦人科で受けたホルモン検
査の結果がでました。(FSH: 1.00, LH: <0.50, E2: <37, Anti-Mullerian Hormone: <0.07)婦人科の医師からは、最初の3つの値はリュープリンにより低値だが、最後の ホルモン値から、リュープリンを中止しても(女性ホルモンの値は一時的に高くなる 可能性はあるが)生理ははじまらないと思うといわれました。 6. 私にあるホルモン治療の選択肢は、下記4つのような気がします。「タモキシフェン を継続して、閉経確認後にアロマターゼインヒビターへ変更」と先生のご意見はいた だいておりますが、来年前半に日本に帰国すること、(確実に効果が上がるとのこと であれば)下記3番目の治療を選択する用意があることなどから、今一度、田澤先生 でしたら、どの治療をおすすめされるか教えてください。 1.リュープリンを中止して、(閉経状態に関わらず)タモキシフェンを5年間服用す る 2.リュープリンを中止して、タモキシフェンを継続、閉経が確認できたらアロマ ターゼインヒビターへ変更し、計5年間服用。 3.リュープリンを継続し、今月からアロマシンに変更し、計5年間服用。その場合、 日本へ帰国後は、海外において残りの治療をすることになる。 4.リュープリンを中止して、(閉経状態に関わらず)タモキシフェンを5年間服用。 その後、閉経状態によって、タモキシフェンあるいはアロマターゼインヒビターを5 年間追加して計10年服用する。 晩期再発もあることから、ホルモン治療は5年より10年の方がよいと聞いたことがあ ります。ちなみに、日本の主治医は、1または4の治療法、星の医師は3の治療法をす すめています。 7. アロマターゼインヒビターについて、星の医師はアロマシン、日本の医師は、使用す るならアリミディックスをすすめていますが、どのような違いがあるのでしょうか? 以上、再度長い質問でお時間をとらせてしまい恐縮です。先生のご意見をぜひお聞か せいただけますと今後の方向性が見えると思います。よろしくお願いいたします。  

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
前回の回答で「誤りがあること」に気付きました。
すみませんでした。 
『LH-_RHの至適投与期間についてまだ解っていないものの、SOFT試験の結果を受け
て、今後「長期投与」となってくる可能性はある』⇒(訂正後)「『LH-_RHの至適投
与期間についてまだ解っていないものの、ATLASの長期試験の結果を受けて、今後
「長期投与」となってくる可能性はある』です。
1366の方も訂正させてもらいます。

回答

「上乗せ効果があるとされる患者(化学療法適応のハイリスク、35歳以下)において
のみでしょうか?」
⇒その通りです。
 質問者の理解通りです。
 
「ゾメタを使用し、日本に帰国後にデノスマブに変更するとなった場合、問題はある
のでしょうか?」
⇒問題無いと思います。
 
「今後、ホルモン治療中、デノスマブの服用は避けられないと思われますか?」
⇒避けられないとは思いませんが、「可能性はあります」
 ちなみに「デノスマブは皮下注射」です。
 
「閉経前患者に保険適応にならないのは、(非アジア人対象の少ない臨床試験などの
理由から)日本人には安全性がまだ確認されてないからですか?」
⇒その通りです。
 「データが無いから保険申請」できないのです。
 
「日本でも閉経前患者が、リュープリン+アロマシンの治療法を選択できるようにな
る可能性はありますか?」
⇒エビデンスが海外で蓄積されれば(乳癌学会の後押しなどで)「海外でのデータで
の申請」もあり得ます。
 
『これは、あくまで、「タモキシフェン服用中、閉経したらアロマシンへ変更」とい
う意味でしょうか?』
⇒その通りです。
 閉経後に「スイッチ」します。
 
「仮に日本人に安全性が確認されていないという場合でも、海外であれば(リュープ
リン+)アロマシンへの変更は大丈夫だと思いますか?」
⇒大丈夫だと思います。
 
「田澤先生は、私の状況でどのようなご提案をされますか?また、こちらで、アロマ
シンへ変更したものの、日本帰国後、海外へ行っての処方ができなくなった場合、ホ
ルモン治療を3年半前後で終了することになりますが、そうなると再発リスクは上が
りますか?」
⇒私であればLH-RH+タモキシフェンです。
 日本に帰ることが前提とすれば「日本の条件できちんと継続」する方がいいでしょう。
 
「例えば、リュープリン中止後、半年間、生理がなければ、閉経したと言えますか?」
⇒閉経とは「最終月経から1年間無月経が継続していること」です。
 この場合にはリュープリン終了後、やはり「1年間はタモキシフェンを投与」すべ
きです。
 
「それとも、タモキシフェンからアロマシンに変更するなら、最低何年か服用し続け
ないとアロマシンの効果はありませんか」
⇒それについては解っていません。
 ただ、「例え1年でも」閉経後には「アロマターゼインヒビターへの「変更」がい
いと思います。
 
「今一度、田澤先生でしたら、どの治療をおすすめされるか教えてください。」
⇒2です。
 
「アロマターゼインヒビターについて、星の医師はアロマシン、日本の医師は、使用
するならアリミディックスをすすめていますが、どのような違いがあるのでしょうか?」
⇒優劣ははっきりしていません。
 日本では「アリミデックス」が先行して発売された分「アリミデックスが使い易
い」ことと「ステロイド環を持つ」アロマシンの方が副作用が若干副作用が多いよう
に私は経験上考えています。