[管理番号:2466]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして。
HPを読んで勉強させていただいております。
お忙しい中での更新、ありがとうございます。
昨年の11月に乳がん検診で「右乳房腫瘤、左乳房のう胞の疑いあり」とでました。
12月に総合病院に行き、
右乳房は乳がんと診断されました。
1月にMRIの検査を受け
右乳房は乳管進展が著明にみられるということと、
左乳房も乳がん疑いの所見が出ました。
MRIの検査結果を受けて、主治医(乳腺専門医)の先生が
左乳房をエコーで見てくれたのですが、
「小さすぎて見つけられないので、生検出来ない」と言われました。
「癌とも癌でないとも言い切れない」と。
そして、「ホルモン療法をしたら消えるかもしれない」といわれました。
右乳房は非浸潤がんで病変が広かったため、全摘しました。
現在病理結果待ちです。
(非浸潤がんは確定したわけではありません)
病理結果が出た後、ホルモン療法を薦められると思いますが、
始めるかどうかで悩んでいます。
正直、副作用が怖いので始めたくないのですが
「左乳房も癌だったら、わざわざ育てたくない。
浸潤癌だったらどうする?消えるな
ら、始めたほうがいい」
「癌かどうかもわからないのに、始めるのか?」
「MRIでみつけたのは、ひょっとしてのう胞ではないのか?」
色々考えてしまいます。
左乳房MRI所見は以下の通りです
所見:
左乳房EDに、約4ミリの造影される丸い腫瘤があります。
乳管進展が示唆され、乳癌が疑われます。
○Goenttingen scoreでは
腫瘤は、円形(0)、境界明瞭(0)、不均一(原画像で)エンハンス(1)、
早期濃染(151%)100%以上(2)、後期造影プラトー(1)で、計4点となり、
Category 4です。
画像診断
breast mass of LtED(4mm) suspicious of intraductal spread category 4
もう全摘しましたが、参考までに右乳房MRI所見は以下の通りです
所見:
右乳房ACEに、不整に強く造影される約15ミリのエンハンスされる腫瘤があります。
造影後期はリング状なエンハンスになります。
区域性に著明な乳管進展があります。
右腋窩にリンパ節転移が伺われます。
●Goenttingen scoreでは
腫瘤は、不整形(1)、境界不明瞭(1)、リング形エンハンス(2)、
早期濃染(120%)100%以上(2)、後期造影washout(2)で、計8点となり、
Category 5です。
画像診断
irregular breast mass of RtACE(15mm) with marked segmental spread category 5
お伺いしたいのですが、
①このような場合、ホルモン療法を始めた方がいいでしょうか?
②ホルモン療法を始めると左乳房問題の腫瘤が消える可能性は高いでしょうか?
③ホルモン療法を始めて、副作用が辛くてやめたりしても問題ないでしょうか?
やめることによって左乳房の癌らしきものが広がったりしないでしょうか?
④ホルモン療法はやめたり、再開したりすることは可能でしょうか?
以上です。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
まず重要な事は「右と左は分けて考える」ということです。
○MRIで指摘される(左の)「4mmの乳癌疑いのしこり」を「小さすぎて見つけられないので、生検出来ない」というのが、『そもそもの誤り』です。
ある程度「部位を特定できる」のだから、「マンモトーム生検である、やや広めに採取」すればいいだけの話です。
そのような手順を踏まずに「もしも癌であっても、ホルモン療法で消えるかもしれない」などというようでは(私からみれば)全くとんでもない医療と思います。
「①このような場合、ホルモン療法を始めた方がいいでしょうか?」
⇒「左のため」という理由は誤りです。(左はきちんと組織検査すべきです)
右に関しては、「非浸潤癌」であれば不要だし、「浸潤癌」ならば行うべきです(浸潤径にもよりますが…)
「②ホルモン療法を始めると左乳房問題の腫瘤が消える可能性は高いでしょうか?」
⇒不明です。
そのような「曖昧な考え方」には反対です。
「③ホルモン療法を始めて、副作用が辛くてやめたりしても問題ないでしょうか?」
⇒それは「誰しも」起こりうる事です。
「やめることによって左乳房の癌らしきものが広がったりしないでしょうか?」
⇒そのような考えからは離れましょう。
「左はきちんと組織診断」すべきです。
「ホルモン療法はやめたり、再開したりすることは可能でしょうか?」
⇒その通りです。