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前癌病変の診断結果について

[管理番号:4730]
性別:女性
年齢:37歳
田澤先生
はじめまして、乳がんプラザのQ&Aを拝見し、
是非田澤先生のご意見を伺いたいと思いメールしました。
4ヵ月程前に自分で胸のしこりに気づき不安に思い、
2ヵ月前に町のクリニックでマンモとエコーを受けた結果、現在の病院を紹介され、
半月前、改めてマンモ、エコーを受け、その日のうちに組織診をしましょうと言われ、組織を採取しました。
翌週結果を聴きにいったところ前癌病変との診断で、切除手術(外科的生検)か経過観察していくしか方法がなく、どちらかを選択するよう言われました。
詳しい説明がなかったので、後日主治医に診断結果について詳しく教えて欲しいと質問しても、ADHではないか?とはっきりしない回答で、今後の方針を決めかねていると、病理のセカンドオピニオンを提案され現在手続き中の状況です。
これまでの主治医の曖昧な態度や説明に不安があり、
セカンドオピニオンの結果が出た後、再び現在の主治医に判断を委ねるべきか悩んでおります。
※そもそも切除か?経過観察か?の判断を完全に患者に委ねるものでしょうか?
主治医は現段階では癌の診断ではないため、判断は患者に任せると言っております。
しかし、セカンドオピニオンや転医は時間が掛かると聞いており、
このまま時間をかければ症状が悪化・進行してしまうのではないかと心配で、どうすべきか解らず思い悩んでおり、アドバイスをお願い致します。
以下これまでの経緯の補足です。
 ・マンモ診断結果・・・所見無し(全体に乳腺が白く映っており判断つかず)
 ・エコー診断結果・・・ガンの疑いあるが、明らかにガンとは言えない
 ・組織診の結果・・・・前癌病変/Focal severe dysplasia
 ・切除手術  ・・・・全身麻酔で、しこり全体+αの範囲を切除
 ・経過観察  ・・・・3ヵ月後にエコー検査
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
ここで重要なのは、今回の所見が(マンモでの石灰化所見ではなく)「エコー所見である」ということです。
はっきりとは其の記載はありませんが、「その日のうちに組織診」という表現から「石灰化に対するステレオガイド下マンモトーム生検ではない」ことが推測できます。
何故かというと、(超音波で所見がない=実態が掴みがたい)「石灰化だけの所見で、高度異型と診断」された場合と、(超音波で見える)「シコリでの高度異型と診断」では対処が全く異なるからです。
平たく言うと…
 石灰化の場合には、(それ以上の確定診断を求めるために)「外科的生検を選択」せざるを得ないのに対し、
 ★(今回のような)「超音波で見えるシコリ」ならば、(通常のバネ式針生検よりも広範囲に組織を採取できる)「(エコーガイド下)マンモトーム生検」で診断がついてしまうからです。
 ただ、今回は病変の「性状(腫瘤なのか腫瘤非形成性病変なのか?)」や「大きさ(範囲)」の記載が無いので、確定的なことはコメントできません。
  ♯あまりにも病変範囲が広い場合には(エコーガイド下)マンモトーム生検でさえも「組織を採取しきれない=100%確定診断とはいえない」事態もありえるからです(その場合には外科的生検しか選択肢は無くなります)
「翌週結果を聴きにいったところ前癌病変との診断で、切除手術(外科的生検)か経過観察していくしか方法がなく、どちらかを選択」
⇒病変の範囲はどうなのでしょう?
 「それ程広くない」場合には、マンモトーム生検で「広範囲に切除」すれば
「100%確定診断できる」と思います。
 ★病変の範囲を聞いておくべきです。
「※そもそも切除か?経過観察か?の判断を完全に患者に委ねるものでしょうか?主治医は現段階では癌の診断ではないため、判断は患者に任せると言っております」
⇒まだ、(何処かの大病院のように)「癌と確定診断が無い限り、手術はしない=経過観察しか選択肢はない」などと言っている医師よりはマシだとは思います。
 私であれば…
  確定診断(この場合にはマンモトームでいいと推測していますが…)を強く勧めた上で「強制しない」というスタンスをとります。
「・切除手術  ・・・・全身麻酔で、しこり全体+αの範囲を切除」
⇒ここで「しこり全体」と表現していますから、(やはり)マンモトームしきれると予測できます。
「・経過観察  ・・・・3ヵ月後にエコー検査」
⇒本気で経過観察するなら…
 3カ月では無意味(殆ど変化無いでしょう) 半年が妥当となります。