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葉状腫瘍の初回手術

[管理番号:5985]
性別:女性
年齢:27歳
おはようございます。
5年前右に一つのしこりがあり、触診、マンモ、エコー、細胞診で良性の腫瘍ですと言われました。
去年、乳腺外科で乳がん検診をした際、右に二つのしこり左に一つのしこり、いずれも線維腺腫ではないか。
以前良性の腫瘍と言われた部分に関しては、大きくなるようであれば6ヶ月後に検診をということで経過観察でした。
時間が経ってしまったのですが一年経った今年、同じ病院に乳がん検診に行くと大きくなっているため葉状腫瘍の疑いということで、局部麻酔の切除を勧められました。
腫瘍の大きさは4.5センチです。
前回よりどれくらい大きくなってるか尋ねると、詳しくはいま手元に資料がないから分からないと言われてしまいました…
田澤先生のお話にあるように、大きさ的に再発にならないようにマージンを多めに取るべきなのではないか。
全身麻酔の手術がいいのではないかと不安に思いました。
担当の先生には再発するかどうかはあなたの身体に芽があるかどうか、
体質だから、それはとって経過をみないことには分からないと言われています。
なので今回は腫瘍の部分だけで形を変えないようになるべく小さく切ると言われています。
(私は再発が不安なので、形よりも大きめにとって欲しいとお願いしているのですが…)
初回の葉状腫瘍なので再発にならない為にも是非先生のところでお願いしたいのですが、可能なのでしょうか。
またお願いした場合かなり先になってしまうことも覚悟していますが、
手術を先延ばにしてしまう不安もあります。
この間に万が一悪性のものであったら、転移や癌ということも頭をよぎってしまいます。
もし葉状腫瘍の場合5年も放置してますので…
アドバイスよろしくお願いします。

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ほぼ同じ内容の質問が入りました。最初の質問について回答しています。
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田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
このメールを読んで、気になったのは「腫瘍の形(張り)」です。
27歳という年齢からは(女性ホルモンの分泌がしっかりしているため)線維腺腫も4cm、5cmまで大きくなってもおかしくないからです。
比較的扁平(平べったい)場合には(平べったいという事は、周りの正常乳腺で潰されてしまうほど柔らかいということ)「線維腺腫の可能性が高い」ですが、「縦横比が大きい=張りが有る=球に近い形状」の場合には(4.5cmであれば)葉状腫瘍を疑うべきでしょう。
「田澤先生のお話にあるように、大きさ的に再発にならないようにマージンを多めに取るべきなのではないか。全身麻酔の手術がいいのではないかと不安」
⇒「その大きさ」で「葉状腫瘍が疑われる」場合には、その通りだと思います。
 4.5cmの葉状腫瘍を「局麻でマージンをしっかり取る手術ができる」医師には(私は)であった事がないですし、不可能でしょう。
  ♯局麻では(あくまでも)「腫瘍を引っ張り出すイメージ」となります。(明らかな線維腺腫としての手術なら、それも有りですが)
「担当の先生には再発するかどうかはあなたの身体に芽があるかどうか、体質だから、それはとって経過をみないことには分からない」
⇒(理屈ではそのようになっており)間違いではありませんが…
 ただ、そのためにマージンを取るのです。(とんでもなく離れた別の部位に新たに出た場合には、それは「再発」ではないし、そのようなケースと一緒にする事自体、誤りです)
 「外科医として少々、無責任」と思います。(私の辞書にはありません)
「今回は腫瘍の部分だけで形を変えないようになるべく小さく切る」
⇒(見方を変えれば)質問者の年齢を考えた「素晴らしい手術」と言う事もできます。(皮肉で言っている訳ではありません)
 もしかして、その医師は「女医」かもしれないし、(アメリカファーストならぬ)
「レディーファーストを掲げる英国紳士」かもしれません。(少し、冗談入ってますが、お許しください)
 
 ただ私は「いち外科医」として、「葉状腫瘍の怖さ」を知っているので「どうしても、そのような考え方にはならない」というのが実情です。
 時々、当院にも「カメラで取ってくれ」とか「傷を(必要以上に)できるだけ小さく」と受診される方がいらっしゃいますが、丁重にお断りしています。(「傷をできるだけ小さく」は勿論いいのですが、「優先順位」の問題です)
「私は再発が不安なので、形よりも大きめにとって欲しいとお願いしているのですが…」
⇒患者さんからの要望なのに、「それでも最小限にして、再発は(場合によっては)仕方がないこと」とするようでは、「万が一、再発した場合の言い訳を前提とした
(自信のない)手術」と疑ってしまいます。
「初回の葉状腫瘍なので再発にならない為にも是非先生のところでお願いしたいのですが、可能なのでしょうか。」
「またお願いした場合かなり先になってしまうことも覚悟」「手術を先延ばにしてしまう不安」

⇒大丈夫です。
 (手術枠の増大により)手術待ちの現状は「1カ月半」程度となっています。
 私自身とても(胃が痛くなることなく)快適に「手術予定が組めている」状態です。
「万が一悪性のものであったら、転移や癌ということも頭をよぎってしまいます。」
⇒まず「癌」はありえません。
 さすがに、(癌であったら)「5年でこの状態」はありえません。
「もし葉状腫瘍の場合5年も放置」
⇒これも勘違いです。
 葉状腫瘍は「小さいうち」は決して転移しません。(そもそも「小さい悪性葉状腫瘍」という概念は不要です)
 
 ★「小さい(良性)葉状腫瘍」⇒数年して⇒「大きくなって(グレードアップして)悪性葉状腫瘍」となったと仮定しても(質問者が「悪性の可能性が高い」とは決して思いませんが…)この段階で転移することはまずありません。
  悪性葉状腫瘍が転移するケースでは、私の経験では以下の2つのみです。
  1.(腫瘍がそもそも無かったのに、特に閉経後)突然「ぐんぐん、目に見えて(ご本人が自覚する程)増大して5cm以上」のようなケース
  2.(ゆっくり増大した場合でも)5cm以上の状態を放置して「数年かけて10cm以上となった」ケース
 ☆つまり、質問者のように(5年もかけてゆっくり大きくなった)「4.5cm」では悪性葉状腫瘍の可能性自体低いし、(更に)「転移の可能性はほぼゼロ」と思います。
  希望があれば、秘書メールしてください。

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