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抗がん剤中 薬剤性間質性肺炎になりました。

[管理番号:6260]
性別:女性
年齢:33歳
はじめまして。
私は、今年の1月から術前化学療法を行っていたのですが、
その途中で薬物性間質性肺炎を発症してしまい緊急終了になりました。
シコリの大きさ 2.7センチ
リンパ節腫れなし
ステージ2A期
サブタイプ HER2陽性 トリプルポジティブ
ホルモン受容体 陽性
K.67 20%
EC療法を二週毎に4回これは無事に終了しシコリが約半分になりました。
その後パクリタキセルを週1回12回
ハーセプチンを3回に1回の予定で、
1回目から息苦しくさを感じ
2回目の前日に高熱が出たのですが
当日熱が下がっていた事
レントゲンで肺炎は見つからなかった為
2回目実施。
その数日後から高熱、空咳が続き
再度レントゲン、CT検査で
薬物性間質性肺炎と診断されました。
おそらくパクリタキセルのアレルギー反応と言われました。
その為今後スケジュールが変わり
薬物性間質性肺炎が治り次第先に手術をしその後の治療は未定と言われてます。
HER2陽性の場合
ハーセプチンとパクリタキセルが画期的な抗がん剤と聞いていたので出来なくなり不安でいっぱいです。
田澤先生ならどのような治療方法があるとお考えになりますか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
そもそも「何のための術前化学療法だったのか?」不明です。
HER2陽性だからといっても「術前に行う理由」は全くありません。
「田澤先生ならどのような治療方法があるとお考えになりますか?」
⇒術後の治療ですね?
 パクリタキセルは使えない(使わない方が良い)ので、術後の抗HER2療法は①「ドセタキセル+HERx4⇒HER(単剤)x13(術前に1回やっているため)」としてチャレンジするか、②(ECを術前に行っているので)術後はHER(単剤)x17(術前に1回行っているためのみとするのかのどちらかです。
 ★私ならば(無理せず)②を選択します。
 
 

 

質問者様から 【質問2 再質問 抗がん剤中 薬剤性間質性肺炎になりました。】

性別:女性
年齢:33歳
お返事ありがとうございます。
術前化学療法を行なった理由は
主治医より、HER2陽性の場合オーソドックスと聞きました。
あと、先にする事で私の癌が小さくなるか確認する事が出来るからと説明を受けました。
術前じゃない方が良かったのでしょうか?
田澤先生の場合術前に化学療法をするのはどういった場合でしょうか?
また、術後療法①、②の予後(再発率など)差はどの位ありますか?
あと、パクリタキセルができない事でのマイナス点を教えて欲しいです。
お忙しいとは思いますが、宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
いろいろな理由をつけて術前抗がん剤をしようとする乳腺外科医がいることに(このQandAをしていると)「ウンザリ」しています。
★術前抗がん剤をする唯一の適応は「小さくして温存」です。
 それ以外の
  ①最初に全身の癌細胞を叩く
  ②効く抗癌剤を確認する
  これら①②が誤りであることは、このQandAを1000くらい読めば100位出て
くるでしょう。(それをご覧ください)
「田澤先生の場合術前に化学療法をするのはどういった場合でしょうか?」
⇒「小さくして温存」です。(つまり、そのままでは大きすぎて温存できないが、患者さんが温存を希望している場合です。)
 勿論、(そのままでは手術不要の状態であり)「術前抗がん剤しか選択肢がない」場合も(その場合は)「選択の余地がなく」術前抗がん剤を行うことになります。
 
 

 

質問者様から 【質問3 抗がん剤中 薬剤性間質性肺炎になりました。】

性別:女性
年齢:33歳
田澤先生
ご無沙汰しております。
その後、薬剤性間質性肺炎が治り
5月に無事手術を終えました。
(乳房全摘)
病理結果は術前の結果とほぼ同じで
悪性度のみグレード2→グレード3になりました。
前回のご回答通り
ハーセプチン単独で行う事に決めました。
今回お聞したいのは、
ホルモン療法についてです。
主治医からは
ハーセプチン単剤と併用してリュープリンとエキセメスタンを5年~10年行うと言われてます。
①お薬について調べてみると閉経後のお薬のようで心配になりました。
閉経前でも効果はあるのでしょうか?
②私が間質性肺炎のリスクがある事でホルモン薬も制限されてるのでしょうか?
③田澤先生がお考えになる治療方法を教えて頂けますでしょうか?
宜しくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「①お薬について調べてみると閉経後のお薬のようで心配」「閉経前でも効果はあるのでしょうか?」
→その通り、「適応外」診療です。
 ♯『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』の「2」にまさに記載してある通りです。
「②私が間質性肺炎のリスクがある事でホルモン薬も制限されてるのでしょうか?」
→違います。
 上記コラムの中にもコメントしましたが…
 『ある種の医師達(特に大学病院や大病院など)は、まるでそれが自分達の特権かのように平気で「○○の臨床試験では有意差があったから…」などという理由で平気で保険外診療を行っているケースは多々あり』ということです。
「③田澤先生がお考えになる治療方法を教えて頂けますでしょうか?」
→私は決して「適応外診療」は勧めないし(患者さんから、希望されても)「断固として断り」ます。
 普通に「タモキシフェン+リュープリン」でいいのです。