[管理番号:81]
性別:女性
年齢:41歳
はじめまして。
現在41歳で、妊娠19週です(一度目の出産は32歳で正常分娩です)。
家族に癌になった人はいません。
2014年9月の乳癌検診(触診)では異常なし。
2014年12月末に腋に痒みがあって触れたところ小豆大のしこりを発見。
気になって触り続けていたためか、右胸にかけて放射状の痛みが出たため直ぐに乳腺外科受診。
妊娠中との事でマンモグラフィは出来ず、エコーと触診の結果、悪性ではなさそうとの事で様子を見ていました。
2015年2月に入り、しこりが気になって触ってみると2cm程に大きくなっています。
鏡に映しても分かりませんが、触れると動かずに硬いです。
体質は、にきびなどが出来やすく、耳の後ろや背中などに大きな濃を溜めることが度々あります。
当方僻地在住で、小学2年の子供がいるため直ぐに受診というわけにはいかず質問した次第です。
お忙しいとは思いますが宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール内容を読んで一番気になったのは「12月末に乳腺外科を受診した結果、エコーと触診の結果、悪性ではなさそう」という表現です。
その際に、超音波できちんと「小豆大のしこり」を診察して、(悪性ではなさそう。という曖昧な表現ではなく)「その気にされているしこりは○○です」というように診断されるべきだったと思います。
●妊娠中でマンモを撮影していないことは何ら関係ありません。
その際に「悪性では無さそう」という曖昧な診断となったために、「その後2cm程に大きくなった時に、やはり悪性の可能性があるのではないか?」と心配になっているようです。
それでは回答します。
回答
(心配されているのは、癌の転移による転移性リンパ節ではないか?)という事だと思いますが、「転移性リンパ節では無い」と思います。
状況からして、「2cmに大きくなった」原因は「反応性腫大」です。
※ さすがに12月に超音波検査をしたのに「リンパ節転移を起こす乳癌が見逃される」ことはあり得ません。
腋窩で腫大するものとしては以下の3通りがあります。
- (腋窩の皮膚の毛穴にできた)粉瘤
⇒但し、これは腫大すると「外見上赤くなり、圧痛を伴う」ため「鏡に映しても分かりません」という表現とは一致しません。
※ご本人の体質からは、この可能性も高いとは思いますが、通常「外見で強い発赤」があります。
- 腋窩リンパ節の反応性腫大
⇒もともと「正常なリンパ節」が腋窩には存在しますが、刺激によりどんどん「反応性に」腫大します。 これは「放っておくと」やがて縮小します。
- 腋窩リンパ節の転移性腫大
⇒もともとは正常であったリンパ節に癌細胞が入り込み(転移して)癌細胞がリンパ節の中で増殖したもの
腋窩リンパ節転移の原因は「乳癌が圧倒的に多い」です。
◎これらの内「1」か「2」でしょう。
諸事情により受診できないのであれば、「あまり刺激をせずに」様子をみてください。
「1」や「2」の場合は、やがて縮小するでしょう。 縮小が確認できれば安心です。(癌の転移が縮小することは無いのです)
ただ、今度受診する機会があれば、必ず「これは一体何であるのか? 診断を求めてください」
※「悪性では無さそう」などという曖昧な診断で満足してはいけません。
参考にしてください(私的感想)
このQandAを始めてから「世の中に、あまりにも曖昧な診断が溢れている」ことに驚かされています。
「悪性ではなさそう」とか、「心配無いと思いますが、様子を見ましょう」とか。それでは「専門医」の意味がありません。診療経験が乏しく自身が持てないという事もあるのでしょうが。
◎専門医である以上、本来は「あなたが気にしているものは、リンパ節です。但し、このリンパ節は乳癌転移で起こる腫れ方ではありません。刺激を与えたことで反応性に腫大しているだけです。超音波で見ると違いは歴然なのです。」というように断定できなくてはいけません。
勿論、画像診断(超音波)だけでは診断が確定しない(断定できない)場合もあります。その場合には診断を確定する方法を提示しなくてはいけません。(針生検もその一つです)
質問者様から 【質問2】
度々申し訳ありません。
右胸だけ時折我慢できる程度の痛みがあります。
これは、妊娠で胸が張っている痛みとは別に、時々ビビッと痛みが走ります。
12月末に受診した際は、悪性ではなさそう・・・という曖昧な所見で、では何が考えられるのかと言う事も話してくださいませんでした。
こちらの病院は、限られた曜日と時間しか診察を受けることができないので、直ぐ受診と言うわけにはいきません。
高速道路で1時間かけて行けば、県立の癌センターがあります。
お忙しいとは思いますが宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
追加の質問ですね。
それでは回答します。
回答
「右胸だけ時折我慢できる程度の痛みがあり、妊娠で胸が張っている痛みとは別に、時々ビビッと痛む」
⇒ 腋窩の「炎症」が関係して痛む可能性はあります。
ただし、痛みと「癌」は関係無い可能性が高いと思います。
「高速道路で1時間かけて行けば、県立の癌センターがあります」
⇒ 正直、「県立の癌センター」がいい選択なのかは解りません。
大きな病院であればあるほど、「臨床経験のない若い医師」や「大学で研究ばかりしていて、やはり臨床経験に乏しい医師」に診察される可能性が高くなるからです。
●本当に信頼できる医師を探すのは難しいのが現状です。