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脇の中央部位のしこり

[管理番号:7967]
性別:女性
年齢:38歳
病名:
症状:脇の中央部位

田澤先生初めまして。

脇のしこりについて、どうしても
不安疑問に思っていることがあります。

宜しくお願い致します。

先生の
『皆が気になる質問シリーズ -3-

脇のしこり
「脇にしこりがあります。乳癌なの?」』

を熟読しました。

乳腺のエコー検査をする際にいつも乳ガンが転移しやすい場所(皆が気になる質問シリーズ -3-記載の①・②の場所)
はエコーで見ません。

乳腺だけです。

先週①の場所にしこりかな?というものを
見付けてエコーしてもらいました。

しかし、医者は①の場所はエコーせず、
②(脇のくぼんでいる場所)
をエコーしました。

通常のリンパ節で異常なしでした。

質問1・①の場所(脇の膨らんでいる中央部位)にしこりを感じているのにそこをエコーせず、②をエコーしましたが間違っていませんか?

質問2・①の場所から乳癌ができることはないのですか?

質問3・よくリンパ節転移という言葉を聞きます。

乳癌が1番転移しやすい場所が②の場所となりますか?

質問4・乳腺・②の場所に腫瘍などなかったのだから気にする必要はないですか?

質問5・脇も自己検診したほうがいいか?

質問6・脇を指先で押すように触るとしこりのような筋がたくさんありますがなんでしょうか??

質問7・乳癌は必ず乳腺に癌ができ、次に脇ということですか?
順番が逆のパターンがあるか?
つまり、脇から乳癌が出来ることはないですか?

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「乳腺のエコー検査をする際にいつも乳ガンが転移しやすい場所(皆が気になる質問シリーズ -3-記載の①・②の場所)はエコーで見ません。」
⇒必要ないからです。『今週のコラム 7回目 「私も同意見です」』を是非、ご参照ください。(乳腺に腫瘍が無いのに「どれどれ?腋窩は大丈夫かな?」などという発想は不要なのです)

 ★そもそも①は副乳ですよ。(リンパ節転移が起こる部位は②です)

「先週①の場所にしこりかな?というものを見付けてエコーしてもらいました。」
⇒それは「副乳」です。

「しかし、医者は①の場所はエコーせず、②(脇のくぼんでいる場所)をエコーしました。通常のリンパ節で異常なしでした。」
⇒副乳に癌があれば(頻度的に極めて低いので通常は考慮しません)触ればすぐに
「硬いので解る」から、①はエコーするまでもないのです。
 ★医師としては「腋窩リンパ節転移の所見がないこと」だけが重要なのです。(副乳は気にしていないのです)

「質問1・①の場所(脇の膨らんでいる中央部位)にしこりを感じているのにそこをエコーせず、②をエコーしましたが間違っていませんか?」
⇒上記コメント通り、

 一般的に「副乳を問題視」する乳腺外科医はいません。(あながち「誤った診療」ではありません)

 ★ただ、(そうは思っても)患者さんの心配を解消する目的で「副乳をエコーしてあげる」配慮は必要だとは思います。(私も副乳をエコーして「心配ないですよ」というパターンは日常茶飯事です)

「質問2・①の場所から乳癌ができることはないのですか?」
⇒副乳癌ですが、それは「もの凄-く」稀です。

 何故、副乳を(我々乳腺外科医が)問題にしないのか?
 理由
 ①もの凄ーく稀だから   (普通の乳癌の)700分の1位です。(私の症例が2年に1回位だから)
  つまり、(副乳癌かも?などと想像するよりは)「腋窩に腫大したリンパ節は無いのか?」の方が、我々乳腺外科医には1000倍位関心があるのです。

 ②(その稀な副乳癌があれば)表面に近いから、「あり得ない位硬く触知する」ので、触診だけですぐにわかる(エコーするまでもない)から 
  『今週のコラム 37回目 副乳は皮膚のすぐ裏(皮下脂肪が乳腺に比べて非常に少ない)なので副乳癌は「誰にでもすぐ分かる」のです』をご参照のこと

「質問3・よくリンパ節転移という言葉を聞きます。
乳癌が1番転移しやすい場所が②の場所となりますか?」

⇒「1番」とかではなく…

 リンパ節のある部位が②なので『②にしかリンパ節転移はありえない』のです。
  つまり、「①や③には絶対にリンパ節転移はない」のです。

「質問4・乳腺・②の場所に腫瘍などなかったのだから気にする必要はないですか?」
⇒その通りです。

「質問5・脇も自己検診したほうがいいか?」
⇒不要です。

「質問6・脇を指先で押すように触るとしこりのような筋がたくさんありますがなんでしょうか??」
⇒自己検診で「押す」のは止めましょう。

「質問7・乳癌は必ず乳腺に癌ができ、次に脇ということですか?
順番が逆のパターンがあるか?
つまり、脇から乳癌が出来ることはないですか?」

⇒乳癌は乳腺にできるのです。(副乳も乳腺ですが、癌が出来る可能性はもの凄く低いのです。稀なケースを心配するのは如何なものか)