[管理番号:6070]
性別:女性
年齢:27歳
田澤先生こんにちは。
質問です。
指で触るとあまりわかりませんがボディーソープをつけたり、薄いヒートテックなどの上から触ると左胸の下部全体に6個の動くしこりがわかります。
(1センチくらい)
しこりは 弾力があるもので押すと痛くないものや痛いしこりがあります。
胸が小さいのでしこりがすぐ分かります。
乳腺専門医の先生に診てもらい、触診では『しこりないよー』と言われました。
エコーでは自分で寝てもわかるしこりが1個あり 先生に『ここです』と指をさし診てもらいました。
何度か往復して『線維腫瘍1.1cmだね、これはわかりにくいね』という感じでした。
ほかのしこりは エコーには写らないけど、自分で触れるクリクリ動くしこりも良性とおもっても大丈夫なのでしょうか?
肋骨の溝に入ったりして、エコーに写らないことはあるのでしょうか?
あのとき、座った状態で『これです』って言えばよかったなと後悔しています。
先生は撫でるようにサーと触診していましたが乳がんのしこりは 良性のしこりよりわかりやすいのでしょうか?
私は 指4本で上から探すように触診しています。
また、生理になると特に左胸下部が痛くなります(押すと打撲のようなにぶいいたさ)
もう一度ちがう病院で診てもらった方が良いのでしょうか?
まとまらない文書ですみませんがよろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「自己検診」は「超音波でも解らない様な小さなしこりを見つけるため(それは実際は不可能ですが)」ではなく、『正常な状態を知る(指に覚え込ませる)ため』にあります。
「指で触るとあまりわかりませんが」
⇒自己検診は「それ」でいいのです。
それ以上を求めることは「無駄な心配をするだけ」なので、気をつけましょう。
「乳腺専門医の先生に診てもらい、触診では『しこりないよー』と言われました。」
⇒これを信じましょう。
我々乳腺外科医は「触診の限界を知っている」のです。
それ以上の細かい所見を気にしても、全く無意味なのです。
★この場合には、質問者が(自己検診で気にした)「この所見は、本来気にしなくていいんだ―」と勉強すべきなのです。(その乳腺専門医の触診を疑うのではなく)
「自分で触れるクリクリ動くしこりも良性とおもっても大丈夫なのでしょうか?」
⇒勿論です。
1.(まず)その乳腺専門医が「触診でシコリないよ」と言ったことで『これは、気にする所見ではないんだ。』と学習してください。
2.エコーして異常がないのに、「自己触診の方を信じる」のは、本末転倒です。
「肋骨の溝に入ったりして、エコーに写らないことはあるのでしょうか?」
⇒ありえません。
「あのとき、座った状態で『これです』って言えばよかったなと後悔しています。」
⇒そういう問題ではありません。
エコーは必ず「寝た状態」で行うべきであり、それを信用しない様では診療は成立しません。(疑い過ぎるのは止めましょう)
「先生は撫でるようにサーと触診していましたが乳がんのしこりは 良性のしこりよりわかりやすいのでしょうか?」
⇒その通りです。
冒頭でコメントしたように「触診で小さなシコリを探そう!」という考え方自体「誤り」なのです。
自己検診はあくまでも「自分の正常な状態を知るため」という意識を持ちましょう。(細かい所見はエコーでないと決して解らないのです。触診の限界は我々乳腺外科医が一番よく知っています)
「私は 指4本で上から探すように触診しています。」
⇒誤った自己検診です。
改めないと、同じ様な心配を繰り返すだけです。
「また、生理になると特に左胸下部が痛くなります(押すと打撲のようなにぶいいたさ)」
⇒ホルモンによる(正常な乳腺に対する)刺激症状です。
「もう一度ちがう病院で診てもらった方が良いのでしょうか?」
⇒全く、不要です。(エコーよりも自己検診を信じるのは間違いです)