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妻の乳がんについて

[管理番号:4930]
性別:女性
年齢:36歳
先生初めまして、よろしくお願いします。
先日妻が乳がん告知されました。
いまだ動揺しております。
妻は23歳の時に乳がんになり、右胸一部温存で、リンパ節をとっているとのこと、
母が卵巣癌、姉が乳がんになっているため遺伝性の可能性があるとのことでした。
今回は左胸に3センチの腫瘍、リンパに3個転移右胸〔再発?〕に5ミリの腫瘍があります。
サブタイプはトリプルネガティブです。
情報が少なくすいません。
来週、骨シンチ、CT予定でその時、検査データ貰います。
先生に質問です。
①妻の乳がんの右胸は局所再発でしょうか?
遠隔転移なかった場合のステージはどうなるのでしょうか?
②術前化学療法を進められ、術後、遺伝性だった場合治験の抗がん剤を進められてます。
術前化学療法の場合は化学療法中に遠隔転移する可能性はあるのでしょうか?
私としては、手術先行してほしいと思っております。
回答よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を拝見しました。
以下の状況からは遺伝性乳癌である可能性が極めて高いと思います。(どこの乳腺外科でも、そのような見解となる筈です)
1.ご本人が 「23歳時に発症」「両側」「トリプルネガティブ」
2.家族歴として「母が卵巣癌」「姉が乳癌」
○重要なことは(家族性乳がんの可能性が濃厚である以上)今回(右の結果にかかわらず)『左は全摘すべき』だということ
 全摘するわけだから、(本来、小さくして温存という目的のためにある)「術前抗がん剤」など全く無意味
 もう一つ言えば(家族性乳癌なら、なおのこと)抗癌剤があまり有効では無い可能性も高く(だから治験をしているのです)、(抗癌剤が無効であった場合に)癌を進行させるリスクがあります。
「①妻の乳がんの右胸は局所再発でしょうか?」
⇒(もしも癌だとしても)13年では「温存乳房内再発<<新規発生」の可能性が高いと考えます。
「 遠隔転移なかった場合のステージはどうなるのでしょうか?」
⇒もしもリンパ節転移が3個なら
 T2(3cm)N1となり、ステージ2Bとなります。(4個以上ならステージ3A)
「②術前化学療法を進められ、術後、遺伝性だった場合治験の抗がん剤を進められてます。」
⇒術前抗がん剤を勧める医師が多いのには困ったものです。
 その風潮が「まともに腋窩郭清ができない」乳腺外科医の増加に影響がありそうです。
「術前化学療法の場合は化学療法中に遠隔転移する可能性はあるのでしょうか?」
⇒勿論、そのリスクは事前に話されてしかるべきです。
「私としては、手術先行してほしいと思っております。」
⇒それがいいと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、先日は回答ありがとうございました。
妻の乳がんについて、また質問致します。
担当医に術前化学療法進められましたが、
妻と相談し手術先行をお願いし、了承して貰えました。
7/(下旬)に手術予定です。
T2N1ステージⅡb
トリプルネガティブ
遺伝性の可能性大
Ki67右胸40左側80
核グレードはわからないと言われました。
手術内容は
左右全摘、腋窩リンパ郭清です
術後にドセタキセルをし、その後遺伝子検査をし、陽性の場合オリパリブの治験予定です。
そこで質問なのですが
①妻は13年前に別の医院で乳がん治療をしており、その際アンスラサイクリン系(担当医のパソコンにはFECと書かれてました)
の抗がん剤で副作用がつらく、途中でやめていること、新毒性がつよいこと、一生のうちの投与量が決められいることの説明があり、今回担当医からアンスラサイクリンの抗がん剤の使用はしないと言われました。
Q&Aをたくさんみて、アンスラサイクリン+タキサンが再発予防に使われると思っていため不安です。
アンスラサイクリンを希望した方がよいでしょうか?またタキサンだけだと、無再発率はかなり違うのでしょうか?
②初診時が6/(上旬)、手術が7/(下旬)予定と2ヶ月近く空いてしまうのですが、問題ないでしょうか?
③遺伝性乳がんのことですが、遺伝子検査についてや、再発しやすい、
対側もかかりやすいなどの情報は目にするのですが、
遺伝性乳がんには、他にも特徴があるのでしょうか?(遠隔転移がしやすい、進行がはやい、抗がん剤の効きが悪い、予後が悪い等)
よろしくお願いします。
先生のQ&Aのおかげで、術前化学療法の適応がよくわかり、手術先行にできました。
ありがとうございます。
術後病理結果がでましたら、また質問させてください。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「アンスラサイクリンを希望した方がよいでしょうか?またタキサンだけだと、無再発率はかなり違うのでしょうか?」
⇒歴史的にアンスラサイクリン全盛の時代があり、(続いて)タキサンが登場したため長い間「アンスラ+タキサン」がgold standardだった経緯があります。
 
 現在は(持病として心疾患を多く抱える)アメリカを中心に「アンスラサイクリン離れ」が進行しています。
 ただ、ここ日本では(肥満が多くない=心疾患が多くない背景で)「アンスラサイクリン神話から抜け出せない」感はあります。
 ○確かに「アンスラサイクリン」はいい薬だしエビデンスも高いですが、必ずしも「術後補助療法」に用いる必要はないでしょう。
 以前、アンスラサイクリン(10年以上前だとFECでしょう)が副作用が強かったのであれば、今回は避けることは当然と思います。
 実質的な再発率の違いは2-3%あるかどうかでしょう。
「②初診時が6/(上旬)、手術が7/(下旬)予定と2ヶ月近く空いてしまうのですが、問題ないでしょうか?」
⇒(乳癌患者数の著しい増加である)現状、其の程度は普通と思います。
「遺伝性乳がんには、他にも特徴があるのでしょうか?(遠隔転移がしやすい、進行がはやい、抗がん剤の効きが悪い、予後が悪い等)」
⇒あくまでも小規模なデータなので気にしない様にしましょう。