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トリプルポジティブ乳癌の術後治療について

[管理番号:8555]
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年5月22日

質問させていただきます。

よろしくお願いします。

同時性両側乳癌で、3月に両側の全摘出手術を受けました(52歳)。

術後の病理結果は

浸潤性乳管癌/硬性癌
リンパ節転移なし
脈管浸潤なし
核異型度1+
浸潤径2mm
ER陽性
PGR陰性
HER2:3+


微小浸潤癌
リンパ節転移なし
脈管浸潤なし
核異型度1+
浸潤径1mm以下
ER陽性
PGR陽性
HER2:1+
です。

病理結果をうけて、主治医の先生から無治療との診断をうけました。
しかしハーセプチンの治療は今後治療候補のひとつと告げられました。
次の診察は半年後です。

Q1
左乳癌は浸潤径2mmとはいえ浸潤癌で、
HER2 3+ですが、無治療でも大丈夫でしょうか?

Q2
今後の治療候補としてハーセプチンがあるとのことですが、なぜすぐ開始しないのでしょうか?(病理結果を告げられたら際に、知識がなく質問できませんでした。
次の診察の際に伺おうと思っていますが、次の診察が半年後なので不安で、こちらで質問させていただきます)

Q3ハーセプチン治療は、抗がん剤と併用しないと効果がないとの情報を目にしましたが、ハーセプチン治療の開始となった場合は、こちらからお願いしてでも抗がん剤と併用した方がよいでしょうか?

お忙しい所申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

超早期がんで全摘だから「ほぼ」根治となります。
余計な心配をすること自体ナンセンスです。

浸潤径5mm以下では抗がん剤の適応はありません。

「ハーセプチンの治療は今後治療候補のひとつと告げられました。」
⇒誤り!

 trasutuzumab単剤はエビデンスがなく、決して行ってはいけません。

「左乳癌は浸潤径2mmとはいえ浸潤癌で、
HER2 3+ですが、無治療でも大丈夫でしょうか?」

⇒勿論。
 ほぼ根治
 抗がん剤の適応はありません。

「今後の治療候補としてハーセプチンがあるとのことですが、なぜすぐ開始しないのでしょうか?」
⇒そもそもtrastuzumab単剤は誤りです。

「ハーセプチン治療は、抗がん剤と併用しないと効果がないとの情報」
⇒その通り、正しい。

「ハーセプチン治療の開始となった場合は、こちらからお願いしてでも抗がん剤と併用した方がよいでしょうか?」
⇒浸潤径2mmでは抗がん剤の適応がありません。(だから無治療となるのです)

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

術後の検診と遺伝子検査について
性別:女性
年齢:52
病名:同時性両側乳癌
症状:
投稿日:2020年9月14日

前回の質問の管理番号:8555
性別:女性
年齢:52歳
病名:両側乳癌
投稿日:2020年5月22日

田澤先生
先日はありがとうございました。
心配は正しくするべきで、根拠なき不安にかられるのはナンセンスだというお答えは、心に響きました。
正しく心配をしつつ(なかなか難しいことですが)、ユーモアのセンスをもって楽しく生きていきたいと思います。

2つ質問をさせていただきます。

Q1数日前に術後半年の検診を受けました。

術後気になっている事を書き出した紙を見ながら、主治医より説明を受け、抱えていた疑問を理解することができました。が、
傷跡を視診したのみで、他の検査は一切ありませんでした。
血液検査などは必要ないのですか?とお尋ねしたのですが、きっぱりとした口調で、この程度の癌なら必要ないとのお答えでした。
その時は納得したのですが、帰宅後やはり心配になりました。

検診では採血をし、腫瘍マーカー等調べると思っていたからです。
病状によって異なると思いますが、検査は必要ないのでしょうか?

Q2遺伝子検査についてお尋ねします。
両側乳癌なので、卵巣癌になるリスクが高いかもしれないので、4月より保険適用になったHBOCを調べる検査を受けることを薦められました。
私の遺伝子検査をする事で娘を含む血縁者のリスクを調べるきっかけにもなるとご説明を受け、心が動いています。

遺伝子検査の有効性はどのようにお考えでしょうか? 例えば年に一度の婦人科検診でリスクを減らす事よりもメリットが多いとお考えでしょうか? また、もし検査の結果疑いがあった場合、リスク低減手術である卵巣・卵管を切除する手術についてはどのようにお考えでしょうか? (閉経前です)

どうぞよろしくお願いいたします。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「検診では採血をし、腫瘍マーカー等調べると思っていたからです。
病状によって異なると思いますが、検査は必要ないのでしょうか?」

⇒前回、回答したように

 ほぼ根治なので、(私も)採血腫瘍マーカーは行いません。
 つまり、「診察エコーのみ」です。

「Q2遺伝子検査についてお尋ねします。」
⇒両側全摘しているわけだから、乳癌としての保険適応は勿論ありません。

 卵巣卵管切除は婦人科なので、「婦人科を受診して必要があれば、行う」ことをお勧めします。(乳腺外科で調べる理由がありません)