[管理番号:623]
性別:女性
年齢:52歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
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宜しくお願いします。
母52歳がトリプルネガティブ乳癌で、
術前にfec4回終了後、母の希望により先に手術をしました。
病理結果が
腫瘍5.5センチ
ki67 70%
HER2陰性
リンパ転移なし 12個郭清 陰性
ホルモン感受性なし
グレード3
脈官浸潤あり
でした。癌細胞の縮小はなかったが、壊死しているところもあったそうです。
でも、病理結果を知って非常に不安です。
抗がん剤が劇的には効かなかったので 。
現在は、ドセタキセル3回目です。
母の結果は、どのくらい深刻なのでしょう。
悪性度は高くてもリンパに転移がなかったのは、救いかなと思います。
でも、凄く心配です。
腫瘍マーカーは、ドセタキセル投与前には
CA15-3は、15(術前70くらい)NCCST439は、120あります(術前200くらい)
再発率など、主治医に聞きたいのですが、母に余計な不安を与えてしまうと思い
聞けません。
母は治る可能性がありますか?
すみませんが、宜しくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
トリプルネガティブでFECを先行し、手術、今はドセタキセル中(もう少しで終了)ですね。
腫瘍径が55mmと大きいので、「絶対、大丈夫ですよ」と気休めは言えませんが「乳癌は基本的に予後良好」であることは信じてください。
回答
「母は治る可能性がありますか?」
⇒勿論あります。
絶対に「将来再発する」とまで考える必要はありません。
Adjuvant!Onlineというソフトを用いると「化学療法をすれば」10年再発率は32%位と出ます。
つまり2/3以上は「再発しない」のです。
私の経験でも、だいたいそのようなイメージです。
○やるべき治療をして、通常の生活に戻る事です。
いつかは不安にかられない時が来ます。
質問者様から 【質問2 術後腫瘍マーカーと今後の治療】
田澤先生、先日はご回答を下さりありがとうございました。
治る可能性があると言って下さった事、嬉しく思います。
ある、医師の掲示板に相談しましたら、
過度な期待はしない方がいい、このタイプは治ったらラッキーくらいに
考えてと言われたことがあったので、、田澤先生にご相談に
乗っていただき良かったです。
ありがとうございます。
あと、少し気になる事があるので質問させていただきたいのですが
腫瘍マーカーのNCCST439が120と異常値なのが心配です。
他の病気が隠れているのでしょうか。
それと、母は元々抗がん剤や放射線治療はやりたくない人で
私が勧めたから受けてくれています。
ですが、放射線治療はやはり辞めたいなーと言います。
母の状態は、放射線治療はなるべく受けた方がいいと思うのですが
受けなくてすむならそれに越したことはありません。
田澤先生は、どうお考えになりますでしょうか。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
世の中には、人を不安に陥れる様なブログも多数あるようなので注意が必要です。
「怖いもの見たさ」なのでしょうか?
そんなものを見るのではなく「正しい理解」と「やるべき治療をきちんと行う」事です。
回答
「過度な期待はしない方がいい、このタイプは治ったらラッキーくらいに考えてと言われたことがあった」
⇒無責任な発言です。
実際にデータもあるのに(トリプルネガティブの)イメージだけで「人に不安を与えるコメントをする」事は厳に慎むべきです。
「腫瘍マーカーのNCCST439が120と異常値なのが心配」
⇒全く無意味な値です。
NCCST439など測定しなければいいだけの話です。
大勢の人に測定してみると、高値の人もでてきますが、全くあてになりません。
「CEAとCA15-3」が『(その人の)標準値から、どう動くか?』で十分です。
「放射線治療はなるべく受けた方がいいと思うのですが受けなくてすむならそれに越したことはありません。田澤先生は、どうお考えになりますでしょうか。」
⇒放射線照射はするべきです。
「腋窩リンパ節転移陰性で腫瘍径5cm以上」の(乳房切除術後)放射線照射の適応については一定の見解はありません。
ただ、術前化学療法をしているので、「実は、化学療法前にはリンパ節転移が存在していて、それが化学療法により消失した可能性」があります。
⇒その場合には「放射線照射の積極的適応」がでてきます。
○放射線照射は化学療法に比べると副作用も少ないので、是非行ってもらいたいと思います。
質問者様から 【質問3 脈官浸潤について】
田澤先生、いつもありがとうございます。
いつも回答を下さり、励まされております。
また聞きたい事があり、質問させて頂きます。
度々で申し訳ありません。
母は、トリプルネガティブで、脈官浸潤ありと言われたのですが、
これは珍しい事でしょうか。
予後に大きく関わるのでしょうか。
あと母は、まだ放射線を迷っております。
抗がんも受けたがらなかったので、私が勧めたのですが
もし治らなかったら、抗がん剤をして免疫を下げ
逆効果になったらとどうしようと毎日プレッシャーを
感じています。なので、放射線を勧められずにいます。
それと腫瘍マーカーを、ドセタキセルを始めてから教えてもらっていません。
先生から何も腫瘍マーカーに関して言われず
上がってたらどうしようと不安です。
主治医は、なぜ教えてくれないのでしょうか。
私は情けないのですが、これまでのトラウマで、診察室に行くのが恐くなり母がいつも1人で
行っているので、色々主治医に聞けないでいます。
色々質問してすみません。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
お母さんが「乳癌」で以前より質問されている方ですね。
御心配なことと思います。
心配なあまり、「いたずらに不安を煽るような」ブログに目がいくのだと思いますが、「百害あって一利なし」です。
回答
「トリプルネガティブで、脈官浸潤ありと言われたのですが、これは珍しい事でしょうか」
⇒珍しくありません。
どのサブタイプに限らず「脈管侵襲」があるのは珍しくありません。
「予後に大きく関わるのでしょうか。」
⇒あまり良くは解っていません。
ただ、多少は関係があるとしても「大きく」は関わりません。
「放射線を勧められずにいます。」
⇒放射線に「全身への影響」はありません。
あくまでも「局所制御目的」なので、副作用も「照射部位だけ」であり、「全身の免疫を下げるのでは?」と心配する必要は一切ありません。
「腫瘍マーカーを、ドセタキセルを始めてから教えてもらっていません」
⇒正常だから言われないだけだと思います。
もし、確認したいのならば「採血結果を毎回もらう」ようにしてもらいましょう。
ただ、「術後補助化学療法中」に『再発に怯える』必要はありません。
そもそも、「腫瘍マーカーは測定していない」可能性もあります。
★以前「腫瘍マーカーのNCCST439が120と異常値なのが心配」という質問者にコメントしましたが…
NCCST439など気にする必要はありません。
「CEAとCA15-3が、正常値である」事を一度確認しておきましょう。
その上で、『化学療法が終了した後、3カ月に1回程度 CEAとCA15-3が以前より上がらないか』チェックをしてもらえば十分です。
質問者様から 【質問4 抗がん剤の効果】
田澤先生、早速ご回答を下さりありがとうございます。
治療が、終わる頃になり余計に不安が増してきてしまっています。
主治医に言われたのですが、たちの悪いタイプというのが頭から離れません。
でも田澤先生が、余計な心配をしなくていいように
親身に回答して下さるので、本当に感謝です。
母の場合、fec4クールで腫瘍縮小がみられず
途中で手術を母から希望したのですが、この選択はどう思いますか。
最後のfecから、手術までは、1ヶ月以上間が空いてしまいました。
次のドセタキセルまでも、術後1ヶ月以上空きました。
そして、fecが効いてなかったわけではないけど
劇的には効かなかったと言われましたが、予後に影響するのでしょうか。
抗がん剤が効きにくいタイプなのでしょうか。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
回答
「途中で手術を母から希望したのですが、この選択はどう思いますか」
⇒もともと「術前化学療法」は「効果がなければ早期撤退」が原則です。
当然の選択だと思います。
ドセタキセルに変更したら「劇的に効果が出る」とは限らないのですから。
「予後に影響するのでしょうか」
⇒術前化学療法が「効きが良かった人」と「効きが悪かった人」の予後比較はありません。
ただ「完全寛解」すると予後良好であることは解っていますが、(当然ながら)完全寛解する人は多くはないのです。
「抗がん剤が効きにくいタイプなのでしょうか」
⇒それは解りません。
あくまでも「アンスラサイクリン」の効果が鈍かっただけであり、「タキサン」がどうなのかは、全く不明なのです。
質問者様から 【質問5 癌の種類】
田澤先生、お忙しい中、いつも回答を下さりありがとうございます。
母は、大学病院でみてもらっているのですが、
fecの途中経過を見た時に、腫瘍サイズが変わらない、迷ったけど抗がん剤を
続けようと言われました。
迷ったけど…にひっかかり、母と話し合って、癌をいつまでも
残しておくのは恐いと思い、医師に手術を依頼しました。
エビデンス通りの治療は、大切だと思うのですが、医師に言われるがままというのも
不安でしたので。
でも、私達素人なので、自分達から手術を希望したことが果たしてよかったのかと
また不安でした。
田澤先生に聞けて、よかったです。
あと、母は充実性入管癌なのですが…
この種類の場合でも、先生が最初に回答してくださった
再発率は変わりませんか?
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「術前抗がん剤」中には「腫瘍が大きくなっていないか?」細心の注意が必要です。
回答
「母は充実性入管癌なのですが…この種類の場合でも、先生が最初に回答してくださった再発率は変わりませんか?」
⇒変わりません。
充実腺管癌は通常の浸潤性乳管癌に過ぎません。
特に組織型による「違い」は考えなくても大丈夫です。
質問者様から 【質問6 癌ステージと予後】
田澤先生、いつも本当にありがとうございます。
あと少しだけ質問させて下さい。
母の癌ステージは、3aになるのでしょうか。
(最初の検査結果では、エコーで38ミリの腫瘍で、ステージ2か3でリンパ転移無し。でも疑いありと言われました。)
10年生存率は、70%くらいでしょうか。
先生から見て、再発高リスクでしょうか。
母は、エコー(乳腺専門医でない)で数ヶ月前に検査したばかりで
家族に癌になった人もいないし安心していたのですが
癌が発覚し、治療までの一ヶ月で
一センチ大きくなりました。
進行が早かったので、再発の可能性が不安で仕方ないです。
度々すみませんが、宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
「トリプルネガティブ」で術前FEC後、手術施行していますね。
記載内容からすると
(化学療法前)cT2(38mm), cN0, cStageⅡA
(化学療法後,病理診断)ypT3(55mm), ypN0, ypStageⅡBとなります。
回答
「母の癌ステージは、3aになるのでしょうか。」
⇒ypT3(55mm), ypN0, ypStageⅡBとなります。ⅡB期です。
「10年生存率は、70%くらいでしょうか。」
⇒その位です。
「先生から見て、再発高リスクでしょうか。」
⇒再発高リスクではありません。
再発高リスクとは(私の中では)10年再発率が50%位の状況です。
「エコー(乳腺専門医でない)で数ヶ月前に検査したばかり」
⇒見逃しの可能性があります。
エコーは「術者による」差が大きいのです。
「治療までの一ヶ月で一センチ大きくなりました」
⇒測定の仕方の違いの可能性があります。
同じ条件で同一人物が「エコーを行う」場合でなければ、「測定値にバラつき」はでます。
「進行が早かったので、再発の可能性が不安で仕方ないです」
⇒本当に「進行が早かったのか?」不明です。
「気にするほどのもの」ではないと思います。
質問者様から 【感想7】
田澤先生、いつもありがとうございます。
先日相談させて頂いていた腫瘍マーカーは
ドセタキセル3クール終了時で、NCCST439が120→13 CA15-3→9に
下がっていたそうです。
ドセタキセルを母に勧めた事に、果たしてよかったのかと不安な日々でしたが
そのプレッシャーからも解放されました。
逆にfecの時は、NCCST439が250 CA15-3→70くらいで、
下がらなかったので、やはり効いていなかったのかなと思います。
ドセタキセルがここまで効くなら、間に手術をして
休薬することもなかったのかなとか、また色々考えてしまうのですが。
関東に住んでいたら、田澤先生にみてもらいたかったです。