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術前化学療法とトリプルネガティブについて

[管理番号:4786]
性別:女性
年齢:61歳
はじめまして。
宜しくお願い致します。
母61才が先月(下旬)日 右乳癌に浸潤性乳管癌と告知されました。
検査の結果
HER2 1+
PR 陰性(0%)
ER 陽性(10%~20%)
との事でした。
そこの病院の先生は
「癌の中では悪いか良いかなら良い方だホルモン療法ができるから」と
私が「ステージは?」と聞くと…
「現段階ではステージ2ただリンパの腫れが気になる」とのお話しでした。
その後、○○○○病院へ紹介状を書いて頂き受診。
主治医の先生から
「リンパが2.5cmも腫れている何故去年の末に気付いてたなら…転移があれば一気にステージは4だよ」と…
胸が苦しくなりました。
転移の可能性が高いとの事で
マンモ・エコー・肺活量・心電図・採血・造影CT・レントゲン・心エコー・口腔内検査・ctpetと沢山検査しました。
そして今月5月(中旬)日検査結果と治療方針の説明に一緒に行きました。
「肺に少し影があるが明らかな転移はない。
ただB型肝炎の数値が高いので再度採血して検査しましょう。」
と言われ転移がない事に少しホッとしていたら治療方針の説明
組織型:浸潤性乳管癌
3cm以上の乳癌
T2N1 リンパ節転移あり
悪性度(癌の顔つき):Ⅲ
エストロゲン受容体:陽性(10%~20%)
プロゲステロン受容体:陰性(0%)
ハーセプテスト:陰性
との事で「ホルモン効きにくいのでサブタイプはトリプルネガティブで術前化学療法を行います…」
「宜しいですか?」と言われ癌の転移がなかった事にホッとした事とサブタイプなど癌の性質など何も分からなかったので母も娘の私も「はい。」と返事する事しかできませんでした。
術前化学療法(抗がん剤)
FEC100(5-Fu/ファルモルビシン/エンドキサン)療法
3週に1回投与を4回
タキソテール:3週に1回投与を4回
を初回のみ3泊4日治療前日(下旬)日から入院で(下旬)日に投与開始予定です。
B型肝炎の方は…
「今は悪さをしていないずっと眠っている状態でいたんだねー稀に抗がん剤治療をして目覚めてしまう事もあるが稀にと言う事と抗がん剤治療が予定されてるので何も治療せず様子を見ていく」
との事でした。
そこで治療目前になって乳癌について色んな疑問がわいてきて不安でたまらなくなってしまい…
質問させて下さいm(__)m
・サブタイプですがER陽性なのにトリプルネガティブになるのですか?
10%~20%とわずかなのでホルモン療法効きにくいからトリプルネガティブになるのでしょうか?
紹介前の先生にホルモン療法が効くとお話だったので府に落ちずにいます…
・術前にする抗がん剤をして、あきらかな転移がないのに転移してしまったり、腫瘍が大きくなる事はないのでしょうか?
・術前抗がん剤治療の母のタイプでの薬剤は上の記載の薬剤で妥当なのでしょうか…
宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「・サブタイプですがER陽性なのにトリプルネガティブになるのですか?」
⇒違います。
 ルミナールです。
 
「10%~20%とわずかなのでホルモン療法効きにくいからトリプルネガティブになるのでしょうか?」
⇒十分「効くタイプ」と言えます。
「・術前にする抗がん剤をして、あきらかな転移がないのに転移してしまったり、腫瘍が大きくなる事はないのでしょうか? 」
⇒あります。
 だから「安易」に術前化学療法を勧めてはいけないのです。(「小さくして温存」という目的でのみ行うべきです)
 ★小数とはいえ、化学療法中に「手術不能」となったり、「遠隔転移したが、故に手術適応外とされる」こともあるのです。
 ☆今週のコラムで取り上げました
  『今週のコラム 81回目 肺転移が出現した。もう手術はできない。』を参照のこと
「・術前抗がん剤治療の母のタイプでの薬剤は上の記載の薬剤で妥当なのでしょうか…」
⇒「術前抗がん剤自体、正しいか?」という問題はありますが、
 (もしも、やるのであれば)適応の有る薬剤は限られています。
 アンスラサイクリン(FEC)とタキサン(タキソテール)は妥当な選択です。