[管理番号:3581]
性別:女性
年齢:49歳
今日、病理結果が出ました。
CNB 2a2 HG 3 ER 5 PgR 0 HER2 0 Ki67 80%
浸潤性乳管癌 浸潤範囲 約4cm それとは別に腫瘤2cmのものが2箇所
T2 N0 M0 リンパ節転移無し StagⅡAか、とのことでした。
術前化学療法をすすめられていますが、先生ならこういった患者に対して、今後の治療方針をどのようにお考えになりますか。
これから数年のQOLをふまえたご意見をいただきたく、どうぞよろしく
お願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○術前化学療法の適応は、あくまでも「小さくして温存」というものです。
それを曲解して下記①~③を理由として「術前抗がん剤を勧める」不届きな乳腺外科医が巷に溢れている事に失望します。
①腫瘍が大きいからとか、
②リンパ節転移があるからとか、
③トリプルネガティブだから、どうせ(術前にしろ術後にしろ)抗癌剤が必要になるから
♯①については、これを小さくして温存しようという意図であれば、いいのですが、今回のように「多発」していれば、そもそも「小さくなっても温存できない」わけなので「術前抗がん剤をする理由」とはなりません。
「術前化学療法をすすめられていますが」
⇒誤った方針です。
質問者の場合には多発「浸潤範囲 約4cm それとは別に腫瘤2cmのものが2箇所」であり、(例え小さくなっても)「温存術の適応にならない」とすれば、「術前抗がん剤を勧める根拠が無い」ことになります。
「先生ならこういった患者に対して、今後の治療方針をどのようにお考えになりますか。」
⇒当然、「手術先行」となります。(多発なので、乳房全摘となります)
術後には「トリプルネガティブ」である以上、「抗ガン剤は必須」となります。