[管理番号:3321]
トリプルネガティブと診察拒否
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生初めまして。
経歴から記してみます。
左乳房 ステージ2 ハーツー陽性
2014/4/○温存手術→標準治療拒否(食事療
法・ハイパーサミア・水素吸入などしまし
た)
2014/○○局所再発→上記の治療+がん休
眠療法(低用量抗がん剤)開始→(手術前の)
2ヶ月間出来ずにいたら、急激に大きくな
り火急的に再手術(全摘)となりました。
2度目(再手術/全摘)の病理結果
乳房全摘+リンパ節郭清(レベル3まで)
浸潤性乳がん(充実腺菅がん) トリプルネ
ガティブ
悪性度:中 核グレード3
リンパ節転移あり(レベルⅠ:1/7レベル
Ⅱ:2/3Rotterslateral:1/2計4つ)
血管侵襲なし
ステージ/Bt+Ax(Ⅲ+α)=3a?
現在までに病院医院を転々としています。
質問
1,トリプルネガティブはたちの悪いもの
と言われましたが、こちらで、トリプルネ
ガティブにも3種類あると目にし、手術担
当医が術前に言った、トリプルネガティブ
で再発から約2年癌をもったままで転移が
ないのはあまり考えられないという言葉か
ら、再発転移しにくい術後補助療法の必要
が低いタイプなのではと思うのですが、田
澤先生の見解はいかがでしょうか?
2,手術した病院で強く抗がん剤拒否をし
たら、担当医から病理結果後の診察を拒否
されました。
私の態度や言葉選びにも問題
はあったと思いますが、まだ傷やもしもリ
ンパ液が溜まったときなどのことがありま
すのに責任は問われないのでしょうか。
ま
た、傷の経過やもしも溜まった時などは乳
腺科であれば対応していただけるものなの
でしょうか。
3,田澤先生でしたら、やはり抗がん剤を
すすめますか?その場合どんなものが該当
するのでしょうか。
4,術後2週間程たちますが、ざらざらし
た服に擦れたり寝る時に自然に布団に置く
とずっと肘から上が痛いです。
これは仕方
ない事なのでしょうか?浮腫みは見た目で
は分からない程度です。
いくつも質問してしまいましたが、よろし
くお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
状況は了解しました。
標準療法をやらなかったことが今回の局所再発に繋がった可能性は自覚すべきです。
(勿論、標準治療をしていても、その可能性はあったわけですが…)
また、局所再発してから(手術までの)2年間で「リンパ節転移が拡がった」ことは
間違いないでしょう。
私がメール内容を見て感じるのは
初回術後の「標準治療拒否」というのは、仕方がない(放射線治療も抗HER2療法も所
詮、再発予防だから、ご本人の自己責任です)としても、
『局所再発してからの2年間が勿体ない』ということです。
(再発予防ではなく)「現に、癌がそこにある」わけです。即刻、局所療法(手
術)すべきでした。
「再発から約2年癌をもったままで転移がないのはあまり考えられないという言葉か
ら、再発転移しにくい術後補助療法の必要が低いタイプなのではと思うのですが、田
澤先生の見解はいかがでしょうか?」
⇒その可能性はあります。
つまり、「治療しなくても、(遠隔転移)再発しない」群ということですね。
ただ、命は1つしかないのだから「その可能性にかける」というのはどうかと思い
ます。(自己責任ですが…)
「まだ傷やもしもリンパ液が溜まったときなどのことがありますのに責任は問われな
いのでしょうか。」
⇒術後の創部に対しては責任があります。
実際に「創部に異常」が有った場合には、「処置もしくは診療情報提供」の義務は
あるでしょう。
「傷の経過やもしも溜まった時などは乳腺科であれば対応していただけるものなので
しょうか。」
⇒基本的には「手術した病院での対処が原則」です。
ただ、(転居など)事情があれば当然「対応する」でしょう。
「3,田澤先生でしたら、やはり抗がん剤をすすめますか?その場合どんなものが該
当するのでしょうか。」
⇒今回は「純粋な局所再発」のようですから、(今回の件に関しては)「局所療法だ
けでよい」と言う考え方は当然あります。
ただし、「初回術後に、行うべき抗がん剤治療を行わなかった」という意味で(こ
の機会に)「抗がん剤を勧める」ことでしょう。
行うとしたら(トリプルネガティブでの標準である)「アンスラ+タキサン(合計
6ヵ月)」となります。
「4,術後2週間程たちますが、ざらざらした服に擦れたり寝る時に自然に布団に置
くとずっと肘から上が痛いです。これは仕方ない事なのでしょうか?」
⇒腋窩郭清しているわけだから、当然だとは思います。
「浮腫みは見た目では分からない程度です。」
⇒いくら腋窩郭清しているとはいえ、そんな早期に患肢浮腫などおこりません(ネッ
トの見過ぎです)