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トリプルネガティブ 乳ガン

[管理番号:2853]
性別:女性
年齢:38歳
よろしくお願いいたします。
今年の3月の初めに左胸の乳首の横くらいに、紫色の線みたいなものを発見し触るとしこりを確認しました。
内出血なのかわからず乳腺炎のような痛みはありました。
しこりが4月になっても変わらなかったので、病院を受診、エコー、マンモをしてその日に針を刺し、細胞診となりました。
先生は触診もなく、画像のみでおそらくガンであろうとのことで眠れぬ1週間でした。
昨日、ガンと診断されました。
浸潤ガン
転移はまだ不明
女性ホルモンに対する反応 どちらも 陰性
HER2陽性
悪い顔つきのガンかなと言われました。
詳しい数値の説明がなく、私も動揺していたのですが、転移が不明なのでその日はCTだけ検査しました。
ステージも不明とのこと。
しこりは1、5cm
リンパにも二個くらい黒いものがあるかもとは言われてます。
マンモをした次の日は内出血のあたりが真っ赤に血がたまってるのかっていう色をしており、痛くて痛くて。
その原因もわからず、説明もほとんどなく不安でたまりません。
私の場合をトリプルネガティブというのでしょうか?
抗がん剤もしなくてはいけないのでしょうか?
受診したのが市民病院の乳腺外科の為、セカンドオピニオンも検討してます。
担当医が全国は標準化の医療が受けられると言いますが、
やはり先生の腕は大切なのではと思ってなりません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
質問者は「HER2(ハーツー)タイプ」です。
◎サブタイプとは?
  組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
   エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
     ●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に
増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
       ♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高
値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
     ● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常
の抗癌剤の組み合わせを行う
     ●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行

     ● トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と
分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
        ※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
 
「私の場合をトリプルネガティブというのでしょうか?」
⇒HER2タイプです。
 HER2タイプは「かつては予後不良」と言われてきました。
 ただ分子標的薬である「trastuzumab(ハーセプチン)の登場」によって劇的にかわりました(乳がん領域における21世紀最大の勝利といっていいでしょう)
 特に「2008年 ハーセプチンが術後補助療法として認可」されて以来、再発率は下がり続け現時点では(抗HER2療法を行えば)最も予後の良いサブタイプと言えるでしょう。
 
「抗がん剤もしなくてはいけないのでしょうか?」
⇒その通りです。
 正確には「抗HER2療法」といい(通常の)「抗ガン剤」+(分子標的薬である)
「ハーセプチン」の組み合わせとなります。(決してハーセプチン単独はあってはなりません)
○HER2療法(HER2陽性、腫瘍径>5mmが適応基準)
「golden standard」
アンスラサイクリン+タキサン+ハーセプチン
「非アンスラサイクリンレジメン」(低リスクなど、心毒性のあるアンスラサイクリンを避けたレジメン)タキサン+ハーセプチン
 
 

 

質問者様から 【質問2】

トリプルネガティブかどうか聞いたものです。
転移の詳細がわかりました。
リンパに転移の可能性があるが臓器転移はなさそうとの事です。
ステージ3だろうと言われました。
乳腺に広がりが広いのと乳首まで侵食してるので全摘を勧められました。
やはり全摘しかないのでしょうか?
しこりの大きさが2cmくらいなので温存ができると思っていたので涙がとまりませんでした。
北斗晶さんのように生存率が低いのか怖くてたまりません。
抗がん剤も使用しなければいけないと思いますが、吐き止めにステロイドが入っていると聞きます。
ステロイドにアレルギーがあるのですが、使用しなければいけませんか?
ステロイドを使用すると後から他の臓器が悪くなると聞きます。
このあたりはどのようにお考えでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「乳腺に広がりが広いのと乳首まで侵食してるので全摘を勧められました。やはり全摘しかないのでしょうか?」
⇒その通りです。
 「乳頭への浸潤」があれば「全摘が安全」です。
 
「ステロイドにアレルギーがあるのですが、使用しなければいけませんか?」
⇒ステロイドは必須ではありません。
 
「ステロイドを使用すると後から他の臓器が悪くなると聞きます。このあたりはどのようにお考えでしょうか?」
⇒長期間投与でないので全く問題ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

以前質問させて頂いたものです。
4月に乳ガン告知されてから、セカンドopinionを経て、術前化学療法と手術先行かで迷っています。
町の乳腺外科で告知を受け、セカンドopinionで大学病院へ行きました。
大学病院では広がりが広いので手術は無理で術前化学療法を薦められました。
町の乳腺外科では手術できないことはないといいます。
リンパには転移確実のようです。
術前化学療法をしても乳首まで浸潤してるので全摘、リンパも手術するとの事です。
術前化学療法のメリットがよくわかりません。
温存も可能ならしたいとおもいますが、そうでもなさそうなので迷います。
手術を先行しても取りきれるかみたいなとこなのでしょうか?
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
手術可能かどうかは「外観から一目でわかります」
「乳腺内にどれだけ拡がっても手術で全摘」するから問題ありません。
 問題は「皮膚への拡がり」です。「皮膚に広範囲に顔をだしていない」のであれば「手術可能」です。
「大学病院では広がりが広いので手術は無理で術前化学療法を薦められました」
「町の乳腺外科では手術できないことはないといいます」
⇒「手術可能」だと思います。
 大学病院では①術前抗がん剤が好き②広範囲の郭清ができる医師がいない(少ない)もしくは、やりたがらない
 上記理由で、「手術不能」と言っていると推測します。
 
「術前化学療法のメリットがよくわかりません」
⇒その通りです。
 全摘ならば、「抗ガン剤は術後にすべき」です。
 
「温存も可能ならしたいとおもいますが、そうでもなさそうなので迷います。」
⇒乳頭への浸潤があるのであれば、「全的が安全」です。
 初期治療が肝要なのです。
 
「手術を先行しても取りきれるかみたいなとこなのでしょうか?」
⇒皮膚さえ問題無ければ、そのようなことはありません。