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トリプルネガティブ 術前抗がん剤治療後の手術 温存か全摘か

[管理番号:2652]
性別:女性
年齢:50歳
はじめまして。
昨年10月、トリプルネガティブ乳がんと診断され、先日、EC四回、ドセタキセル四回の術前抗がん剤治療を終え、4月に手術することになりました。
大きさ 超音波で1.7センチ、MRIで2.3センチ(足のようなものを含めて)と言われました。
リンパへの転移なし
核グレード 3
Ki-67 70%
術前抗がん剤の効果は、EC四回終了後のMRIで4mmまで縮小し、ドセ二回目終了後の超音波(三回目直前に計測)では、腫瘍がほとんど確認できない状態と言われました。
最終的には手術前のMRI検査をする予定です。
手術を前に、主治医より、乳房温存でも全摘(乳頭を残しての同時一次再建)でもどちらでもよいと言われ、悩んでおり、アドバイスお願いいたします。
主治医には、温存を勧められました。
ちなみに遺伝子検査はクリアしております。
①主治医によれば、温存でも全摘でも、再発の可能性は4%しか変わらないとのこと。
トリプルネガティブは再発・転移しやすく予後が悪いといいますが、残った同側の乳腺、対側の胸への再発の可能性は、他のタイプのがんより高いのでしょうか?
温存することと、遠隔転移は関係ないと考えてよろしいのでしょうか?
また、再発した場合も、また同じタイプのがんになるのでしょうか?
②腫瘍がほとんど確認できない状態で、どの部分を切除するのか聞いたところ、「あらかじめ最初の段階でマーキングしてあるので、温存しても取りこぼすことなく、取ります」と言われましたが、実際完全に取りきる事が出来ると考えてよろしいのでしょうか?
③MRIでリンパへの転移はなかったのですが、術前抗がん剤治療前に、センチネルリンパ節生検をしておりません。
術前治療をすると、手術時のセンチネルリンパ節生検が不適応という事を知り、センチネルリンパ節への転移があったか心配です。
抗がん剤がよく効いたと考えると、センチネルリンパ節へがんが転移していたとしても、抗がん剤の効果で消えていると考えてもいいのでしょうか?
まとまりのない質問になってしまいましたが、先生のご意見をお聞かせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
本来「術前化学療法」は「小さくして温存」の目的でのみ行われるべきです。
このメール内容からは、残念ながら「トリプルネガティブだから」という「あるまじき理由での術前化学療法が行われた」ことが想像され、悲しく思います。
○質問者には「良く効いた」から良かったですが、術後に同じメニューを行えば「同じ様に効果があり」予後は同等なのです。
 
「残った同側の乳腺、対側の胸への再発の可能性は、他のタイプのがんより高いのでしょうか?」
⇒同じです。
 
「温存することと、遠隔転移は関係ないと考えてよろしいのでしょうか?
また、再発した場合も、また同じタイプのがんになるのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「②腫瘍がほとんど確認できない状態で、どの部分を切除するのか聞いたところ、「あらかじめ最初の段階でマーキングしてあるので、温存しても取りこぼすことなく、取ります」と言われましたが、実際完全に取りきる事が出来ると考えてよろしいのでしょうか?」
⇒本来「術前化学療法の適応」は「小さくして温存」です。
 ○小さくなったのに、今更「安全に温存できません」では、理屈にあいません。
 
「抗がん剤がよく効いたと考えると、センチネルリンパ節へがんが転移していたとしても、抗がん剤の効果で消えていると考えてもいいのでしょうか?」
⇒この辺が「術前抗がん剤の難しい」所です。
 これについては、「術前画像診断の正確さ」と「手術時のセンチネルリンパ節生検の正確さ」の両方に信頼がおけなければ、問題となります。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

トリプルネガティブ 術前抗がん剤治療後の手術について
性別:女性
年齢:55歳
はじめまして。
昨年10月、トリプルネガティブ乳がんと診断され、術前抗がん剤治療、EC4回、ドセタキセル4回を修了し、4月中旬に手術する予定です。
大きさ  超音波で1.7cm MRIで2.3cm(足のようなもの含めて)
リンパ節転移なし  核グレード  3  Ki-67 70%
抗がん剤の効果は EC4回終了後MRIで4mmまで縮小、ドセ2回目終了後、超音波でほとんど腫瘍を確認できない状態と診断され、最終的には手術10日前にMRI検査をする予定です。
手術を前に、主治医より乳房温存でも、全摘(乳頭を残して一次同時再建)でも、どちらでもよいと言われ、悩んでおります。
主治医からは、温存を勧められました。
念のため、遺伝子検査はクリアしております。
田澤先生のご意見、アドバイスをお願い致します。
①乳房を温存した場合と全摘した場合の、再発率の差はどれくらいあるのでしょうか?
それは、同側乳房、対側乳房どちらも同じでしょうか?
トリプルネガティブだから、再発率が高くなるのでしょうか?あるとしたら何%くらいですか?
トリプルネガティブは再発・転移しやすく予後がよくないとのことですが、温存することで遠隔転移の可能性、生命予後に影響はでるのでしょうか?
②温存手術の場合、腫瘍がほとんど確認できない状態で、どの部分を手術で取り除くのか確認したところ、「あらかじめマーキングしてあるので、取り残さず切除します」と言われましたが、そういうものなのでしょうか?腫瘍の消えた部分の細胞は切除するものなのです?
③リンパ節への転移はなかったものの、術前抗がん剤治療前に、センチネルリンパ節生検を行っておりません。
術前治療をしてしまうと手術時のセンチネルリンパ節生検が不適応と聞き、センチネルリンパ節への転移が心配です。
今回、抗がん剤がよく効いていると考えるとしたら、センチネルリンパ節に転移したいたかもしれないガンへも、腫瘍同様に効果があり、縮小し広がっていないと考えてよろしいのでしょうか?
まとまらない文章になってしまいましたが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
昨日の質問と「かぶっている部分も多い」ようですが、「ニュアンスの異なる」ところを回答します。
「「①乳房を温存した場合と全摘した場合の、再発率の差はどれくらいあるのでしょうか?」
⇒局所再発は温存(放射線照射をしたとしても)だと5%位はあるでしょう。
 それに比べて「全摘はほぼ0%」です。
 
「それは、同側乳房、対側乳房どちらも同じでしょうか?」
⇒同じです。
 
「トリプルネガティブだから、再発率が高くなるのでしょうか?」
⇒無関係です。
 
「トリプルネガティブは再発・転移しやすく予後がよくないとのこと」
⇒そんなことはありません。
 
「温存することで遠隔転移の可能性、生命予後に影響はでるのでしょうか?」
⇒無関係です。
 
「あらかじめマーキングしてあるので、取り残さず切除します」と言われましたが、そういうものなのでしょうか?」「腫瘍の消えた部分の細胞は切除するものなのです?」
⇒その通りです。
 画像上の「消失」は「細胞レベルでの消失」とは異なるのです。
 つまり、「画像上消失」していても、実際に「細胞レベルでは生き残っている」ことは良くあることなのです。
 だから、手術が必要なのです。