乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ



[管理番号:2179]
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生
いつも当サイトを拝見させて頂き,勉強させて頂いております.
また事実に基づくデータから勇気を頂いております.
今回先生のご意見を伺いたく,質問させて頂きます.
【状況】
2012年 右胸にトリネガ非浸潤がん発症,温存+放射線治療
2013年,2015年 出産
2015年11月,授乳中に検診時に下記流れにてがんが見つかる
 細い針生検:浸潤がん(エコーでしこり2cmとのこと)
 太い針生検:非浸潤がん(4/4非浸潤)(しこり3cm)
トリネガ,微小浸潤あり
 MRI:所見は非浸潤がん(しこり5cm)全摘決定
 術前説明:非浸潤がん(しこり4.8cm)0~Ⅰ期
 病理結果:トリネガ(硬がん)
浸潤性乳 管がん(しこり6cm)「広範囲」
      リンパ転移なし(0/3)
      顔つき:Ⅲで悪い
      Ki:54
      ステージ:Ⅱb(しこり5cm以上でリンパ転移なし)
 治療方針:乳房全摘出(済),今後TC or FEC+放射線
直前まで非浸潤と信じていたものが結果大きく変わり,混乱しています.
まだ寝がえりしたばかりの子どもと2歳の可愛い盛りの子どもの将来を私は見ることが出来ないのか,そう考えると毎日涙ばかり流してばかりです.情けない話ですが,アドバイスお願い致します.
【質問】
1)主治医の説明では「非浸潤部分と浸潤部分が混在しており,針生検では浸潤部分が見つけられなかった」とのことでした.
当サイトで「針生検で非浸潤=あっても5mm以下の微小浸潤」とありましたが,「混在」,また「広範囲に」ということは,点々と5mm以下の浸潤が広範囲に存在していると考えるとよいのでしょうか.
2)しこりの大きさとは浸潤径のことと教わりましたが,上記のように「混在」している場合は「非浸潤」部分も含めた全体の径になるのでしょうか.
3)術後抗がん剤は「とりあえずTCかなぁ」と言われ,「再発リスクをより下げる方を選択して下さい」と言うと「同じ同じ」と言われました.TC療法に対し治るエビデンスがあるからやるんだと自分に言い聞かせているのですが・・.
田澤先生が推奨されているトリネガ補助療法のゴールデンスタンダードとは異なる治療方法なのですが,どうお考えでしょうか.
がんの性質が悪く,非常に不安です.
4)最初の細い針生検から手術まで1ヵ月半ありましたが,聞く度にしこりの大きさが大きくなっています(2cm⇒6cm).主治 医は「検査方法による」と言っていましたが,手術を待つ間に大きくなったのでしょうか.
ちなみに前の検診(8ヵ月前,妊娠中)では異常なしでした.
5)家族性(遺伝性)乳がんである可能性が高いと言われたのですが,この場合予後は悪いのでしょうか。
6)トリネガで顔つきも悪く(硬がん),Kiも高値,しこりも6cmと大きいという状態は,かなり厳しい状態なのでしょうか.抗がん剤(TC)で根治できる可能性はあるのでしょうか.覚悟は必要ですか.リンパ転移が無かったことだけが救いです.
主治医は同じ質問に対し「あなたの状況だと7~8割は治るんだから泣くようなことじゃない,抗がん剤をやればもっと再発は抑えられる」と言って下さっています.
「治る」というのは「5年間再発しない率」とのことでした.この数字の母集団条件は詳しく聞きませんでしたが,「全乳がん患者のステージ2」で,ということでしょうか.
トリネガだともう少し再発率は高いのか?…
ということは抗がん剤をやらなくても7~8割は再発しないのか?混乱しています.
7)TCの効果はよく知られていますが,トリネガに対するデータのようなものがありますでしょうか.具体的な数字を聞くのは怖いので,「よく効く」などの表現で教えて頂けると幸いです.
8)よくトリネガ群で再発するなら3年以内が多いと聞きます,逆に言えば3年を過ぎれば少し安心できるのかなとも思っています.しかし逆にもし…と考えた時,私に残された時間は少な いのか,と思うとおかしくなりそうです.
当サイトに「皮膚もしくはリンパ浸潤がなければ,しこりの大きさが5cmを超えても遠隔転移はめったにない」とありましたが,これはトリネガ群にもあてはまりますか?今はそのお言葉だけが頼りです.
9)再発がよく起こる「3年」という数字は,例えばKiが高値だと早めに再発する,逆に言えば時間経過毎に再発率は下がる,などといった,再発時期とがんの性質との相関性はあるのでしょうか.
10)今後どのような精神状態で過ごせば良いのでしょうか.
「病は気から」と言いますが,今はネガティブなことばかり頭に浮かびます.
おかしくなりそうで,子どもにも悪い影響を与えてしまっています.
前向きになれるよう,先生のお言葉を頂けませんでしょうか.
以上,長々と大変失礼いたしました.
何とぞよろしくお願い致します.
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「最大浸潤径」の記載がなくて「非浸潤癌と浸潤癌が混在している状態で5cm以上」という記載ですね。
針生検で4本採取して「全て、非浸潤癌」であれば「最大浸潤径は、それほど大きくはない」とは想像されます。
その意味ではpT3, pN0と同列に考える必要は無いです。
実質、『最大浸潤径は2cm以下』と思います。
ただ、「浸潤径が5mm以下」という確信が無い以上、「トリプルネガティブとして抗がん剤」はしておくべきでしょう。
「治療方針:乳房全摘出(済),今後TC or FEC+放射線」
⇒やはり「トリプルネガティブとして抗がん剤をする」以上、「アンスラサイクリン+タキサン」を選択したいところです。
 ○それと「放射線照射」を何故勧められているのでしょうか?
 「乳房切除(全摘)後の照射」の適応条件は「リンパ節転移陽性」だと思います。(1~3個:推奨度B  4個以上:推奨度A)
 
『当サイトで「針生検で非浸潤=あっても5mm以下の微小浸潤」とありましたが,「混在」,また「広範囲に」ということは,点々と5mm以下の浸潤が広範囲に存在していると考えるとよいのでしょうか.』
⇒確かに、その可能性も十分にはありそうですが…
 (前述したように)病理学的浸潤 径の記載が無い以上、「5mm以下=抗がん剤自体の適応無」とすることはリスクがあります。
 やはりpT1, pN0に準じた治療選択を(私ならば)推奨します。
 
『しこりの大きさとは浸潤径のことと教わりましたが,上記のように「混在」している場合は「非浸潤」部分も含めた全体の径になるのでしょうか』
⇒本来は「違い」ます。
 やはり「最大浸潤径」となります。
 
『術後抗がん剤は「とりあえずTCかなぁ」と言われ』「田澤先生が推奨されているトリネガ補助療法のゴールデンスタンダードとは異なる治療方法なのですが,どうお考えでしょうか」
⇒(前述したように)「アンスラサイクリン+タキサン」を(私は)勧めます。
 
『聞く度にしこりの大きさが大きくなっています(2cm⇒6cm).主治医は「検査方法による」と言っていましたが,手術を待つ間に大きくなったのでしょうか』
⇒担当医と同意見です。
 「検査方法による違い」だと思います。
 
 
「家族性(遺伝性)乳がんである可能性が高いと言われたのですが,この場合予後は悪いのでしょうか」
⇒「家族性乳癌」の可能性が高いとする根拠が「39歳という年齢」と「トリプルネガティブ」だけであれば、実際のところは「決めつけるほど(家族性乳癌の)確率が高い」とは思いません。
 
 ○万が一、家族性乳癌であったとしても「予後が悪い」というのは「あくまでも小数例での検討なので、気にする必要はありません。
 
「トリネガで顔つきも悪く(硬がん),Kiも高値,しこりも6cmと大きいという状態は,かなり厳しい状態なの でしょうか.」
⇒そんなことはありません。
 そもそもpT3と同等に考える必要はないでしょう。
 
「抗がん剤(TC)で根治できる可能性はあるのでしょうか.覚悟は必要ですか.リンパ転移が無かったことだけが救いです.」
⇒根治する可能性の方が高いのです。
 覚悟が必要な状況では全くありません。
 担当医のいうように「あなたの状況だと7~8割は治るんだから泣くようなことじゃない,抗がん剤をやればもっと再発は抑えられる」というのに私も全く同意見です。
 
『全乳がん患者のステージ2」で,ということでしょうか.トリネガだともう少し再発率は高いのか? …』
⇒担当医が出した数字の出どころが不明なので、これについてはコメントできません。
 ただ、「同ステージ」で比較すれば「ルミナールタイプよりは高くなる」とは思います。(しかし、それ程の違いは無い筈です)
 
『TCの効果はよく知られていますが,トリネガに対するデータのようなものがありますでしょうか.』
⇒サブタイプ別の(信頼できる)データはありません。
 効果は(普通に)あると思います。
 
「皮膚もしくはリンパ浸潤がなければ,しこりの大きさが5cmを超えても遠隔転移はめったにない」とありましたが,これはトリネガ群にもあてはまりますか?」
⇒同 様です。
 遠隔転移はありません。
 
「今後どのような精神状態で過ごせば良いのでしょうか.」
⇒トリプルネガティブという言葉から離れることです。
 サブタイプは「予後」と結びつけずに「どんな治療をすべきか?」のためにあるのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生
管理番号:2179で質問させて頂いたものです.
先生のご回答で本当に心休まり,落ち着いて現実を受け入れることができつつあります.誠に有難うございます.
今回再度ご質問させて頂きます.
1) 田澤先生から「最大浸潤径」が重要と聞き,主治医
に再度確認してみましたが,「腫瘍が6cmで浸潤,非浸
潤部分が混在」と繰り返されるのみでした。
(質問)
・仮に「1cm」の浸潤が3個あった,のであれば浸潤径は「3cm」となるのでしょうか(だから「6cm(5mm以上のものが多発?)」といわれたのかと思いました)?
  
2) 前回先生から
○「放射線照射」を何故勧められているのでしょうか?
 「乳房切除(全摘)後の照射」の適応条件は「リンパ節転移陽性」だと思います。
(1~3個:推奨度B  
4個以上:推奨度A)
とのお話を頂きましたが,主治医によれば,「腫瘍径が5cmを越えれば全摘しても胸筋付近に再発する恐れがある為」とのことでした.
(質問)
「胸筋付近に再発する恐れ」は高いのでしょうか.
3) 今回リンパ節転移はありませんでしたが,脈管浸襲の結果血管(V)はマイナス,リンパ管(Ly)はプラスでした(数値の提示はありませんでした).
(質問)
この結果をどう解釈したらよいのでしょうか.
4)(質問)
再発がよく起こる「3年」という数字は,例えばKiが高値だと早めに再発する,逆に言えば時間経過毎に再発率は下がる,などといった,再発時期とKiとの相関性はあるのでしょうか.
5)(質問)Ki値が高いと,抗がん剤がよく効くのでしょうか
また「54」という値は「高値」でしょうか.
6)(質問)前回の検診(8ヵ月前)には異常がなかったのに,今回このような結果になったということは,術後8ヵ月をめどに再発がなければ少し安心できるのでしょうか.
 知識のないなかお恥ずかしい質問で申し訳ありません.
7)(質問)トリネガで再発すれば,あとは終末医療となるのでしょうか.希望はないのでしょうか.再発率は低いとのお話でしたが,毎日死と隣り合わせのような気持ちです.「治る!」と信じて頑張っていきたいのですが・・.
とりとめもない質問ばかりですが,何卒よろしくお願い致します.
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「・仮に「1cm」の浸潤が3個あった,のであれば浸潤径は「3cm」となるのでしょうか(だから「6cm(5mm以上のものが多発?)」といわれたのかと思いました)?」
⇒違います。
 「腫瘍が複数ある場合」には、あくまでも「浸潤径が最大のもの」の浸潤径が「最大浸潤径」となります。
 例) 最大浸潤径「5mm」「12mm」「30mm」3つの腫瘍が存在していた場合では 「最大浸潤径=30mm」となります。
 
「2)(質問)「胸筋付近に再発する恐れ」は高いのでしょうか.」
⇒きちんと手術されていれば大丈夫です。
 
「今回リンパ節転移はありませんでしたが,脈管浸襲の結果血管(V)はマイナス,リンパ管(Ly)はプラスでした(数値の提示はありませんでした).(質問)この結果をどう解釈したらよいのでしょうか.」
⇒「脈管侵襲」に拘る方が多いですが、「乳腺内の血管やリンパ管を評価したもの」であり、「余程高度(3+など)」ならば「局所療法としての放射線照射の追加」などを考慮しますが、それ以外では気にする必要はありません。
 
「再発時期とKiとの相関性はあるのでしょうか.」
⇒そういう(信頼のある)データはありません。
 
「Ki値が高いと,抗がん剤がよく効くのでしょうかまた「54」という値は「高値」でしょうか.」
⇒理論的にというか(イメージとして)効きそうですが、(信頼できる)データはありません。
 Ki67=54%は「比較的」高値と言えます。
 
「前回の検診(8ヵ月前)には異常がなかったのに,今回このような結果になったということは,術後8ヵ月をめどに再発がなければ少し安心できるのでしょうか. 知識のないなかお恥ずかしい質問で申し訳ありません.」
⇒前回回答したように…
 特に「急速に大きくなった=増殖力が異常に高い」というわけではなく、「非浸潤癌としてゆっくり成長」し、「複数個所で浸潤を始めた」だけにすぎません。
 特に再発が早いとか無関係です。
 
「トリネガで再発すれば,あとは終末医療となるのでしょうか」
⇒(万が一、再発した場合には)「術前術後治療としては適応のない」抗がん剤で治療することになります。
 全く「治療手段がない」という意味ではありません。
 
「.希望はないのでしょうか.再発率は低いとのお話でしたが,毎日死と隣り合わせのような気持ちです.「治る!」と信じて頑張っていきたいのですが・・.」
⇒癌が「再発したら手ごわい」ことはトリプルネガティブとは無関係です。(ルミナールであっても、同様なのです。)
 「再発したら」等心配せずに「やるべきことをやる」ことこそ重要です。(時間が経てば、いずれ気にならなくなります)





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