[管理番号:8695]
性別:女性
年齢:36歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年6月29日
2019年10月上旬 しこりを自覚しクリニック受診。
2.5センチのしこりあり。
10月中旬 がん専門病院転院。
しこり8センチに増大。
リンパ転移あり(6個、鎖骨リンパ腫れている)ステージ3a
10月下旬よりFEC療法4回、パクリタキセル12回。
2020年5月 左全摘、リンパ郭清(レベル2まで)
病理結果
しこり1ミリ以下、リンパ35個中1個有り。
トリプルネガティブ。
7月より放射線治療開始予定。
術前化学療法により、完全奏功しませんでした。
やはり予後は悪いのでしょうか?
再発する確率はどのくらいあるのでしょうか?
トリプルネガティブということで、放射線治療後はやはり無治療ですか?
先生の意見を聞きたく、相談させていただきました。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
化学療法前に鎖骨下リンパ節に転移があったのに、レベル3まで手術をしない。(個人的には、その事の方が気になりました)
質問者の場合には「たまたま」抗がん剤が良く効いていて1個しか転移がのこっていなかったから「結果オーライ」と言えますが、全てで「幸運」を当てにするのは誤りです。
そのような手術をしていると、「鎖骨下リンパ節(レベル3)再発」の症例がいずれは出るでしょう。(と、そのがん専門病院の医師に言いたい)
「術前化学療法により、完全奏功しませんでした。やはり予後は悪いのでしょうか?」
⇒とんでもない!
完全奏効の確率は(そもそも)高くはありません。
十分効いている=予後良好と想像します。
「再発する確率はどのくらいあるのでしょうか?」
⇒化学療法前のステージと抗がん剤の効果をあわせると(私的には)20%前後だと思います。
「トリプルネガティブということで、放射線治療後はやはり無治療ですか?」
⇒その通り。(議論の余地なし)
質問者様から 【質問2 】
トリプルネガティブ
性別:女性
年齢:36歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年7月6日
田澤先生。
ご丁寧に回答いただきありがとうござます。
とても励みになります。
再度質問させてください。
リンパ節レベル3での再発率はどのくらいあるのでしょうか…
現時点で追加手術をするべきでしょうか?
術前化学療法前の検査でリンパ節レベル2までの転移が確認されています。
トリプルネガティブは3年以内?の再発転移が多いそうですが
再建については、現段階で考えるべきではないでしょうか?
再発率20%と考えると、5年生存率80%でよろしいですか?
何かのサイトでトリプルネガティブ5年生存率10%と見たのですが…
あっという間に8センチになってしまっていたがん細胞…
不安で不安でしかたありません。
少しは希望をもっていいのでしょうか…
この状態で、参加できる治験などあるのでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「術前化学療法前の検査でリンパ節レベル2までの転移が確認」
⇒前回『リンパ転移あり(6個、鎖骨リンパ腫れている)』と記載がありますが…
上記「鎖骨リンパ」とは鎖骨下リンパ節(レベル3)のことですよ。
「リンパ節レベル3での再発率はどのくらいあるのでしょうか…」
⇒それは不明です。
ただ抗がん剤が良く効いているようですし、実際に1個しか残存がなかったのだから「確率的には低い」と思います。
「現時点で追加手術をするべきでしょうか?」
⇒すでにレベルⅡまで郭清しているので、(癒着瘢痕があるので)手技的に難易度が
高い(私は慣れているから「その発想」はありますが、そこの病院で「その発想自体」そもそも無いでしょう)
私は最近同様に(他院でレベル2までの郭清後の)腋窩鎖骨下郭清をしたばかりなので、そう思います。
この場合には術前に「リンパ節転移の残存があった」から手術しましたが、(質問者の場合には現時点ではそのような所見は無いと思われるので)「敢えて難易度の高い」手術を勧めたりはしません。
「トリプルネガティブは3年以内?の再発転移が多いそうですが再建については、現段階で考えるべきではないでしょうか?」
⇒半年後ならいいでしょう。
「再発率20%と考えると、5年生存率80%でよろしいですか?」
⇒勿論。
「何かのサイトでトリプルネガティブ5年生存率10%と見た」
⇒??
もしも、「その病院」で本当にトリプルネガティブの患者さん達が(5年以内に)90%も亡くなるなら…
間違いなく「医療訴訟級の」出鱈目医療が行われているとしか考えられません。
「少しは希望をもっていいのでしょうか…」
⇒前回のコピペ
「術前化学療法により、完全奏功しませんでした。やはり予後は悪いのでしょうか?」
⇒とんでもない!
完全奏効の確率は(そもそも)高くはありません。
十分効いている=予後良好と想像します。
「この状態で、参加できる治験などあるのでしょうか?」
⇒これも前回のコピペ
「トリプルネガティブということで、放射線治療後はやはり無治療ですか?」
⇒その通り。(議論の余地なし)
標準治療以外の選択(治験など)は主治医と相談してください。
質問者様から 【質問3 】
トリプルネガティブ
性別:女性
年齢:36歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年8月3日
田澤先生。
再度質問させて下さい。
本日、血液検査をした所
腫瘍マーカーの下がり方がいまいちだと言われました。
術後は、いっきに下がるのに、ゆるやかな下がり方だと…
どぉゆう事なのでしょうか…
どこかに転移しているということですか?
不安で不安で仕方ありません…
何度もすみません…
先程の質問に載せ忘れてしまいました。
腫瘍マーカー
CEA→1,1
CA15ー3→11,6
どのような状況なのでしょうか…
どこかにがん細胞が残っているのでしょうか…
田澤先生から 【回答3】
こんにちは田澤です。
「術後は、いっきに下がるのに、ゆるやかな下がり方だと…」
⇒??
その「がん専門病院の医師」の言っていることが不明。
そもそも手術と腫瘍マーカーは無関係!
腫瘍マーカーは「あくまでも」以下のためにあります。(手術前後で比較するものではありません)
1.遠隔転移病巣が無いのか?
2.(遠隔転移病巣があった場合に)薬物療法による治療効果はどうなのか?
「腫瘍マーカー
CEA→1,1
CA15ー3→11,6
どのような状況なのでしょうか…」
⇒全く正常です。
ご安心を。
質問者様から 【質問4 】
腫瘍マーカーの変動について
性別:女性
年齢:37
病名:乳がん トリプルネガティブ
症状:
投稿日:2021年2月17日
ご無沙汰しております。
再度質問させて下さい。
術前化学療法中のマーカー
R1.12月 CEA 1.5 CA15-3 22.4
R2. 2月 CEA 2.2 CA15-3 24.3
R2. 4月 CEA 1.7 CA15-3 14.8
術後のマーカー
R2. 8月 CEA 1.6 CA15-3 11.6
10月 CEA 1.9 CA15-3 19.6
12月 CEA 2.2 CA15-3 21.5
R3.1月 CEA 3.3 CA15-3 22.5
2月 CEA 4.7 CA15-3 21.2
腫瘍マーカー微増続けています。
これは転移を疑うものなのでしょうか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
化学療法中のマーカー(特にCA15-3)は、全く参考になりません。(抗がん剤による肝機能の負担があるため)
CEAが毎月1ずつ上がっていますが、「ここから」上がるのか?に注目しましょう。(来月以降も4台だったら、経過観察、5⇒6と上昇するならPET等考慮)