[管理番号:2625]
性別:女性
年齢:44歳
はじめまして。
乳がんになってこちらで勉強させていただいています。
2月に右胸皮下全摘、エキスパンダー術を受け、術中リンパ転移0でした。
術前の検査では、
乳管癌2.3×1.7 と1.3×1.12個
エストロゲン強陽性
プロゲステロン強陽性
HER2 陰性
Ki67 12%
ルミナールA
との事で、術後はホルモン治療を予定していました。
昨日、術後病理の検査がでて
浸潤性乳管癌と浸潤性小葉癌の混在 浸潤径70mm
組織悪性度1
エストロゲン強陽性
プロゲステロン強陽性
HER2陰性
Ki67 5%
断端陰性
リンパ節転移なし
でした。
担当医は、小葉癌という珍しいタイプの癌があった事、
浸潤径7cmと大きいことから
ホルモン療法の前にTC療法4クールを進めています。
担当医は、「化学療法はあまり効果がないけどね。」と呟き
私が、「TC療法をするのとしないのでは転移の可能性はどの位かわるのか」尋ねると
「数パーセントだね。」と言われ悩んでいます。
田澤先生はどのように考えられますか?
小葉癌は調べてもあまり情報が少なく、混在している事。
7cmの浸潤径だった事なと不安です。
田澤先生のご意見をお聞かせください。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
今時「小葉癌を珍しい」と表現するのもいかがなものかと思います。
最近は「小葉癌」と診断されるケースも増えているようです。(特殊型と言われてい
るものの中では最も多いと思います)
○小葉癌は「多発病巣が癒合」して「見掛け上、浸潤径として大きく見える」ことがありますが、「大きなしこりとしての浸潤径と、同等には考える必要はない」と思います。
pT3(70mm), pN0, luninalA, NG1
そう言う意味では「小葉癌の典型例」と言えなくもありません。
「担当医は、小葉癌という珍しいタイプの癌」
⇒今時「小葉癌を珍しい」とするのは、「如何なもの」でしょうか。
「浸潤径7cmと大きいことからホルモン療法の前にTC療法4クールを進めています。」
⇒私であれば「抗ガン剤は勧めません」
St. Gallen 2015でも「抗ガン剤の適応に、腫瘍径は考慮しない」が「過半数を占めている」ことも明記しておきます。
「担当医は、「化学療法はあまり効果がないけどね。」と呟き私が、「TC療法をするのとしないのでは転移の可能性はどの位かわるのか」尋ねると「数パーセントだね。」と言われ悩んでいます。」「田澤先生はどのように考えられますか?」
⇒ホルモン療法単独です。
「Ki67=5%」 「NG1」 どう考えても「抗ガン剤が期待される」タイプではありません。
「7cmの浸潤径だった事なと不安です。田澤先生のご意見をお聞かせください。」
⇒小葉癌では「しばしばあること」です。
画像上の浸潤径よりも大きく、「多発病巣が癒合」したようなものであり、「普通の、腫瘍が増大して7cmに到達した」こととは、全く異なります。