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タモキシフェンの副作用ですか?

[管理番号:2397]
性別:女性
年齢:40歳
いつも丁寧なご回答をありがとうございます。
お忙しい中申し訳ありませんが、どうかお願い致します。
2015 11 ○○に
左側の充実
腺管癌0、5ミリ
ER100Pgr80、ハーツー陰性、核グレード1、ki67が2パーセント(マンモトーム時は10パーセント)リンパ転移なしと診断され、12月○○日からタモキシフェン服用しています。
放射線治療今しています。
1月に初めてのリュープリンの注射をしました。
最近背骨を曲げる時痛い時があったり、左の骨盤が痛い時がいったり、恥骨?が痛い時があったり、足の付け根が痛い時があります。
一箇所が数日ずっと痛いわけではありません。
痛みも激痛ではありません。
11月はじめに骨シンチをしましたが、その時はまったく異常ありませんでした。
骨転移かと不安でなりません。
どうか先生のご意見いただけないでしょうか。
ホルモン受容体100でもホルモン療法効かない人もいると聞きました。
不安で仕方ありません。
先生どうかよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT1mi(0.5mm), pN0, luminalA, NG1
超低リスクです。
何故LH-RHagonistをやっているのか理解に苦しむところです。
そもそも、この病理結果では「タモキシフェン」そのものの適応もどうなのか?というレベルです。
「1月に初めてのリュープリンの注射」「最近背骨を曲げる時痛い時があったり、左の骨盤が痛い時がいったり、恥骨?が痛い時があったり、足の付け根が痛い時があります。」
⇒LH-RHagonistの副作用でしょう。
 
「11月はじめに骨シンチをしましたが、その時はまったく異常ありません」
⇒当たり前です。
 こんな低リスクで「骨シンチグラムをする」意味が解りません。
 医療被曝を考えなくてはいけません。
 是非、「今週のコラム 6回目 無駄どことか有害なのです」を読んでください。
 
「骨転移かと不安でなりません。」「どうか先生のご意見いただけないでしょうか。」
⇒症状がそもそも違う(いきなり全身なんて、薬剤以外に考えるべきではありません)し、何よりも『転移など、心配する様な状況ではありません』
 
「ホルモン受容体100でもホルモン療法効かない人もいると聞きました。不安で仕方ありません。」
⇒今すぐ「無意味な心配」から離れましょう。
 
 
「この痛みが」
⇒そもそも不必要なLH-RHagonistが原因である可能性が高いです。
 中止すれば(急に改善はしませんが)徐々に改善していきます。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、昨日は質問に答えていただき、本当にありがとうございました。
背骨、恥骨、骨盤の痛み、日によって場所も変わりますし、なぜかお風呂で温まったあとなど軽減されるのですが、リュープリンによるものではないかとご意見いただきました。
タモキシフェン5年に、リュープリンも5年したほうがいいと、主治医の先生に言われました。
それは子宮体がんのリスクを減らすからとのことでした。
リュープリンはやはり、5年は必要なのでしょうか?
また、田澤先生の医療被爆についてのコメントも読ませていただきました。
そこで質問なのですが、これからの定期検診は乳はエコーなどこまめにし、全身は血液検査をしていけばいいのでしょうか。
なぜかというと、知人に腫瘍マーカーはあまりあてにならないと言われ不安になったからです。
また、昨日書いた、ホルモン受容体100と出てもホルモン療法がきかないひともいる、というのは主治医の先生に言われたことなのです。
不安になっています。
それはそういう例の方が実際いらっしゃっるのでしょうか。
いくつも質問してしまい、申し訳ありません。
田澤先生、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「タモキシフェン5年に、リュープリンも5年したほうがいいと、主治医の先生に言われました。それは子宮体がんのリスクを減らすからとのことでした。」
⇒LH-RHagonistの併用が「本当に子宮体がんのリスクを下げる」という証明はされていません。
 
「リュープリンはやはり、5年は必要なのでしょうか?」
⇒そもそも、質問者のような「低リスク」で「副作用を我慢してまでホルモン療法をすべき」ではありません。
 当然、副作用があれば「LH-RHagonistは中止すべき」です。
 
「これからの定期検診は乳はエコーなどこまめにし、全身は血液検査をしていけばいいのでしょうか。」
⇒その通りです。
 定期的なエコー(3カ月~6ヵ月)
 マンモ(1年)
 採血腫瘍マーカー(3カ月~6ヵ月)
 で十分です。
 ♯定期的な画像診断(PETやCT、骨シンチなど)は有効ではない事が証明されています。
 
「なぜかというと、知人に腫瘍マーカーはあまりあてにならないと言われ不安になったからです。」
⇒私は(その知人の方とは異なり)何千人も術後患者さんを診てきて、その中で(不幸にも)再発する際には、腫瘍マーカーがどのように動くか「肌で体験」しています。
 
 
「また、昨日書いた、ホルモン受容体100と出てもホルモン療法がきかないひともいる、というのは主治医の先生に言われたこと」
⇒その主治医が「どういう意図で、そのような話」をしているのかは不明ですが…
 「ホルモン療法が効かない人もいる」なんて当たり前の事です。
  もしも「全員に効く」のであれば「再発率はゼロ」となる筈です。
  よく考えてみてください。
  ルミナールA(例え、ER 100%, PgR 100%でも)でステージ1 のような方でも(ホルモン療法を行っても)「再発率はゼロにはなりません。5%位はあります」
 ⇒この事実が「担当医のいう、効かない人もいる」と同義ではないですか?
   そんな「当たり前の話」で不安にするようでは、担当医は「何のために、そんな話」をしているのか私には理解ができません。
 
「それはそういう例の方が実際いらっしゃっるのでしょうか。」
⇒それは「ホルモン受容体が100%陽性」なのに「再発した人がいるかどうか?」という意味ですか?
 勿論いらっしゃいます。
 「ホルモン受容体が100%陽性でホルモン療法をしていれば絶対に再発しない」と考える事の方が不自然だと思いますが…(その他のリスクに応じて、再発率が存在するわけですから)
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生、何度も質問に答えて下さり本当に感謝しております。
ありがとうございます。
先生のおっしゃる通りです。
100パーセント再発しない治療法があれば夢のようですよね。
今後は、乳と血液検査をそのスパンで定期的にやっていきます。
リスクを少しでも減らすため、治療の他に乳がん患者が気をつける、心がけることがありましたら、先生、ぜひ教えていただけますでしょうか。
どんな小さなことでもいいので、どうか教えていただきたく思います。
よろしくお願い致します。
子供達のため、何でもできることはしたいのです。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「リスクを少しでも減らすため、治療の他に乳がん患者が気をつける、心がけることがありましたら、先生、ぜひ教えていただけますでしょうか。」
⇒特にありません。
 強いて言えば「余計なことで悩まないようにする」ことです。
 ○同日の「Q」で質問者から提供いただいた言葉を処方箋とします。
(管理番号2345「脈管侵襲について」の質問2)
 『元プロ野球選手の松井秀喜さんは、物事を自分でコントロールできることと、できないことに分けて考え、できないことに関心を持たないようにしている』
 正に、そういうことです。