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手術後の治療方針についてのお伺い

[管理番号:2054]
性別:女性
年齢:51歳
11月末に右乳房全摘出とリンパ節郭清の手術を受け、先日、術後の結果の説明を聞きました。
内容は、次の通りでした。
組織型  浸潤性乳管癌
リンパ節転移 陽性
転移リンパ節数 16
摘出リンパ節数 19
大きさ  浸潤径5.4×4.4cm
範囲   7.0×6.7cm
核異型度 3
組織異型度3
リンパ管、脈管、侵襲 あり
Ki67   19.9%
術前化学療法 なし
ホルモン感受性 あり
HER2   スコア3
断 端   陰性
今後の治療方針として、化学療法、ホルモン療法、放射線療法、ハーセプチン使用 を勧められました。
順番としては、AC療法(アドリアマイシン、シクロホスファミド)を3ヶ月間、パクリタキセル+トラスツズマブ(ハーセプチン)を3ヶ月間、そして、放射線治療を行い、トラスツズマブ(ハーセプチン)を9ヶ月 ということでした。
手術前は、エコー検査からはリンパがきれいに見えるので、もしかするとホルモン療法だけでも済むかもしれない、と言われ、そこに希望をつないでいましたが、説明を聞いているうちに、結果があまりにも重いようだったため、まだ、現実を受けとめきれていません。
仕事が連日激務のため、年明けの職場復帰をあきらめないといけないこともありますし、化学療法を2度にわたって行う、という長期に渡って体に負担の大きいこれらの治療を乗り越えられるのか、という不安もあります。
もし、他の選択肢があれば、教えていただけないでしょうか。
アドバイスをよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「今後の治療方針として、化学療法、ホルモン療法、放射線療法、ハーセプチン使用 を勧められました。順番としては、AC療法(アドリアマイシン、シクロホスファミド)を3ヶ月間、パクリタキセル+トラスツズマブ(ハーセプチン)を3ヶ月間、そして、放射線治療を行い、トラスツズマブ(ハーセプチン)を9ヶ月 ということでした。」
⇒まさに「gold standard」です。
 これで間違いありません。
 
「もし、他の選択肢があれば、教えていただけないでしょうか。アドバイスをよろしくお願いいたします。」
⇒他の選択肢としては「非アンスラサイクリンレジメン」となりますが…
 ①パクリタキセルとハーセプチンを毎週投与(12回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
  これは、ハンドブックにあるスタンダードレジメンとは異なり「AC療法を行わない」やり方です。
  「最初の12回の毎週通院」は「通院は大変」ですが、「副作用は格段に楽」です。
  その後のハーセプチン単剤には副作用はありません。
 ②ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチン(4回)⇒ハーセプチン単剤(14回)
 これは、「全て3週毎通院」となります。
 ①と比較すると「通院回数が少ない」ことが利点ですが、「副作用は①よりは、
やや強い」と言えます。
 効果に関しては①との直接比較はありませんが、「パクリタキセル(毎週12回)
=ドセタキセル(3週投毎投与4回)」と考えると②の方が「エンドキサン分」上乗せされると思います。
③ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチン(6回)⇒ハーセプチン単剤(12回)
  これも「全て3週毎通院」となります。
  カルボプラチンが唯一乳癌の適応を通る使い方です。
 ただし、「病理結果で判断」する限り、ここは「gold standard」をお勧めします。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、早速に、丁寧なご返答をありがとうございました。
おかげさまで、田澤先生のご助言をいただき、気持ちがだいぶ整理されてきました。
いろいろな治療の可能性がある中でも、最終的には、病理結果で判断すると提案された治療方針に従って進めていくことがベスト、とのことでしたので、大変そうだという気持ちはまだありますが、まずは、来年から治療を始めていくことを前向きに考えようと思っています。
 そこで、あらたな不安が生じてきています。
手術を受けた病院が、通院に1時間20分程度かかり、都心を抜けて電車を乗り継いでいかないとなりません。
歩く時間も、家から駅まで10分、電車の乗り継ぎで6~7分程度かかります。
担当の先生からは、これくらいの距離で通っている人はいるし、副作用の吐き気止め(グラニセトロン、デキサメタゾン)を点滴し、内服薬も処方するので大丈夫、と言われていますが、吐き気以外の倦怠感なども心配です。
 調べたら、治療が始まる前でしたら転院できるところもあるようですが、やはり通院時間よりも、手術を受けた病院で治療を進めていくことの方が、今後のことを考えるとよいでしょうか。
田澤先生のお考えをお聞かせください。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
(1/3w)ACx4⇒wPTX+HERx12⇒放射線照射⇒HER単剤(9カ月)ですね。
「副作用に心配」なのは「最初のACの3カ月だけ」です。PTXは「痺れや味覚障害がじわじわ出てはきますが、凄く大変」という事にはなりません。
ACと言っても担当医のいうように「点滴当日」具合が悪くなることも無いし、「1h20min」は頑張れる範囲だと思います。
♯当院で術後ケモをしている患者さん達も「県を跨いでいる方」も多く、(大変だとは思っていますが)頑張って通っていらっしゃいます。(通院途中で具合が悪くなることがないので可能だと思っています)
 
「調べたら、治療が始まる前でしたら転院できるところもあるようですが、やはり通院時間よりも、手術を受けた病院で治療を進めていくことの方が、今後のことを考えるとよいでしょうか」
⇒「転院先の医師」と必ずしも「合わない可能性」を考えれば、「頑張って通院」をお勧めします。