[管理番号:6443]
性別:女性
年齢:65歳
田澤先生
今月第2水曜に初診で九州在住の母(左胸の皮膚に腫瘍が出ていて手術不能)を診ていただいた者です。
その節は本当にありがとうございました。
話を聞きに行く事が出来なかったので、田澤先生に直接診ていただきお話を伺えて本当に良かったと感謝しております。
母も弟も喜んでおりました。
・3月中旬~下旬、左胸下側の痒みが気になりはじめ無意識も含めて掻いていたとの事(母は仕事やスポーツで汗をかく事が多く、汗疹と言う言葉が出ていたのでもしかしたら少し発疹があったのかもしれません)
・4月中旬、鏡でかぶれのような状態に気付き病院を探す
・4月中旬、1軒目の病院を受診し、総合病院の乳腺内分泌科を紹介される
・4月(中旬)日、乳腺内分泌科受診。
エコー・マンモ・皮膚表面を切り検査に回したとの事
・4月(下旬)日、血液検査。
浸潤性乳管がん、この時にはステージ3
・5月(上旬)日、PET検査。
肝転移
と言う流れで、それまで3年前に良性と言われていたしこりの変化も感じなかったとの事で、本人も家族も気持ちがついて行かない中で診察していただいた状況でした。
あの場ではじめて聞いた事も多くおかしな質問をしてしまい申し訳ありませんでした。
病名は同じでも全く同じものはないんだなと感じています。
田澤先生からお話があったHER2療法を来週からはじめる事になり、今は別のQ&Aで先生がおっしゃっていた「まずは手術可能な状況まで頑張る」を目標に出来る事をしていきたいと思います。
相談させていただきたいのですが
・母はやはり「パージェタ+ハーセプチン+ドセタキセル」で治療がスタートするようです。
まずは半年が勝負との事でしたが、田澤先生はどのような流れで次の治療にうつられますか?
・田澤先生が「原発巣の手術が出来る」と思われるタイミングはどの辺りでしょうか?
・母は東京近郊での生活が長かった事、子供達も東京近郊で生活しているため、両親のサポート等を考えて今後こっちでの治療を考えています。
治療途中に転院される方はいらっしゃいますか?
もしいらっしゃったらどのような形で転院されましたか?(体力面やタイミングなど)
・また「臨床試験の被検体」とは通常の治療と何が違うのでしょうか?
・関東で治療になったら是非田澤先生に診ていただきたいと思っています。
どのような形で診察(予約でしょうか?)をお願い出来ますか?
出来る事はしていきたいです。
長くなり申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「まずは半年が勝負との事でしたが、田澤先生はどのような流れで次の治療にうつられますか?」
⇒大事なことは「手術可能な状態」が目標だということです。
つまり、「現状維持」では不十分であり、3週間に1回の抗癌剤投与時に「主治医に効果を確認」して「少しでも、効果が鈍っているなら、早めに抗癌剤を変更」することです。
「・田澤先生が「原発巣の手術が出来る」と思われるタイミングはどの辺りでしょうか?」
⇒(効果が持続しているという仮定で)「3カ月目」⇒(それでも不十分なら)「6ヶ月目」というのが目安です。
「治療途中に転院される方はいらっしゃいますか?」
⇒ケースとしては
抗癌剤を地元の腫瘍内科で行い、(手術可能なタイミングで)当院で手術⇒地元で抗癌剤継続
というケースもありました。
「もしいらっしゃったらどのような形で転院されましたか?(体力面やタイミングなど)」
⇒上記通り。
3カ月や半年の抗癌剤で「体力面が…」などということはありません。
「・また「臨床試験の被検体」とは通常の治療と何が違うのでしょうか?」
⇒「エビデンスが(まだ)無い治療を行う」ということです。
「どのような形で診察(予約でしょうか?)をお願い出来ますか?」
⇒3カ月なり半年なり、(主治医から)「手術も可能かもしれない」となったら、秘書メールしてください。
秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。
質問者様から 【質問2 エリブリン】
性別:女性
年齢:65歳
田澤先生
お世話になっております。
先日ID6443でお返事をいただきました。
お忙しい中、丁寧なご回答とメールのご案内をくださりありがとうございました。
本当に心の支えです。
1日も早く田澤先生に診ていただきたいと心から思います。
改めていくつか相談させていただきたく思います。
よろしくお願い致します。
前回、治療が「パージェタ・ハーセプチン ・ドセタキセル」ではじまると投稿しましたが「パージェタ・ハーセプチン・エリブリン」でスタートしたとの事でした。
Q&Aを読んでも「パージェタ・ハーセプチン・ドセタキセル」の組み合わせが多く、ファーストラインともあります。
・エリブリンは良い抗がん剤だと別のQ&Aで先生がおっしゃっているのを読んで安心したのですが、「パージェタ・ハーセプチン ・エリブリン」でスタートしたケースを見つけられず、これがエビデンスがまだない治療なのかなと気になりました。
・今までこの組み合わせで治療をはじめた方はいらっしゃいましたか?
・この組み合わせは先生はどのように思われますか?
ドセタキセルでは「3週間に一度の投与予定」だったのが、エリブリン
になり「点滴した翌週にもう一度点滴をして1週間休み翌週次クール突入」に変更になったと聞きました。
5月〇〇日~〇〇日入院し、5月〇〇・〇〇日でエリブリン・ハーセプチン・パージェタを投与しました。
入院中は心配していたような副作用も全く出なかったとの事で家族もほっとしていました。
今も自覚する副作用はほぼなく、体を動かしていた方が体調が良いとの事で、軽くウォーキングもしています。
しかし2回目投与予定だった6月5日には白血球の数値が低く投与する事が出来ず、白血球の数値を上げる注射を打って帰宅したそうです。
先生は「念のため延期にしましょう」と言う感じではあったようです。
・1回分打てず延期になった事で効果に大きな違いはありますか?
・白血球減少は副作用?このような事は多いのでしょうか?
・白血球減少を予防するために出来る事はありますか?
・退院した翌日に37度の微熱と鼻水の症状が出たとの事ですが白血球減少の原因に関係ありますか?(37度台は心配いらないとは言われたようです)
・現在エリブリン投与後10日ほど経ちますが、何日か夕方になると37度前後の微熱が出たり、口内炎も出て来たそうです。
この症状も副作用でしょうか?
・そして一番心配しているのが、このまま白血球の数値が上がらない事はありますか?
次回の投与は19日を予定しています。
(2クール目になるのでしょうか)
・19日に受診してまた数値が上がらないから打てないとなるのではないか?
また仮に19日に打てたとしても再び白血球減少してしまい翌週の投与が出来ず延期となるのではないか?
そうなると2回打つべきところを1回の半分しか打てず、効果が弱くなってしまうのではないか?と心配していますがどうでしょうか?
母自身、はじめて投与してから左胸下側の腫瘍や小豆大のしこりが小さくなっている(胸の腫れもかなりひいているとの事です)事を感じていたり、3年前の大丈夫と言う言葉を信じてここまで来てはしまいましたが、治療にもとても前向きなので何とか延期にならずに予定通りに治療してもらいたいと思っていますが心配です。
たくさんの質問になり申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
まず抗癌剤の副作用の考え方の大筋をお話ししましょう。
3週間に1回のレジメンはきつい
アンスラサイクリン EC AC
タキサン docetaxel
毎週投与のレジメンは楽
Eriblin
Paclitaxel(bevacizumab + paclitaxelも同様)
メール内容を整理します。
1.Pertuzumab+trastuzumab+eriblinについて
これは非常にいい抗癌剤です。(trasuzumabやperutuzumabと相性もいい)
私も、(敢えて)docetaxelを用いずにeriblinを用いる事があります。
☆上記副作用を考慮してです。(副作用を考慮してとはいえ、治療効果は「同等以上」です。
(主治医の意図は想像ですが)「ドロップアウトせずに、効果を出したい」だと推測します。
2.白血球のマネージメントについて
これは、フィルグラスチムを積極的に併用して「休薬せずに」やりきることを重視しましょう。
Eriblinは(ご本人が感じる)副作用が弱いわりに白血球低下が必発します。
今回、day1で投与⇒day8で白血球低下だったわけだから、
次回はday1で投与⇒day6前後でフィルグラスチムを打って白血球を上げてday8に臨むというやり方です。(day6に投与したフィルグラスチムの効果でday8には白血球が回復して投与可能な状態となることを期待)
3.その他の副作用について
Eriblinでは大した副作用は出ませんので、「微熱の継続」などあまり気にせずに「優先順位」を決めて頑張りましょう。
4.重要なこと
「何のために抗癌剤をしているのか?」を常に意識して、
(3週間に1回程度は)
効果を確認しながら継続することです。(勿論、eriblinが絶対効果があるとは限らないのです)
白血球が低めだからといって弱気な抗癌剤となると、「効果が2の次」となってしまいます。