[管理番号:4921]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生初めまして、こんにちは。
初めて質問させて頂きます。
乳がんプラザで少しずつですが勉強しています。
お忙しいとは思いますがどうぞよろしくお願いします。
今年の5月に右全摘手術を受けました。
手術後の病理診断結果です。
診断
右乳癌(cT2N0M0 StageIIA)
所見
大きさ 4×2.5cm(連続性のある最大浸潤径、病変全体は6×7cmの範囲に分布)
組織型 浸潤性小葉癌
Nuclear Grade 1
免疫染色 ER :3b PgR:3b HER2 :2+ Mib-1 :15%
腫瘍細胞の細胞膜にE-cadherin陰性
リンパ管侵襲 (-) 静脈侵襲(-) 乳管内進展(-)
リンパ節転移 : Sentinel (0/3) TMN分類 : pT2
切除断端 : 皮膚側(+) 腋窩寄りの皮膚側(表皮では被われていない部位)
の剥離面熱変性部に近接して浸潤性小葉癌成分を認めます <1㎜
主治医から術後の治療は、ホルモン療法を強くすすめると言われました。
再発率を減らし副作用が少ないとのことでした。
抗がん剤治療は、あまり効果がなく副作用を考えるとしなくて良いと思うが、希望があればしてもいいと言われました。
また、ホルモン療法をはじめたら途中で抗がん剤治療を始めたくてもできないとも言われています。
治療の順番が決まっているからですか?
ステージⅡAは早期ではなく(0とIが早期)、浸潤径や病変が大きい、皮膚側(+)とあるので、抗がん剤治療もした方が良いですか?
以前Q&Aで、全摘後でも腫瘍径が5cmであれば放射線治療賛成とありました。
私は浸潤径が4cm、病変が6×7cmあり、皮膚側(+)なので放射線治療もしたほうがいいですか?
ホルモン療法だけでも再発予防できますか?できるのであれば、使用する薬を教えてください。
(できれば抗がん剤治療も放射線治療もなしが希望です)
病気の広がりが大きいですが完治できるのでしょうか?
再発率、生存率はどれくらいになるのでしょうか?
長くなりましたがよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
○放射線に関しては
小葉癌のような(画像では解りずらい)拡がりでの浸潤径と、通常の「大きなシコ
リ」としての浸潤径を同等に考える必要はありません。
○化学療法に関しては
浸潤径の大きさも(ましてや、皮膚側断端も)全く無関係です。
あくまでもサブタイプで決めるべき
luminalAなのでホルモン療法単独とすべきです。
○皮膚側断端について
きちんとした手術なら、全摘で陽性となることはありません。(病理医は標本でしか判断できないから、そのようなレポートとなることはあります。その点は執刀医の方を信頼しましょう)
「ホルモン療法をはじめたら途中で抗がん剤治療を始めたくてもできない」「治療の順番が決まっているからですか?」
⇒順番などありません。
「ステージⅡAは早期ではなく(0とIが早期)、浸潤径や病変が大きい、皮膚側(+)とあるので、抗がん剤治療もした方が良いですか?」
⇒不要です。(冒頭のコメント参照のこと)
「私は浸潤径が4cm、病変が6×7cmあり、皮膚側(+)なので放射線治療もしたほうがいいですか?」
⇒不要です(冒頭のコメント参照のこと)
「ホルモン療法だけでも再発予防できますか?できるのであれば、使用する薬を教えてください。」
⇒タモキシフェン単独でもいいとは思いますが、LH-RHagonistを併用しても間違いではありません。
「病気の広がりが大きいですが完治できるのでしょうか?」
⇒再発する可能性の方が圧倒的に小さいことは常識的にお解りでしょう。
「再発率、生存率はどれくらいになるのでしょうか?」
⇒ホルモン療法単独で
再発率:20%
10年生存率89%
質問者様から 【質問2】
田澤先生 こんにちは。
先日はお忙しい中お返事をくださってありがとうございました。
緊張しながら読みました。
薬を決める日、主治医から医者としては効果があるもの(抗がん剤5%の効き目)は全てしたいと言われましたが、タモキシフェンだけの治療に決めました。
LHーRHは使いませんが大丈夫でしょうか?
ホルモン治療で再発を半分に減らせるそうなので頑張るつもりでしたが、他の方のQ&Aで子宮内膜の増殖が見られたらタモキシフェン中止という記事を見つけ、思い出しました。
私も以前から子宮内膜肥厚を指摘されていました!まだ始めたばかりですが、ホルモン治療中止となるのでしょうか?なぜ肥厚したらいけないのですか?もし無治療になったら再発率が40%ぐらいになりますよね。
他の治療法はあるのでしょうか?
田澤先生から再発の可能性が圧倒的に小さいというお返事をいただき、
ホルモン治療を続けていけば完治できるかもしれないと思えたのに今は不安でいっぱいです。
この先どうすればいいのでしょうか? 心残りがたくさんあります。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「薬を決める日、主治医から医者としては効果があるもの(抗がん剤5%の効き目)は全てしたい」
⇒そもそもルミナールAでは抗癌剤の効果(上乗せ)は5%ありません。
「LHーRHは使いませんが大丈夫でしょうか?」
⇒子宮内膜が気になるなら,尚更「併用」してもいいと思います。
「まだ始めたばかりですが、ホルモン治療中止となるのでしょうか?なぜ肥厚したらいけないのですか?」
⇒タモキシフェンによる「子宮体癌のリスクを避けるため」です。
その場合にはLH-RHagonist単剤となります。
「他の治療法はあるのでしょうか?」
⇒LH-RHagonist単剤となります。