[管理番号:2959]
性別:女性
年齢:40歳
はじめまして。
いつもQ&Aを見て勉強させていただいています。
2月に右乳がんのため乳房温存術を受け、タモキシフェンの内服と3カ月に一度のゾラデックスの注射をしています。
放射線治療も30回終了しました。
術後の病理結果
浸潤性小葉癌
腫瘍の大きさ1センチ、
5ミリ(計2個)
リンパ節転移-
ステージⅠ
ly-、v-
グレード1
ki67:5%
ER+、PgR+
HER2-
今後は3カ月に一度の受診になります。
小葉癌についてはこのQ&Aで勉強しましたが、
腹腔内再発が稀にあるということについて、
どれくらいの頻度でどのように腹腔内の検査をするのか教えていただけますか?
(それとも稀なので、乳房のみの検査だけで良いのでしょうか?)
また小葉癌は新規で多発しやすいとのことですが、アルコールは適量だとしても飲むより飲まないほうが発症予防になるでしょうか?
主治医に確認すればよいことなのかもしれませんが、田澤先生にもお聞きしたくメールさせていただきました。
ご多忙のところ大変恐縮ですが、よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(10mm), pN0, luminalA, NG1
完璧な「超早期癌」です。
40歳と言う年齢から「LH-RHagonistの併用」となっているとは思いますが、ASCOの新しいガイドライン(2016)では「年齢には言及せず、抗リスクで行うべき」というスタンスとなっています。
「どれくらいの頻度でどのように腹腔内の検査をするのか教えていただけますか?」
⇒物凄く稀(症例報告もの)なので、特に検査はしません。
見つかるケースは2パターンです。
いずれも、低頻度なので気にする必要はありません。
①肝転移もないのに腹水が貯留し、がん性腹膜炎の診断となり、腹水の細胞診で「小葉癌細胞が検出」
②腹腔内にマスが出現(症状が出たり、一般検診でたまたま見つかる)し、外科手術で摘出してみたら「小葉癌の転移と判明」
「それとも稀なので、乳房のみの検査だけで良いのでしょうか?」
⇒その通りです。
むしろ「対側も含めて」それが重要です。
「アルコールは適量だとしても飲むより飲まないほうが発症予防になるでしょうか?」
⇒飲まないに越した事はないようですが…
アルコール好きの私が(自分のことを棚に上げて)「禁酒が必要」というつもりはありません。
特に質問者は「超低リスク」なのですから、そんな余計な心配よりも「生活の質を大事にすべき」でしょう。
質問者様から 【質問2】
いつもお忙しい中、このような質問の場を設けてくださりありがとうございます。
毎日欠かさず拝読しています。
2月に温存手術をしてからは3カ月に一度のゾラデックスの注射とタモキシフェンの内服を続けています。
(一度、主治医にゾラデックスの必要性について質問してみましたが、継続した方がいいということでやめられず現在も継続しています)
今回、田澤先生にお聞きしたいことはタモキシフェンやゾラデックスの副作用のことです。
飲み始めた頃から、右大腿の膝に近い部分に痛みが出て、2~3ヶ月続きました。
様子を見ていたら治ったのですが、今度は7月頃から腰を動かすと痛みが出るようになりました。
今では前傾の姿勢になると、腰~大腿の裏側にかけて筋肉がこわばってるような痛みがあります。
時折、歩くと足の裏にも痛みがあったり、右上腕~肘に近い部分にも痛みが出ます。
タモキシフェンやゾラデックスを使用する前には、このような症状は一度もなかったため、薬の副作用?と心配になってきました。
しかし、今までのQ&Aでは副作用で筋肉のこわばりのような症状がある方はいなかったように思います。
田澤先生が今まで診療されたたくさんの方の中でこのような症状の方は他にいらっしゃいましたか?
副作用とは考えにくいのであれば、整形外科?の受診も考えようと思っています。
長文で申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「田澤先生が今まで診療されたたくさんの方の中でこのような症状の方は他にいらっしゃいましたか?」
⇒関節からきているのではないでしょうか?
おそらく「副作用」だと思います。
気になるのであれば「一度休薬」すれば、改善することで確認できます。
「副作用とは考えにくいのであれば、整形外科?の受診も考えようと思っています。」
⇒副作用と考えるべきであり、
「整形外科を受診する」よりは(順番として)「先にゾラデックスを休薬すべき」です。