[管理番号:7496]
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳癌
症状:
田澤先生、こんにちは。
お忙しいところ初歩的な質問で申し訳ないのですが、サブタイプについて教えて下さい。
私はルミナルHER2タイプで、術後の補助療法は、抗がん剤+パーセプチンの後、ホルモン療法と言われました。
そこで質問なのですが、私のがん細胞は最低2種類存在していて、まず、
HER2タイプのがん細胞を叩き、次にホルモンタイプのがん細胞を叩くということでしょうか?
そして、トリプルネガティブというものが存在するということは、この2種類が叩けたとしても、まだ他の種類のがん細胞(補助療法の抗がん剤が効かないタイプ)が残っている可能性もあるということでしょうか?
がん細胞というものがよく理解できていなくて、1つのがん細胞にHER2タイプとホルモンタイプが混在していて、どちらかで叩くとこが出来れば、一緒に死滅出来るのでは・・・と思っていたのですが、そのようなことはないのでしょうか?
また、ホルモン治療まで終わったとしても、このどちらでもないタイプが存在していると、トリプルネガティブというタイプで再発転移するのでしょうか?
お忙しいところ申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
癌とは単一の(癌)細胞のクローンです。
癌細胞とは正常細胞が遺伝子変異したものです。
概念として簡略化すると
正常細胞(ER陽性 HER2陰性)→「遺伝子変異によりER感受性を失う」→癌
細胞(ER陰性 HER2陰性):所謂「トリプルネガティブ」① →更に「遺伝子
変異によりHER2感受性を獲得」→癌細胞(ER陰性 HER2陽性):所謂
「ハーツータイプ」③
→「遺伝子変異によりHER2感受性を獲得」
→癌細胞(ER陽性 HER2陽性):所謂「トリプルポジティブ」②
★質問者は上記②だということです。
「まず、HER2タイプのがん細胞を叩き、次にホルモンタイプのがん細胞を叩くということでしょうか?」
→違います。
「がん細胞というものがよく理解できていなくて、1つのがん細胞にHER2タイプとホルモンタイプが混在していて、どちらかで叩くとこが出来れば、一緒に死滅出来るのでは・・・と思っていたのですが、そのようなことはないのでしょうか?」
→間違いではありません。
でも、せっかく「両方が効く」のだから「両方で治療しましょう」ということです。
「また、ホルモン治療まで終わったとしても、このどちらでもないタイプが存在していると、トリプルネガティブというタイプで再発転移するのでしょうか?」
→考え方として…
治療は永遠に効くわけではないのです。「耐性」ができてしまうと「ホルモン感受性陽性の癌細胞だけどホルモン療法が効かない」状況もあるのです。(トリプルネガティブが混じっていてそれが再発するわけではないのです)
質問者様から 【質問2 】
サブタイプについて
性別:女性
年齢:50歳
病名:乳がん
症状:
田澤先生こんにちは。
先日はお忙しい中、わかりやすい回答をありがとうございました。
また質問なのですが、ホルモン剤はがん細胞増殖のえさを絶って、じわじわ死滅させるというイメージを持っています。
(抗がん剤のように、がん細胞を死滅させることも出来るのかもしれませんが、時間がかかるというイメージです)
抗がん剤とパーセプチン終了後、ホルモン治療をしていても、がん細胞が生き延びていたら、ホルモン剤が効く前に、またHER2たんぱくを取り込んで、増殖してしまうような気がします。
なので、HER2タイプであれば、あまり意味がないように思うのですが・・・
(ルミナルAで効くのは理解できますが・・・)
再発率の上乗せがあるので、効くという証明(統計)はあるのだと思いますが、どのような仕組みで効くのでしょうか?
Ki値が低ければ、HER2タイプでもホルモン治療で充分増殖を抑え込めるのでしょうか?
ただ、死滅までは時間がかかるので、5年10年飲むということでしょうか?
HER2タイプの再発は2~3年が多いという認識ですが、ルミナルHER2タイプでもやはり10年くらいは気を付ける必要があり、例えば5~10年後に同じタイプで再発するということが、実際多くあるのでしょうか?
初歩的な質問で申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「抗がん剤とパーセプチン終了後、ホルモン治療をしていても、がん細胞が生き延びていたら、ホルモン剤が効く前に、またHER2たんぱくを取り込んで、増殖してしまうような気がします。」
→このように考えてみては?
抗HER2療法で生き残った癌細胞とは、(治療に耐性になっている:つまり抗HER2療法が効きにくくなっている)とすれば、ホルモン療法が効きそうだとは思いませんか??(少なくともその可能性がある以上、効きそうな治療は全てするのが原則なのです)