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トリプルネガティブ(ステージ3b)の術後抗がん剤と、肉芽腫性乳腺炎について。

[管理番号:4303]
性別:女性
年齢:73歳、44歳
はじめまして。
こちらのサイトを知って
から、Q&Aやコラムを拝見することが日課になりました。
先生のお話にいつも助けられています。
母(73歳)と、娘の私(44歳)について質問させてください。
■母について
昨年9月半ばに左胸の全摘手術をしました。
術後の病理検査の結果は
以下の通りです。
ステージ3b
トリプルネガティブ
T4b、N2(レベル1に2
個、レベル2に2個)
硬癌
腫瘍径:3cm
核グレード3
Ki67:90%
リンパ管および血管侵襲あり
(程度は未確認ですが、皮膚に癒着しており、かなり赤みも帯びていたので軽くはないと思います。)
紙面では頂いておらず口頭での説明をメモしたため、誤りがありましたら申し訳ございません。
11月半ばより化学療法開始、先週、ECの4回目が終わりました。
今月半ばより3週間毎のドセタキセルを4回、その後、放射線を25回行う予定です。
お伺いしたいのは以下の4点です。
1.ドセタキセルの選択について
こちらのQ&AでE1199試験について知り、トリプルネガティブへは1wのパクリタキセルが効果が高いことを知りました。
しかし、主治医からは、
・3wのドセタキセルでも効果はほぼ変わらない
・毎週の通院が患者の負担になりかねない。
(病院が常に混んでおり、受付から点滴終了まで4~5時間かかります。)
・毎週だと化学療法室の混んでしまうため、緊急度の高い患者さんであっても予約が取りづらくなる可能性がある。
という理由で、3wドセタキセルを提案されました。
母も毎週の通院は苦痛とのことでしたので3wドセタキセルになりましたが、本当にトリプルネガティブに対しても効果は大差ないのでしょうか?
2. 根治の可能性について
ステージ、グレード、ki値が揃って高いのですが、先生が診られた患者さまの中に、同じような状況でも再発なく過ごされている方はどれくらいいらっしゃいますか?
3. 術後の抗がん剤について 
術前抗がん剤の場合、薬が効かずかえって癌が進行することがあるようですが、術後の抗がん剤でも薬が合わず、かえって再発しやすくなることはあるのでしょうか?
4. 手術後の咳と肩の痛みの軽減について
母は手術直前まで、咳と右肩の激痛を訴えておりましたが、手術の直後より咳は軽減され、今は殆ど出ていません。
右肩の痛みも、初回のEC療法の直後よりほぼ無くなっています。
術前検査で遠隔転位はなかったため原因は不明ですが、手術や抗がん剤が、癌以外の病状を改善することはあるのでしょうか?
■私について
1週間前(排卵日直後)より、突然、右胸が痛み出しました。
ほんの少し腫れていて、
触ると柔らかく大きなしこり?段差?のようなものがありました。
乳輪から3cmほど右下に離れた場所で、突然出来た感じです。
コラムやQ&Aを拝見し、
肉芽腫性乳腺炎の可能性が高いと考えています。
この場合、病院の受診は生理後の方が良いのでしょうか?
それとも急いだほうがよいでしょうか?
なお、右胸の右上には3年前より繊維線種があり、
昨年9月の検診では9mm程度でした。
1年以上大きさは変わっていません。
その時点で他のしこりは見つかっておりません。
たくさん質問してしまい、申し訳ありません。
お忙しい中、大変恐縮です、ご回答いただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「本当にトリプルネガティブに対しても効果は大差ないのでしょうか?」
⇒それ程ありません。
「同じような状況でも再発なく過ごされている方はどれくらいいらっしゃいますか?」
⇒感覚的には「半々」よりは多いです。
「術後の抗がん剤でも薬が合わず、かえって再発しやすくなることはあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 術前抗がん剤で大きくなるのは「効かないから」腫瘍が大きくなったということです。
 つまり、(抗癌剤を使って大きくなったというのではなく)「何もせずに、その期間置いておいたら、自然に大きくなるのと同じ」なのです。
「手術や抗がん剤が、癌以外の病状を改善することはあるのでしょうか?」
⇒ありません。
 ただ、「抗ガン剤の副作用を抑えるための全投薬(ステロイド)」の効果は多少あるかもしれません。
「この場合、病院の受診は生理後の方が良いのでしょうか?」
⇒全く無関係です。
 ○肉芽腫性乳腺炎を疑うには根拠が薄弱なように思います。
  寧ろ単純に「月経に伴うホルモンの刺激による症状」ではないでしょうか?
 ○少なくとも、「肉芽腫性乳腺炎」の診断ができる乳腺外科医は殆どいないことに、気をつけてください。