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ステージ1の乳癌の治療法について

[管理番号:766]
性別:女性
年齢:73歳
田澤先生よろしくお願いします。
母が乳癌で、1・5センチの腫瘍が見つかりました。
先日、乳房温存術で手術し、ほかに転移もなかったのですが、その後の検査で、
ホルモン受容体有り、ER90% P&R60%
k-67、65%
悪性度、1
切除断層、-
脈管侵度、+
HER2タンパクは検査結果待ち
このような結果が出ました。
母としては抗がん剤治療をすることにとても不安を抱いており、
治療方針が出ていない今、日々鬱々とすごしております。
つきましては、
①上記のような検査結果の場合、抗がん剤治療は必要なのか。
②抗がん剤治療をする場合の副作用として、脱毛や嘔吐は必ずあるものなのでしょうか。
吐き気や倦怠感は相当つらいものなのでしょうか。
③抗がん剤の治療期間はどのくらいで、副作用は治療期間中ずっとおこるものなのか。
④ハクトウスギという漢方が癌細胞にきくということを本で読んだのですが、
それを癌再発予防として使うという考えはどうなのか。
漢方薬として処方してもらえるものなのでしょうか。
を教えて頂きたいのです。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1c(15mm), pN0, luminal Bですね。

回答

「上記のような検査結果の場合、抗がん剤治療は必要なのか」
⇒必要ありません。
 質問者(のお母さん)の場合には「ホルモン療法単独」で再発率は10%となります。
 ここで化学療法を追加しても、その「上乗せ効果」は『僅か1.6%』にすぎません。
 ○しかも、「70歳以上の術後補助療法としての化学療法」の有効性を示すデータは無いのです。
 つまり、70歳以上では「上乗せ効果が余程大きく無い限りは」化学療法は、するべきではないのです。
 
「抗がん剤治療をする場合の副作用として、脱毛や嘔吐は必ずあるものなのでしょうか」
⇒(術後に行う抗がん剤の種類は限られています)
 その中で「脱毛の無い」抗がん剤はCMF位です。
 一般に行われる『TC(ドセタキセル、エンドキサン)』や『EC(ファルモルビシン、エンドキサン)⇒DTX(ドセタキセル)』では脱毛は必発です。
 ♯CMF(サイクロフォスファマイド、メソトレキセート、5Fu)は少し古いレジメンですが、今でも時々使われます。
 嘔吐は「アンスラサイクリン系」が最も強いのですが、「アプレピタント」など制吐剤の登場で、かつてのイメージとは程遠いほど「嘔吐」する人は激減しています。
 
「抗がん剤の治療期間はどのくらい」
⇒TCは3カ月(3週間に1回の点滴を計4回)
 EC⇒DTXは6ヵ月(3週間に1回の点滴を計8回)です。
 
「副作用は治療期間中ずっとおこるものなのか」
⇒3週間に1回の点滴で「最初の1週間から10日間」に副作用はありますが、その後の「10日~2週間」は副作用無でいられます。
 
                  
「ハクトウスギという漢方が癌細胞にきくということを本で読んだのですが、それを癌再発予防として使うという考えはどうなのか」
⇒少なくとも乳癌では「有効性は証明されていません」
 私はコメントする立場にないかもしれませんが(漢方に不案内)お勧めできません。
 
○質問内容が「化学療法を前提」となっていますが、「化学療法は必要無い」と思います。