[管理番号:1613]
性別:女性
年齢:68歳
母の事です。2つの病院で検査しました。
最初は総合病院の外科で、マンモと分泌物細胞検査をした結果、炎症性乳がんの可能性があり、とするとステージ4の状態とのことでした。
家が遠かったので別の病院の乳腺外科を紹介して頂き、そこではマンモ、針生検、PET検査をしました。
結果は、恐らく早期のガンであるようだが、臓器転移はみられない、しかししこりは5センチほどあり恐らくリンパ転移はあるので、全摘手術時に確認するとの事です。
本当に早期であれば術後の抗がん剤もしくはホルモン療法などの治療が不要な場合もあるとの事でした。
それ程悪さをしないガンのようではあるとも仰ってましたが、最初は炎症性乳がん可能性と言われてたので大変ショックでした。
少しは安心してもいいということなのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「炎症性乳癌」を知らない(見た事が無い?)医師が多い(この場合は一般外科医ですね)ことに驚かされます。
そもそも「炎症性乳癌」は『T4dの範疇であり、StageⅢC』となります。「ステージ4ではありません」
♯ステージ4とは「遠隔転移が有る場合」なのです。
回答
「最初は炎症性乳がん可能性と言われてたので大変ショックでした。少しは安心して
もいいということなのでしょうか?」
⇒最初の病院の診断が間違いなのだと思います。
「本当に早期であれば術後の抗がん剤もしくはホルモン療法などの治療が不要な場
合もあるとの事」
⇒この表現は「非浸潤癌である可能性」についてのコメントです。
○どうやら、針生検の結果が「非浸潤癌」のようです。
その場合には「リンパ節転移は無い」筈です。
「恐らくリンパ転移はあるので、全摘手術時に確認する」
⇒これは「センチネルリンパ節生検」に対するコメントだと推測します。
◎全体像を私が「再構成」すると…
(最初の病院の「炎症性乳癌」という、いい加減な診断は無視するとして)
腫瘤径は5cmであり、(画像上)リンパ節腫大もあるが、「針生検では非浸潤癌」である。
手術時に「センチネルリンパ節生検を施行」し、「腋窩郭清の省略する」可能性があります。
もしも「病変全体が非浸潤癌と診断された」場合には「根治」となるので、「一切
の術後補助療法(ホルモン療法も抗がん剤も)は不要」となります。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
お返事ありがとうございます。
同じ乳がんに変わりはないですが少し安心しました。
しつこいようで申し訳ないのですが、先日お伝えしたように、「針生検の結果だけでいうと恐らく早期ガンのよう」でも、「シコリが5センチ程と大きめだし、リンパは腫れてるようで転移は考えられるので手術時に確認する」ということは、実際に全摘してみたら進行したタチの悪い乳がんだったということもよくあり得る事なのでしょうか?
いろいろとすみません。
手術が11月下旬になる予定ですが、他にも患者さんが多いようで、まだ確実な日程が決まっておらず、その間に悪くなっていかないか勝手に心配してしまっています。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
『「針生検の結果だけでいうと恐らく早期ガンのよう」』
⇒前回も回答しましたが、この部分のコメントの解釈が重要なところです。
常識的に言って「針生検の結果で早期癌」という表現は「非浸潤癌という(針生検での)病理結果」しか想像することはできません。
♯もしも「浸潤癌という結果」だった場合、(その結果を持ってして)「早期ガンのよう」と表現する事は不可能だからです。
『「シコリが5センチ程と大きめだし、リンパは腫れてるようで転移は考えられるので手術時に確認する」』
⇒この解釈は「針生検で非浸潤癌と出てはいるが、(腫瘍径が大きいと)浸潤している部分がどこかにある可能性は比較的高く、(画像上)リンパ節も腫れているので転移の可能性はある」というものです。
「手術時に確認する=センチネルリンパ節生検をする」ことは当然のことです。
「実際に全摘してみたら進行したタチの悪い乳がんだったということもよくあり得る事なのでしょうか?」
⇒「良くある」わけではありませんが、(針生検によるサンプリングでは非浸潤癌でしたが、実際には)「最大浸潤径が大きく」「リンパ節転移も陽性」ということも「ありえる」ことです。
○最も重要なことは「腫瘍径が大きい」ことと「画像上リンパ節が腫大している」からと言って、「術前針生検で非浸潤癌である」ならば、「いきなりの腋窩郭清」を行うべきではありません。
必ず「センチネルリンパ節生検」で確認した上で(必要ならば)行うべきなのです。