乳がんは早期発見、早期治療を目指しましょう。乳がん手術は江戸川病院|乳がんプラザ



[管理番号:56]
性別:女性
年齢:39歳
 
現在、3歳の子どもがおり、授乳も夜だけだったりと回数は少なく、量もほとんど出ていない状況です。
半年前の検診、エコーで9ミリと言われ、再検をせずに半年後、専門医のエコーで20ミリに大きくなっていると言われました。
細い針で細胞を取り、1週間後に良性、悪性かを判断し、今後の治療を検討していくことになりました。
半年で2倍なっている。
どちらにしても摘出をした方がよいとのことでした。
エコーの中で、「リンパは腫れていない。」「血流がよい」とのことでした。
良性、悪性のどちらの可能性が高いでしょうか?
また、診断後の手術の流れはどのようになっていくのでしょうか?
あまり情報がない中で、このような質問をしてしまい申し訳ありません。
 

A.回答

こんにちは。田澤です。
御心配なこととお察しします。
※おっしゃるように、限られた情報での判断であるので、あくまで参考としてご覧ください。
それでは回答いたします。

回答

 乳癌の可能性の方が高そうです。
※ただ、9mm⇒20mmの増大と、カラードップラーでの豊富な血流だけでは正確な判断はできません。
 
 その次に可能性が高いのは「葉状腫瘍」でしょう。 葉状腫瘍についてはトップページの「葉状腫瘍」を参照してください。
 葉状腫瘍であれば、「半年間で9mm⇒20mm」に増大してもおかしくはありません。
 線維腺腫に比べれば数は少ないのですが、決して稀ではありません。(線維腺腫では、なさそうです。増大速度が速すぎると思います。)
 

乳癌 > 葉状腫瘍 と考えている理由

 20mmの大きさであれば、乳癌と葉状腫瘍はエコー像が全く異なっています。(乳腺専門医に区別がつかない事はありえません)
 その医師は、「どちらか検討をつけている=どちらかを疑っている」はずです。
その上で、
①腋窩リンパ節を検査している 
②針生検ではなく、細胞診をしている
この2つに私は注目しました。
 
①腋窩リンパ節を検査している点
 ⇒乳癌を疑っているから行っているのではないか?と考えました。
 葉状腫瘍では(例え悪性葉状腫瘍であっても)リンパ節転移はありません。
 私自身のやり方として、「乳癌を疑えば、腋窩リンパ節腫脹を調べる」が「葉状腫瘍を疑った場合には、腋窩リンパ節は調べません」
 
②針生検ではなく、細胞診をしている点
 ⇒葉状腫瘍を疑った場合には、細胞診は無意味です。 細胞診では線維腺腫と葉状腫瘍の区別は全くつきません。(針生検でないと全く情報は得られません)
 乳癌は細胞診でも解ります。(但し、本来乳癌の確定診断にも針生検が使われるべきですが)
 
 つまり、「担当医が行った検査」から「担当医が何を疑っているのか?」を推測しての結果です。
※ただ、その医師が「何を疑おうが、必ず腋窩リンパ節の腫脹はチェックする」とか、「いきなり針生検はせずに、まずは必ず細胞診を行う」というポリシーを持っているだけで深い意味は無いのかもしれません。
 

診断後の手術の流れ

 「半年間で9mm⇒20mm」とか、「カラードップラーで血流が豊富」だけでは、とうてい癌とは断定できません。
 重要なことは、「乳癌」か「葉状腫瘍」か必ず確定診断をしなくてはならない。という事です。
 乳癌と葉状腫瘍では「摘出の方法=術式」が全く異なります。
・乳癌の場合
 部分切除(温存手術)の場合には切除マージン(腫瘍から安全に離す長さ)を最低2cm以上とり切除します。
 腋窩リンパ節は、(画像上腫張が無くても)最低限センチネルリンパ節生検は必要です。
 
・葉状腫瘍の場合
 (初発であり、20mmでは、悪性葉状腫瘍の可能性は極めて低いとは思いますが)その悪性度によって切除マージンが異なります。
 良性であれば、マージンは数ミリでもOKです。露出しないように気をつけて切除します。
 境界悪性であれば、1cm以上のマージンをつけます。
※万が一悪性葉状腫瘍であった場合には、乳がんに準ずるような大きめの切除が必要となり、乳房全摘出も検討が必要となります。
ただし、葉状腫瘍では(例え悪性葉状腫瘍であったとしても)腋窩リンパ節に触る必要は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2 検査後】

お世話になります。
細胞診の検査結果が出ましたが、「あまりよくない」とのことで、組織診を1週間後にすることになりました。
検査が出るまで2週間とのことです。
あと、MRIの検査も必要かと思うが、卒乳直後のため、支障があるようなお話でした。
 

  1. 半年で増大したしこりですので、この結果が出るまでの3週間。さらにOP日程などの期間に大きくなる、転移などの可能性はないのか?
  2. MRI検査も必要かと言われましたが、どのような支障があるのか?
  3. 細胞診の結果でも確定診断出来ない状態とは、どのような状態なのか?
  4. 診断を待つまでの期間、気持ちが落ち着きません。そのようなときに、どのような生活をしたらよいか助言がいただきたいです。

エコー上では形はいびつではなく、楕円形でしたが、組織診まで行くということは、それなりの覚悟をしていたほうがいいかと思いと思いました。
 

田澤先生から 【回答2】

 田澤です。こんにちは。
 「半年間で9mm⇒20mmに増大」との事で細胞診の結果待ちの状態でのご相談だったと思います。
 
 メール内容を読んでの印象では、「更に組織診まで1週間待たなくてはならない」ということが「どんどん治療が遅れる事への不安」につながっているようです。
 是非とも細胞診の結果をお話した、その日のうちに「組織診」もするべきだった。と私は思います。
 そもそも「最初から細胞診ではなく、組織診をしていたら無駄な時間は随分省けた」ことも残念です。
 
◎まずは、質問内容1~4に一つずつ回答します。

回答

1.半年で増大したしこりですので、この結果が出るまでの3週間。さらにOP日程などの期間に大きくなる、転移などの可能性はないのか?
⇒組織診結果から1カ月以内の手術であれば大丈夫です。新たな転移を起こすことはありません。
 現在が受診後からおよそ1週間後だとすると、3週間後は(受診から)1カ月後となりますね。
 それから1カ月以内であれば、(受診からトータルで)2カ月以内となります。●受診から2カ月以内に手術をすれば問題はありません。
 ※乳癌は通常「受診後3カ月以内であれば問題無」と思っていますが、「半年で9mm⇒20mm」なので「受診後2カ月以内」とした方が安全です。
 
  
2.MRI検査も必要かと言われましたが、どのような支障があるのか?
⇒授乳中の乳腺は血流も豊富なため、造影でMRIを撮影すると、腫瘍と周囲の正常乳腺の血流差が近くなってしまい結果として「腫瘍の範囲が捉えずらい」可能性があります。
 実際にどの程度の支障がでるのかは不明ですが、「授乳中の乳腺では、マンモグラフィーで腫瘍が捉えずらい」と同様に幾らかは影響はでると思います。
 
3.細胞診の結果でも確定診断出来ない状態とは、どのような状態なのか?
⇒実際の「細胞診結果」を確認しなくては解りません。
「あまり良くない」という表現が、どうにも曖昧な表現であり、いろいろ考えられるからです。
※「細胞診の報告書」を実際に見れば、判明するのですが、以下に挙げるパターン1~3のどれかだと思います。

パターン1)採取した細胞量が少なくて確定できない場合
 この場合の「細胞診の報告書」には「乳がんが疑われるが、細胞量が不十分なため確定できず。組織診による確定診断が推奨される」のようなコメントとなります。
 ※ 細胞量が少なくなる原因には「腫瘍が硬く細胞が少ないタイプである場合」と「検査技術が未熟な場合」があります。
パターン2)腫瘍が大人しい(細胞異型が比較的弱い)場合(かなり早期の乳癌もしくは、乳がんに近い境界病変の場合)
 この場合の「細胞診の報告書」には「乳癌が疑われ細胞量も豊富であるが、細胞異型が弱いため癌とは確定できず。組織診による確定診断が推奨される」のようなコメントとなります。
パターン3)採取した細胞が乾燥しているなど検体処理が悪いため顕微鏡での診断が困難な場合
 この場合の「細胞診の報告書」には「乳癌が疑われるが採取された細胞が乾燥しているため癌とは確定できず。再検査もしくは組織診などが推奨される」のようなコメントとなります。

 いずれ「細胞診の結果がどうであれ」治療の前には組織診が必要です。
 
◎そもそも「針生検による組織診断」をせずに「細胞診での確定診断」だけで、乳癌の治療に進む事は危険です。万が一の「誤診」に繋がるからです。
 ※細胞診での誤診(1%程度と言われています)で、(組織診で確認しないまま)乳がん治療をした場合「医療者側に大きな責任」となります。(病院は裁判で間違いなく負けます)
 
4.診断を待つまでの期間、気持ちが落ち着きません。そのようなときに、どのような生活をしたらよいか?
⇒治療について前向きに考えることです。(勿論、乳癌と確定した訳ではありませんが)
(乳癌と仮定すると)
 「20mmの大きさ」「リンパ節が腫れていない(エコー所見)」からすると、間違い無く早期です。厳密には20mmまではⅠ期、21mm以上はⅡA期となりますが、いずれ早期です。
 5年生存率は95%以上あり、術後療法が発達した現在では「根治する可能性の方が圧倒的に高い」のです。
 
 また、乳癌の治療は「他の癌」と比較すると圧倒的に楽です。
 
●ネットで紹介されている「闘病記」のような再発患者さんは、実診療では「圧倒的少数派」であることを理解してください。
 実際に2000人以上執刀し、術後も診療している私の言葉を信じてください。
 

参考にしてください(私見)

 質問の回答とは離れますが、専門家の立場から私見を述べます。
 私が気になっているのは、「その病院の検査の遅さ」です。
 初診時に「癌を疑っている」印象を与え、実際に患者さんに「覚悟と不安」を促している割に「検査が遅い」ことが、私には気になります。
 「検査は最短」であるべきであり、そのようにすれば今回のように「いたずらに、不安な日々を長引かせる」結果にはならなかったと思います。
 
 私であれば、初診時に「針生検」を行い1週間後には「治療相談(手術日程など)」を行います。(病理診断は施設の事情にもよりますが、「至急での依頼」とすれば1週間で判明することが多い)
※手術日程を決めてから、手術日までの1~2週間の間に手術に必要な検査(CTやMRI、採血、心電図など)は行えば無駄な時間は省けます。
 (最初に細胞診をしたり、更に針生検を1週間後の予定としたりと)3週間も無駄にしている事が私には気になります。
 
 ●「乳癌は急ぐ必要はない。との考え」からだとすれば、「患者さんの不安な気持ちを最小限にする」事への配慮が少々足りないと思います。
 
◎医療機関を「検査の遅さ」だけで判断する訳ではありませんが、「そのまま、その病院で治療すべきか」をご自分でもう一度考えてみてもいいとは思います。





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