[管理番号:50]
性別:女性
年齢:24歳
半年前まで完母で息子を育ててました。(半年前に断乳をしました)
両乳から、黄色白色っぽい分泌物があります。
(乳頭を摘むと)また、左胸の上あたりが痛く気になっていたので、乳がん専門の病院に行きました。
ただ二人目を授かりたく、妊娠不明の状態ですので、エコーのみの診断です。
痛みは全然触れず。
それよりも左の脇あたりに1センチ未満のしこりが気になると言われ、休みの日にも関わらず、組織診の予約をぶち込んでいただきました…
これは悪性だから、急いでこのような検査をするのでしょうか…?
A.回答
こんにちは。田澤です。
御心配のことだと思います。
それでは早速、回答します。
回答
乳癌の可能性は高く無いと思います。
●今回も、乳癌の可能性が高いから組織診(針生検の事だと思いますが…)の予定を組んだわけでは無いと思います。
※組織診といっても「外科的生検=局麻下の手術」とは異なり針生検であれば、確実な診断のためには躊躇すべきではありません。
(悪性を強く疑ったからでは無く)超音波で「良性と断言できない」所見があったため、責任をもって診断へ進んだのだと思います。
「癌の可能性も完全には否定できないけど、多分大丈夫でしょう。何であるかは解らないけれど、まあ経過を見ましょう。」のような、曖昧で無責任な姿勢よりも「責任を持って、きちんと診断をする」という姿勢が「命を預かる医師としての」正しいスタンスであると私は思います。
◎私であれば、同様のケースではその日のうちに針生検を行ってしまいます。(何度も受診していただくのは申し訳ないと思うからです)
参考にしてください
その「医師が気にしていた1cm未満のしこり」を、私が何故「癌の可能性が高く無い」と言っているかというと、根拠は年齢です。
「トップページ」の「乳癌の現状」を参照してもらいたいのですが、20代前半で乳がんになる方は非常に少なく乳癌全体の実に1000分の1以下です。
勿論、可能性がゼロではありませんので、「形が気になるから、万が一を考えて」針生検をするということだと思います。
頻度からすれば、乳腺症>>線維腺腫 です。
※ 「線維腺腫」は超音波像が比較的「クリッ」としているので良性と判断できるのですが、「乳腺症」は線維化の強い部分が「ボソボソッ」と不明瞭となり、画像上「癌」と区別がしずらい事も稀ではありません。
◎針生検をすれば、「確定診断」がつくのでお互い(患者さん側も、我々医師側も)にとって安心なのです。
※ちなみに、左右にある黄色の乳頭分泌は全く異常はありません。授乳後暫くしてからの正常な状態です。
乳頭分泌は「片側性」で「単孔性」(1つの孔から分泌)のものには注意が必要です。 「トップページ」の「良性疾患」の乳頭異常分泌を参照してください。