[管理番号:544]
性別:女性
年齢:61歳
こんにちは。初めてご質問させていただきます。
母のことなのですが、アドバイスを頂けると助かります。
今年1月末の乳ガン検診(マンモ)は異常なしでした。
5月末になり、しこりを見つけ受診した結果、おそらく癌とのことで、後日、針生検を行いました。
先日、検査結果を聞きに言ったのですが、漠然としたことしか言われなかったようで、どうしたら良いのかが分かりません。
数値等の説明も無いため、この状況で判断が難しいとは思いますが、今までの結果を書かせて頂きます。
今までにした検査→マンモ・エコー・胸部CT・骨シンチ(結果 待ち)・腫瘍マーカー・針生検
今までの診断→腫瘍の数は3つ(大きいもので2センチ弱)
癌の進行が早い癌である。
腫瘍マーカーの数値が良くないものがあるので術前抗がん剤治療をする。
抗がん剤の効果が出なければ手術に切り替える。
次回の診察・検査は10日以上後になります。
1月末の検査で異常なしだったものが、突然癌だと言われ、進行が早いと言われているのに診察・検査のペースも早くなく、こちらとしてはもやもやとしてしまいます。
今通院しているのは大学病院になります。
私としては親身になっていただける病院で、治療をしてもらいたいので、セカンドオピニオンを考えています。
もし、先生に診ていただく場合に何も検査資料のない状態でもご相談にのってい ただけますか?
ご回答頂けますと嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール内容からすると「かなり問題のある診療」と言えます。
回答
「今年1月末の乳ガン検診(マンモ)は異常なしでした。5月末になり、しこりを見つけ受診」
⇒これは、(進行が速い訳ではなく)たんに、マンモグラフィーでは「見落とされた=解りにくかった)だけだと思います。
「腫瘍マーカーの数値が良くないものがあるので術前抗がん剤治療をする。」
⇒とても信じられない診療です。その大学病院の医師は無知もいいところ
乳癌の初期治療の段階で、「腫瘍マーカーが上昇」することはありません。
もし本当に高値(おそらく、ぎりぎり高値とかその程度の筈)ならば、それは「その人にとっての正常値であった」病状を反映したものではありません。
(もし喫煙者ならばCEAは高くて当然)
大学病院の若い医師には「その程度の経験」も無いのでしょう。
更にそもそも「術前抗がん剤の適応」ではありません。
「腫瘍が3個あるのであれば」抗がん剤を術前に使う意味はありません。
「小さくして温存手術をする」という術前抗がん剤の適応からは全く外れています。
「今通院しているのは大学病院になります。」
⇒どこの大学病院なのでしょうか?
「腫瘍マーカーが高いから術前化学療法」など、あきれてしまいます。今まで想像もしていませんでした。
そもそも私は「術前に腫瘍マーカーは測定していません」
腫瘍マーカーの意味が解っていないのでしょう。
私は相当な症例経験をもっているので、「乳癌の初期治療の段階で腫瘍マーカーの意味の無さ」については確信があります。
♯腫瘍マーカーが意味を持つのは、「術後経過観察の際の、再発の指標。もしくは再発治療中の効果判定」のみです。
「もし、先生に診ていただく場合に何も検査資料のない状態でもご相談にのっていただけますか?」
⇒是非、私に診させてください。
「診断治療のスピード感の無さ」や「説明不足」という通常の大学病院の欠点に加えて、「術前化学療法の適応の誤り」もあり、とても『そこでの診療をお勧めできる状況ではありません』
私に正しい治療をさせてもらえれば幸いです。
「その大学病院での資料」など全く不要です。
針生検のサブタイプの説明もないような病院の紹介状は不要です。
私が超音波をすれば、状況はすぐ解ります。針生検の結果も後でこちらから取り寄せれば大丈夫です。(もしくは、私が、その日のうちにマンモトーム生検することもできます)
♯胸部CTと骨シンチ(どちらも大した所見は無い筈ですが)については、私から「情報提供の手紙」を出せば、もらえるので心配ありません。
◎このQandAをしていて、いろいろな「問題のある診療」が見えてきて(本当に)驚いていますが、今回の「腫瘍マーカーで術前抗がん剤」という発想には心底驚くというか「あきれるを通り越して、恐ろしく」なります。
皆さんは「大学病院は安心」と思っているかもしれませんが、「群○大学病院の例」を見るまでもなく」私から見れば診療は「とても稚拙」です。
質問者様から 【質問2】
こんにちは。
先日はお忙しい中、母の診察をして頂きありがとうございました。
進行が早いわけではないとのお話をして頂き、母は安心して帰ってきました。
まだ検査結果を聞くことが出来ないのですが、診察をして頂いたことで家族も気分が前より楽になりました。ありがとうございます。
手術について一点お聞きしたいのですが、母は喘息持ちです。日常生活に困るほどではなく軽い症状の部類に入ると思います。あと、麻酔が他の方より効きやすい体質のようです。
このような喘息持ちの患者さんは手術をするのが大変ということはありますか?
母が通ってる病院で、喘息持ちの手術をしたがる医者はあまり居ないかもと言われたそうなのです。
今まで手術などの病気にかかることが無かった家族なので、色々と気になってしまいます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
先日は遅い時間に御両親ともに「遠方」よりご苦労様でした。
安心していただけて幸いでした。
御理解いただけて良かったです。
回答
「喘息持ちの患者さんは手術をするのが大変ということはありますか?」
⇒そんな事はありません。
「挿管や抜管時など」通常よりは麻酔科医の方で注意が必要という程度です。(麻酔中は気道が確保されているので安心です)
「母が通ってる病院で、喘息持ちの手術をしたがる医者はあまり居ないかもと言われた」
⇒(医師として)無責任な発言のように感じます。
上記のように、「あるポイントだけ」注意すれば全く問題はありません。
○乳癌の手術そのものは全く影響はありません。
質問者様から 【質問3】
こんにちは。
またご相談させて頂いても良いでしょうか?
母のガンですがHER2 3+ (Ki67 60%)のガンとのことでした。
こちらのタイプは抗がん剤+ハーセプチンが効きやすいとのことで術前抗がん剤をしてから手術とのスケジュールを提案されています。
抗がん剤治療はすぐ始まる日程なのですが、母はこのまま治療を進めるのか迷いが出ているようです。
抗がん剤は術前・術後ともにメリットデメリットがあることもわかります。
抗がん剤は個人差があるとしても、副作用も出ると思いますし、母には納得してから治療をして欲しいと思っています。
HER2タイプは進行が他より早いとのことですが、セカンドオピニオンを含め、今後の治療について考える時間を取ることは良くないでしょうか?
どの病院でどのような治療をするか、色々と考えていると迷ってしまい、正直何が良いのか分からなくなってきました。
度々ご相談させて頂き、頼りにしてしまってすみません。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
術前抗がん剤の提案をされているようですが、「腫瘍を小さくして温存」という目的で無い限り「術前に抗がん剤をする理由にはなっていません」
HER2タイプは「抗がん剤の奏効率は高い」ですが、それを「再発予防として行う」のであれば、「術後でも同じ」だからです。
「HER2タイプは進行が他より早い」:単に言葉に踊らされているだけで、「目に見えるような差はありません」
質問者様から 【質問4 乳ガンの進行】
こんにちは。
ご回答ありがとうございます。
母は出来れば温存をしたいようで術前抗がん剤をすることにしました。
血液検査の結果、自覚していなかったのですがB型肝炎だということがわかりました。
おそらく学校の予防接種か輸血が原因だろうとのことですが、本人に全く症状がなかったので驚いています。
もう一度、血液検査をしてから抗がん剤治療となるようですが、先生はB型肝炎の方の抗がん剤治療をしたことはありますか?
肝炎を発症させないように対策をとるようなのですが。
先生にお世話になりたい気持ちがあるのですが、通院距離があるため、このようなご質問ばかりしてしまい申し訳ございま せん。
毎回お答え頂き本当に感謝しています。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
回答
「先生はB型肝炎の方の抗がん剤治療をしたことはありますか?」「肝炎を発症させないように対策をとるようなのですが」
⇒勿論あります。
定期的に採血でHBV-DNA定量を行いながら、核酸アナログを投与します。