[管理番号:5898]
性別:女性
年齢:39歳
こんばんわ、田澤先生。
以前もメールさせていただいていて、今日田澤先生に全摘手術をお願いしたい旨の秘書メールをさせていただきました。
よろしくお願いします。
10月中旬から昨日までなかなか結果がわからず大変でした。
エコー、マンモ、MRIで
はしこりもなく、エコーでは病変もなかなかわからず、非浸潤の疑いでしたが、やはり病変が広範囲だったようで、結局、外科生検で浸潤癌と診断されました。
外科生検では、マンモで石灰化をうつし何枚も写真とり摘出場所をきめていました。
9センチとって、それを12くらいに分割して調べたようです。
病理結果です。
組織型、乳管癌、乳頭性管癌
右乳腺部切除標本。
割面a-iに病変が認め
られます。
乳管内に腫瘍細胞(NA2、MC2、
NG2)が櫛状構造、乳頭状構造、コメドパターンを呈して、あるいは充実性に増殖進展
するductal
carcinomaの像です。
#3、8、10に間質
浸潤像が認められます。
#8の浸潤巣が最
大であり、5×3㎜です。
#10に脂肪織浸潤が認められます。
脈管侵襲は不明瞭です。
乳頭側断端にductalspreadを認めます。
#4、6、8、9において側方断端や胸壁側剥
離面に腫瘍の乳管内進展が近接しており、
断片陽性の可能性が高いと判断します。
ER.乳管内病変の70パーセント程度、浸潤部の40パーセント程度に、弱い染色性が認められます。
よってER陽性と判断します。
pgR.腫瘍細胞の大部分に染色性が認められません。
よってpgR陰性と判断します
ki-67は20から30パーセント程度です。
ハーツーは検査中です。
質問
1、いまのところ三ヶ所に浸潤がみつかったようですが、これは同一乳管で、同じ種類の癌ですか?ルミナールBですか?
三ヶ所に浸潤ありますが、予後や薬物療法は最大浸潤である5㎜で考えていいのですか?
2、9センチもとって、まだ断片陽性ということは、まだまだ浸潤部分がある可能性もありますか?
最大浸潤が5㎜をこえることもありますか?
3、ERが40パーセント程度に弱い染色、
pgR.陰性というのは、いちよう効くが少ししか効果ないということですか?
4、ki-67は高いほうにはいりますか?
名前忘れてしまいましたが、40万くらいの検査をしたほうがいいですか?
5、まだ胸に癌が残っているのが、こわいですが、将来遠隔転移がおこる確率や術後の薬物療法はどのようなものになりそうですか?
6、脈管侵襲は不明瞭とは、+ですか、-ですか?リンパについては書いてありませんでした。
7、エコーやMRIでは脇リンパへの転移はみられないようですが、それでも転移してる確率はどのくらいですか?
8、血性分泌はしぼるとあるのですが、これは断片陽性のせいですか?まだ最大病変があるのでしょうか?
心配で、いろいろ質問してしまい申し訳ございません。
一歳四歳の子供が心配でまだまだ長生きしたいです。
田澤先生、よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「1、いまのところ三ヶ所に浸潤がみつかったようですが、これは同一乳管で、同じ種類の癌ですか?」
⇒状況的に
「それ以外」を想定することはありません。
「ルミナールBですか?」
⇒「Ki67=20~30%」であれば、ルミナールAの可能性がたかいでしょう。
『今週のコラム101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)
本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。』をご参照ください。
「三ヶ所に浸潤ありますが、予後や薬物療法は最大浸潤である5㎜で考えていいのですか?」
⇒その通りです。
「2、9センチもとって、まだ断片陽性ということは、まだまだ浸潤部分がある可能性もありますか?」
⇒考え方としては…
「真逆」です。
「9センチ」取ったということは(病変の殆ど全てを切除しただけでなく)「間違いなく、病変の中心部分(最大病変)は切除されている」と考えるべきです。
「最大浸潤が5㎜をこえることもありますか?」
⇒それは「ほぼ」無いでしょう。
「3、ERが40パーセント程度に弱い染色、pgR.陰性というのは、いちよう効くが少ししか効果ないということですか?」
⇒普通に効きます。
「4、ki-67は高いほうにはいりますか?」
⇒是非『今週のコラム101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)
本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。』をご参照ください。
「名前忘れてしまいましたが、40万くらいの検査をしたほうがいいですか?」
⇒OncotypeDXですね?
そもそも「浸潤径5mmは抗癌剤自体の適応がない」と思います。(トリプルネガティブでもHER2タイプでも抗癌剤を行わない)
その意味では(OncotypeDXを行って)「ルミナールAなのかBなのかを調べる事自体、無意味」とも言えます。
「将来遠隔転移がおこる確率」
⇒5mmの浸潤癌がですか?
「遠隔転移の確率」を考える必要はありません。(5mmの浸潤癌の数字などありません)
「術後の薬物療法はどのようなものになりそうですか?」
⇒抗癌剤の適応はない(浸潤径5mmでは)ので、(AかBかを考えるまでもなく)
「抗癌剤は不要」です。
ホルモン療法の適応はありますが…
私自身は(子宮体癌のリスクとバランスさせると)「5mmではタモキシフェンはしなくもいいのでは?」という考え方となっています。
「6、脈管侵襲は不明瞭とは、+ですか、-ですか?リンパについては書いてありませんでした。」
⇒これは(純粋に)「国語の問題」ですね?
「不明瞭=明らかな侵襲はない=マイナス」となります。
「7、エコーやMRIでは脇リンパへの転移はみられないようですが、それでも転移してる確率はどのくらいですか?」
⇒確率的には…
ほぼ無いでしょう。
「8、血性分泌はしぼるとあるのですが、これは断片陽性のせいですか?まだ最大病変があるのでしょうか?」
⇒シンプルに…
「乳管全体を切除していない」わけですから…
残っている乳管内病変から分泌が続いているのでしょう。(分泌の原因と最大病変とは無関係です)
質問者様から 【質問2 不安です】
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生こんばんわ。
今日病院にいき、ハーツーの結果等を聞いてきました。
その際、いろいろ不安になってしまったので教えてください。
ハーツーはマイナスでした。
医者の話
今回の外科生検は、診断目的だから手術中に、この手術標本にあるみたいな黒い点々(血腫?石灰化?普通はないもの)がまだ上にあるのがみえたけど、とってないからそこにまだ最大病変があることもある。
と言ってました。
やっと非浸潤かと思ってたのが浸潤で、でも5㎜だし前向きに頑張ろうと思えてきてたのに、まだ最大があるのかと思うとガックリしてしまいました。
確かに長さは9センチもとってるけど、医者が言ってる縦の部分は3センチ弱だし、
黒い点々がまだ上にあったがとってないから、といわれると不安になってしまいました。
三ヶ所の浸潤も同一乳管の病変かは、わからないともいってました。
1、9×3くらいとっても、まだ上にあるみたいなのですが、1つの乳管内の大きさというのはそんなに大きいものですか?とりだした9×3がすべてが病変ではないのでしょうか?病理にはaからiに病変がみられ、
#3、8、10に浸潤がみられと書いてあり、
9×3のほとんどが病変なのかな~と素人目では思えてしまいます、
違うのでしょうか?
2、しこりは、まんも、エコーでわからずバコラは外れて、しかし、MRIは広範囲病変がみえる。
結果石灰化狙いの外科生検になったのですが、
私は血の分泌で受診はじめたのですが、こんなに病変が広いのは違う乳管にたまたま同時に癌ができたのですか?
3、医者はER40パーセント、pgRか陰性が気になるようです。
なんか2013年の乳がん学会の発表わみせてくれて、ER低発現乳がんは高発現にくらべて4倍も再発率が高いと書いてあると。
田澤先生のイメージではどうですか?
4、pgRが陰性だとルミナルBということですが、田澤先生はpgRの染色性があてにならないから、それは気にしてないということですか?私のいまのところわかってるがんは、よくグレード1でki-67
も一桁のかたみたいな大人しいタイプではないですよね?
普通くらいですか?
5、私の現在の情報でアジュバンドオンラインでの再発率を教えてください。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
質問者は当院でこれから手術されるわけだから、あまり現病院での話に「右往左往」しないようにした方がいいでしょう。
圧倒的に経験値が違うので、(そこの医師と)私の印象とはかけ離れていることは指摘しておきます。
★それと、重要なことがあります。
今回質問者は「血性分泌」と「石灰化」だけが所見で、その病院ではエコーで病変が定まらずにバコラでも外しているような病変なのです。
「再発を心配しなくてはいけないような癌」が、それほど診断に苦慮することは無いのです。
ここは常識的に考えましょう。
「診断が容易(乳腺外科医なら誰でも癌と診断できる)」⇒「再発予防はしっかりしなくてはならない」
逆に「診断が困難(なかなか癌の診断とならない)」⇒「再発リスクは殆ど無い」
良く考えてもらえば解るのですが、物事はシンプルなのです。
「9×3のほとんどが病変なのかな~と素人目では思えてしまいます、違うのでしょうか?」
⇒画像を見ていませんが…
メール内容からは
非浸潤癌が広範囲に拡がる中で、(その乳管内の病変が)「壊死して石灰化を起こしたり(石灰化の出現)」「崩れて出血したり(血性分泌の出現)しながら、ところどころで浸潤し始めた(数ミリ以下の小さな浸潤)という状況です。
その意味では「病変が広範囲(少なくとも石灰化を起こしている範囲は癌が乳管内を拡がっている範囲)と考えるべきです。
「こんなに病変が広いのは違う乳管にたまたま同時に癌ができたのですか?」
⇒偶然2箇所に乳癌が発生と考えるよりは
圧倒的確率で「上記のように」1つの癌が乳管内を広範囲に拡がったと考えるべきです。
この時点で(上記のような想像をすることなく)『三ヶ所の浸潤も同一乳管の病変かは、わからない』などと言っているようでは…(その医師は、自分の頭で考える習慣を持たなければいけません)
「3、医者はER40パーセント、pgRか陰性が気になるようです。」
「田澤先生のイメージではどうですか?」
⇒私は「全く」気になりません。(以上)
「4、pgRが陰性だとルミナルBということですが」
「田澤先生はpgRの染色性があてにならないから、それは気にしてないということですか?」
⇒これが誤りであることは実際に沢山の症例でOncotypeDXしていれば自ずと解ります。
PgRの染色は全く気にしていません。
「私のいまのところわかってるがんは、よくグレード1でki-67も一桁のかたみたいな大人しいタイプではないですよね?」「普通くらいですか?」
⇒そもそも「5mmの癌」で、そんなことを気にする必要は全くありません。(私には全く気になりません)
「5、私の現在の情報でアジュバンドオンラインでの再発率を教えてください。」
⇒5mmの癌で再発率は存在しません。
手術して必要があれば、その際に考えればいいことです。
質問者様から 【質問3 浸潤性乳管癌】
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生こんばんわ。
今日は、初診ありがとうございました。
あと、管理番号をいれていなかったようで、すみません。
今日の診療で聞けました。
先生にお会いできて
緊張してしまい、頭が整理できないので
お忙しいところ申し訳ありませんが質問させてください。
1、センチネルをしないという選択肢も教えていただきましたが、
それは全摘の病理検査でも
リンパ転移はわからないままということになりますか?
予後はリンパ転移と腫瘍径によるステージで決まるようですが、
センチネルを省略した場合私はステージは何になるのでしょうか?
腫瘍径2センチ以内でリンパ転移がなければ、ステージ1で、リンパ転移あれば腫瘍径に関わらずステージ2になるのですよね。
腫瘍径が小さくても、リンパ転移が4個以上だと抗がん剤とも見たのですが、
非浸潤予想から浸潤ありでいろいろ
悪い方に考えて焦ってしまいます。
(よくないのはわかってますが)
2、病変はあとどのくらい残っていそうですか?田澤先生にエコーして頂き最大病変はとれてそうな感じなのでしょうか?
しこりはありませんでしたか?
3、田澤先生は、石灰化でみつかる乳がんは遠隔転移の経験はないと言ってくださいましたが、
私はその他に血分泌と、田澤先生のエコーでは病変もわかると、おっしられましたが私の予後はどうですか?
お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
私は『自分自身の経験」で「自分のやり方」をアップデートしているので「前医で言われた事」と乖離してしまうことは仕方がありません。
1.「高齢者で画像上リンパ節転移を認めない」場合
2.外科的生検して浸潤径が数ミリだった場合
3.術前組織診で非浸潤癌であり、(画像診断で)矛盾しない場合
4.普通の大きさ(1cm以上)の浸潤癌だが、画像上リンパ節転移が無く、ご本人が「センチネルリンパ節生検をやりたくない」という意志が有る場合
現在、上記1~4では現在「センチネルリンパ節生検」を省略しています。(患者さんに、もちろん確認しての話です)
最初は(ガイドライン通り)「外科的生検で非浸潤癌と診断」されている以外には例外なく「センチネルリンパ節生検」していました。
ただ、多くの症例経験の中で「本当に必要か?」と考え(患者さんが望むのなら)「省略すべき」と現在では考えています。
♯そもそも、上記(1~3)では(過去の経験上)実際にセンチネルリンパ節生検を行っても「99%以上で陰性」であるし、(実際に省略した患者さんで)「腋窩リンパ節再発」した人も皆無なのです。
♯4については、患者さん自身の強い希望なので「定期的に腋窩をチェックして、
転移が疑われたら(その際には)きちんと腋窩郭清しますよ」という条件付きなので、「これはこれで、問題無」だと思っています。
♯ここで良く考えてほしいのですが…
そもそも「腋窩リンパ節に転移が無い場合」には、(転移無しと解り精神的に安心という利点はあるにしろ)「センチネルリンパ節生検は(結果として)無駄だった」ことには依存ないですね?
それでは「もしも腋窩リンパ節に転移があった場合」は、どうでしょう。
術中センチネルリンパ節生検をしていたら、「術中に(結果として)腋窩郭清した」ことになるし、
術中センチネルリンパ節生検を省略していたら、(経過観察していて)「後日、腋窩郭清する」ことになるでしょう。
○前者(術中に郭清する)と後者(術後経過観察中に、郭清する)の間に、違いがあるのでしょうか?
1年間も放置していたら、後者ではリンパ節転移が増加する(1個が2個、3個など)でしょうが、「3カ月毎に超音波」してチェックしていたら「殆ど変わらない」と思います。
●つまり、そもそも「腋窩リンパ節転移陽性の可能性が低い」場合には、「センチネルリンパ節生検そのものが95%無駄」に終わるのに対し、(万が一、残りの5%に入っていたとしても)「きちんと定期診察していれば、支障ない(術中センチネルリンパ節生検した場合と変わりない)」という考え方も成り立つのです。
「1、センチネルをしないという選択肢も教えていただきましたが、それは全摘の病理検査でもリンパ転移はわからないままということになりますか?」
⇒その通り、病理学的には確認できません。
「予後はリンパ転移と腫瘍径によるステージで決まるようですが、センチネルを省略した場合私はステージは何になるのでしょうか?」
⇒1期です。
pT1, cN0 (リンパ節は画像上転移無しとして取り扱ます)
♯これに対して(センチネルリンパ節生検などをして病理学的に転移無しと解っている場合には)pT1, pN0 となります。
pはpathological(病理学的)の略で、cはclinical(臨床的)の略です。「臨床的」とは具体的には画像診断です。
「病変はあとどのくらい残っていそうですか?」
⇒外科的生検しているのに(前医が)「もっと大きい浸潤径が有ると思う」とコメントしていることには(当然ながら)甚だ疑問です。
常識的に考えれば、「外科的生検の最大浸潤径 5mm」以上の病変が見つかる可能性は極めて低いと思います。
「田澤先生にエコーして頂き最大病変はとれてそうな感じなのでしょうか?」
⇒そう思います。
エコーで見えた所見は「石灰化らしき所見」であり、(もしもST-MMTしないなら)「自分なら、ここを狙ってMMTEをしただろう」という所見に過ぎません。
5mm以上の浸潤癌の所見は(当然ながら)ありません。
★そもそも前医では超音波で所見がはっきりせず、(それらしき部位を)バコラで狙って「病変なし」だったわけですよね?
其の程度の所見なのに(外科的生検後の乳腺に)「5mm以上の浸潤癌がありそう」などと考える事自体、「全くナンセンス」です。
「私はその他に血分泌と、田澤先生のエコーでは病変もわかると、おっしられましたが私の予後はどうですか?」
⇒診察時にお話しした通り…
このようなケース(画像上は石灰化のみ:エコーで腫瘍とは認識できない状況でpT1a程度の浸潤)では再発は殆どありません。(私の記憶をたどっても)
★病変は、拡がりはありますが「非浸潤癌が主体」です。「全摘」すれば「悩むような状況ではない」と率直に思います。
質問者様から 【質問4 非浸潤の疑いでしたが、浸潤性乳管癌】
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生こんにちわ。
2/9に田澤先生に全摘手術をしていただきます。
ID○○の○○です。
いろいろ不安があるので教えてください。
私は先生を絶対的に信頼してこちらに転院してきました。
ただ、とても心配症のため、小さい子ども達が自分がいなくなってしまったらと、何しろ遠隔転移が不安で、よくわからない質問内容だったら、
お許しくだい。。
1、浸潤5㎜というのは、切り上げか切り捨てかわからないと、前の病院で言われましたが、たとえば、5、4㎜だった場合も5㎜という記載になりますよね。
でも5㎜以上なら抗ガン剤適応ということになりますよね。
病理をもう一回、セカンドオピニオン?として江戸川病院でお願いできますか?
私の外科生検の検体はどこにあるのでしょうか。
2、1センチまでは、極端に再発率は少ないとみましたが(抗ガン剤は考慮するというレベルくらい)
それでも再発する人はいますよね。
その再発してる人は、もしオンコをしていたら高リスクの人なのですよね?
ならば、5㎜から10㎜の人もオンコはしておいたほうが、より安心ということになりますか?
3、私のは、オンコをしたら何リスクになりそうですか?
ER40、pgR陰性、ki-20から30
4、ki-は全摘出後にかわることもありますか?低くなるか高くなるか、わかりますか?
5、手術の傷はどのように、なんセンチくらいになるのですか?
術後の生活をイメージしておきたいのですが、術後すぐから、抱っこや買い物の荷物を右手(全摘は右で右利きです)でもったりはできるのでしょうか?
なにしろ、子のため、
遠隔転移を最大まで下げたいのです。
最初非浸潤といわれてましたが、そのときから再発防止が第一のため迷わず全摘出を決意していました。
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「病理をもう一回、セカンドオピニオン?として江戸川病院でお願いできますか?私の外科生検の検体はどこにあるのでしょうか。」
⇒それは可能です。
標本は「病院の病理室」もしくは(病理診断を外注:所謂outsourcing している場合には)「外注先の機関」に保存されています。
調べてみましたが、質問者は「前医の病院の病理での診断」となっていたので、おそらく前者と思います。
もしも本気でご希望ならば、秘書メールで申し込んでもらえば「予め、前医より標本を取りよせて、病理医に診てもらう」手続きもできます。
「2、1センチまでは、極端に再発率は少ないとみましたが(抗ガン剤は考慮するというレベルくらい)それでも再発する人はいますよね。」
⇒ご本人が想像しているよりは、「かなり少ない」ですよ。
「5㎜から10㎜の人もオンコはしておいたほうが、より安心ということになりますか?」
⇒それが、より安心だとは思います。
「3、私のは、オンコをしたら何リスクになりそうですか?ER40、pgR陰性、ki-20から30」
⇒今週のコラム101回目のグラフをご参照ください。(あのグラフ以上のことを私が推測することはできません)
・今週のコラム 101回目 (Ki67が20代はluminal Aの可能性が圧倒的に高く)本当に「Aなのか、Bなのか迷うのは30代以降」と言えるのです。
「低リスクとなる確率が2/3」くらいでしょう。
「4、ki-は全摘出後にかわることもありますか?低くなるか高くなるか、わかりますか?」
⇒最大浸潤径次第です。
(手術標本全体をみて)「外科的生検以上の最大浸潤径がなかった」場合には、前者で確定となります。
「5、手術の傷はどのように、なんセンチくらいになるのですか?」
⇒体格(乳腺の大きさ)によって変わりますが、「十数センチ、横の傷」となります。
「術後すぐから、抱っこや買い物の荷物を右手(全摘は右で右利きです)でもったりはできるのでしょうか?」
⇒勿論、制限はありません。
秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。
質問者様から 【質問5 非浸潤の疑いでしたが、浸潤性乳管癌】
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生こんにちわ。
○日に手術をしていただいた
ID○○の○○です。
手術から、まだ2日しかたっていないのに
傷は痛みもなく、手も上にあげられ
家族にも術後まもないのにもそんなよい状態であることに驚かれています。
入院期間が短いこと、ドレーンなどをぶらさげなくてもいいことによる
患者の負担の少なさには本当に実感しています。
精度の高い手術をしていただけたことで、心より感謝しています。
江戸川病院は
家から遠くなりますが、思いきって転院をして先生に巡り会えたことが、
不運にもこの病気になったなかでも、唯一の幸運だと思っております。
本当にありがとうございました。
手術を無事終えられたのだから、
心穏やかに過ごしたいのですが、
ほぼリンパ転移がないと言われてた中でのセンチネルへの微小転移がすごくショックです。
非浸潤から浸潤そしてセンチネル微小転移、確率の低い方ばかりに進み不安です。
そこで質問させてください、
1、私はセンチネル微小転移があったためpt1aの早期から一気に二期になってしまったということですよね?一期から二期になったぶん遠隔転移率があがったということですよね?でも微小転移は予後には影響しないというのも読みましたが、どう理解したらいいですか?
2、リンパ転移と血行転移は別ルートとわかっていますが、
リンパと血管は同じような位置にあるから、リンパ転移あると、血行転移もしやすいとなるのですか?小さな癌が移動しはじめてしまっていたという現実がこわいのです。
3、私の癌は浸潤径は小さくても、浸潤能?が高く厄介な癌だから、リンパにも転移してしまったのですか?
4、田澤先生は診断に苦慮する癌は再発、転移を心配しなくてもいい、全摘していまえば心配しなくてもいいとおっしゃってくれてましたが、今の私の状態(センチネル微小転移あり)では、だいぶお考えはかわってきますか?
再発高リスクになるのでしょうか?
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「1、私はセンチネル微小転移があったためpt1aの早期から一気に二期になってしまったということですよね?一期から二期になったぶん遠隔転移率があがったということですよね?でも微小転移は予後には影響しないというのも読みましたが、どう理解したらいいですか?」
⇒至極、当然の疑問であり「微小転移の有った方、全員に共通の疑問」と言えます。
ただ、答えは至極単純。
「微小転移」とは「センチネルリンパ節生検が一般化(ここ10年くらい)」してから見つかるようになったものと考えてください。(考え方としては「それ以前」からありましたが、現実に見つかるようになったのは間違いなく「センチネルリンパ節生検」が原因なのです)
それまでは「リンパ節は2分割して、転移の有無を検索するだけ」だったので、微小転移(特に、質問者のように0.4mmでは尚更)は見つからなかったのです。
つまり、2A期のリンパ節転移は「肉眼的転移が前提」となっており、2A期の予後は「肉眼的転移であった場合の予後」なのです。
★「微小転移は予後に影響しない」であれば、(微小転移はステージに影響させずに)1期とすればいいのでは?」とおっしゃるかもしれませんが…
微小転移の大きさにも幅「0.2mm~2mm」があるので、(微小転移の「大きさ」によっては)「病期分類の際に、微小転移を含めない」ことが本当に正しいのかどうか検証がなされていない。(予後の評価には「長期予後まで含めると」かなりの年数がかかる)そう理解していただくのが実情に近いところでしょう。
「2、リンパ転移と血行転移は別ルートとわかっていますが、リンパと血管は同じような位置にあるから、リンパ転移あると、血行転移もしやすいとなるのですか?」
⇒これは、良く考えてもらえば解るのですが…
リンパ節転移は(「腫瘍の大きさ」同様)あくまでも「統計学的に相関する」のです。
♯ これは「病気分類=予後を反映」が①「腫瘍の大きさ」と②「リンパ節転移の程度(有無も含む)」で決まることでからも解りますよね?
例)
pT1(腫瘍の大きさが2cm以下), pN0(リンパ節転移無), pStage1(ステージ1)
pT2(腫瘍の大きさが2cmより大きく5cm以下), pN0, pStage2A
pT1, pN1, pStage2A
つまり、予後(=遠隔転移のリスク)には(血行性転移とは直接の関係はない)①「腫瘍径」と②「リンパ節転移の有無」と相関している。(統計学的に、そのようなリスク因子となること)
②「リンパ節転移」が(直接の関係はないのに)「予後に影響=遠隔転移のリスクが統計学的に増える」していることは①「腫瘍の大きさ」と同様に、また事実なのです。
ただ、「腫瘍が大きくても遠隔転移には直接関係ないことはイメージしやすいのに対し)「リンパ節転移が、(血行性転移に)直接の関係がない」ことがイメージしずらい(リンパ節に転移すると、他の臓器に(直接)転移するようなイメージとなりやすい)
★以上より解釈すると…
「リンパ節転移(肉眼的転移)」は(直接ではないが、統計学的に)「遠隔転移」と相関するが、「リンパ節転移(微小転移)」は(直接的にも、統計学的にも)「遠隔転移とは相関しない」のです。
「3、私の癌は浸潤径は小さくても、浸潤能?が高く厄介な癌だから、リンパにも転移してしまったのですか?」
⇒無関係です。
たまたま「腋窩に近い」とか、たまたま「リンパ管に入り易い位置にあった」などの「たまたま(偶然)」と考えましょう。
「今の私の状態(センチネル微小転移あり)では、だいぶお考えはかわってきますか?再発高リスクになるのでしょうか?」
⇒無関係です。
良く考えてください。
「微小転移(しかも0.4mm!!」が予後に関係する事は絶対にありません。
ご安心を。
質問者様から 【質問6 非浸潤の疑いでしたが、浸潤性乳管癌】
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生こんばんわ。
術後すっかり普段の生活ができています。
本当に手術ありがとうございました。
前回の回答
「微小転移は統計学的に遠隔転移とは相関しない」
という回答ありがとうございました。
少し安心しました。
それをふまえて質問あるので、よろしくお願いします。
自分の病気を理解したいのです。
1、微小転移は遠隔転移とは相関しないというのは、どの腫瘍系(5㎜以下、10㎜以下)にたいしても同じですか?
2、1の続きになりますが、それは、サブタイプべつの治療をした上での話ですか?
3、浸潤5㎜、微小転移の標準的(NCCN)な術後治療は何ですか?
(ER40、pgR陰性、ki20から30、グレード2、微小転移)、それとともに田澤先生のお考えも教えてほしいです。
4、ホルモン陽性が低いので、染色性の問題でたまたま陽性だっただけで、術後の病理がトリプルネガティブになることもありますか?
5、4の続きになりますが、オンコタイプをした場合
すべてが陰性になることもありますか?
6、先生の経験的に、5㎜浸潤、微小転移(そもそも5㎜以下の癌がみつかるのは少ないかつ微小転移となると症例も少ないでしょうか)で、標準治療をした場合としない場合の10年無再発生存率はどのくらいですか?
7、他の方の質問で、センチネル0/3でした。
とかを見ることがありますが、
本当のセンチネルは1つなのですよね?
私はそこに微小転移があったのですか?
他のリンパにも転移があることはないのですか?
お忙しい中申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
「1、微小転移は遠隔転移とは相関しないというのは、どの腫瘍系(5㎜以下、10㎜以下)にたいしても同じですか?」
⇒その通りです。
「2、1の続きになりますが、それは、サブタイプべつの治療をした上での話ですか?」
⇒そんな細かいことではありません。
単純に「リンパ節転移なし」と「微小転移」では予後が一緒なのです。(治療をしても、しなくても)
「3、浸潤5㎜、微小転移の標準的(NCCN)な術後治療は何ですか?(ER40、pgR陰性、ki20から30、グレード2、微小転移)、それとともに田澤先生のお考えも教えてほしいです。」
⇒微小転移は無関係です。
浸潤径5mmならホルモン療法単独です。
「4、ホルモン陽性が低いので、染色性の問題でたまたま陽性だっただけで、術後の病理がトリプルネガティブになることもありますか?」
⇒ありません。(経験的に)
「5、4の続きになりますが、オンコタイプをした場合すべてが陰性になることもありますか?」
⇒ありまえせん。(経験的に)
「6、先生の経験的に、5㎜浸潤、微小転移(そもそも5㎜以下の癌がみつかるのは少ないかつ微小転移となると症例も少ないでしょうか)で、標準治療をした場合としない場合の10年無再発生存率はどのくらいですか?」
⇒質問者が思っている程再発率は一般的に高くはありません。
「標準治療をすれば」5%未満だと思います。
しない場合は… 2-3%は落ちるかもしれません。(この大きさで再発は滅多にないのです)
「本当のセンチネルは1つなのですよね?」
⇒その通りです。
「私はそこに微小転移があったのですか?」
⇒その通りです。
「他のリンパにも転移があることはないのですか?」
⇒勿論!
もう意味の無いことを考えるのは止めましょう。