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浸潤性乳管癌の今後の治療の流れに関しまして

[管理番号:3499]
性別:女性
年齢:32歳
初めまして。
この度妻が乳がんになってしまい、32歳でまだ若く子供も小学生2人と小さい事から精神的に追い詰められてパニックになってしまっており
私が少しでも出来ることはないかと思いまして明瞭な御回答わいただける田澤先生にお伺いできればと思いました。
経過と質問です。
2015年9月 地元の(関東)県○○市
○○にて
マンモグラフィーで特に気になる所はなし、エコーで右水があり、左に気になるところがあるが今の所問題ないでしょうとの事。
2015年12月 ○○市○○の乳腺外科
エコーは助手?の方にして頂いたが不安。
先生が触診、水が溜まっているだけとの判断。
今年2から3月 左にシコリ?かなと明らかに思えるものを感知、水ならばほっとけば無くなると言われていたが無くならなく、6月位に硬くて今の1/3位の大きさに。
横になった時にシコリとして出てくる。
今年8月(中旬)日 (関東)○○の○○病院 ○○院長と○○ドクター、対応はと
てもよくしていただけるのですが、私も同席していざ癌と聞いて何も質問ができなくなってしまいました。
明らかに硬く大きなってしまったので受診
触診、マンモ、エコー(先生)
悪性の疑いありという事で気になるからとここでは針生検 2本を直ぐやってもらえました。
今年8月(下旬)日 ○○病院
針生検の結果 浸潤性乳管癌。
分葉状33㎜
のと、あと小さいのが1つ。
血液(腫瘍マーカー?)、造影剤CT、エコー
で両リンパ、特に左リンパに気になるところあり、リンパの細胞診(針生検)を行う。
CTでは遠隔転移はなさそうとの事。
ただ、8ヶ月ほどで
癌になって大きくなってしまって本人も私もパニックです。
結果は下記でした。
組織学的に二本両方に腫瘍を認める。
核小体明瞭の類円形腫大核および
好酸性の胞体を有する異型細胞が胞巣を形成しており、明瞭な線腔構造を欠く。
上皮のニ相性は消失している。
以上はinvasive duct all
carcinoma、solid-tubular carcinomaに相当する。
核異型度スコア1、核
分裂像スコア1、核グレード1。
ER陰性、PgR陰性、Ki67 90%、HER2は来週の結果で。
HER2陽性かトリプルネガティブという事だと思われるのですが、主治医からは術前化学療法と、術後化学療法の2択を提案されました。
抗癌剤を先にやると半年以降に手術になりそうです。
(田澤先生が疑問視され
ている見えない癌を叩くに近い表現でした。)
来週のリンパとMRIの結果次第ですが、本人はここ2週間でどんどん大きくなってきてるようで痛い、全摘で良いから取りたいとの事なのでやはり手術可能ならば先に手術を行いたいと思っています。
触れたりしても痛くリンパもズキズキするとの事です。
今の段階でどの程度悪いのかもなかなか判断つかない状態です。
来週の8月(下旬)日
造影MRI、リンパと血液検査結果と治療の流れの決定。
ステージも決ま
るのでしょうか。
比較的早く9月中旬の手術予定としてくれているのですが、本人は進行が怖く1日も早い手術を望んでいるところです。
励ますにもどう励ませば本人が落ち着くかも私も思案しております。
少ない情報で申し訳ありませんがどちらのタイプかになった場合でも
手術が先の方が良いのか、これからどう対応していけば良いのかアドバイスをいただけませんでしょうか。
又もし結果や主治医の所で今後の流れが不明瞭や疑問を感じたら田澤先生の所にかかる事も可能でしょうか。
ご多忙の中、長くなりましたがどうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「8ヶ月ほどで癌になって大きくなってしまって本人も私もパニック」
⇒お気持ち、お察しします。
 ただし、この8カ月で新たに出たと考える必要はありません。
 昨年の時点であったのだとは思います。(小さかったとは思いますが)
「invasive ductal carcinoma、solid-tubular carcinomaに相当する。核異型度スコア1、核分裂像スコア1、核グレード1。ER陰性、PgR陰性、Ki67 90%、HER2は来週の結果」
⇒膨張性に増大する充実腺管癌の典型的な像と思います。
 急速に増大すると内部に壊死を生じることもあります。
 ただ、「核分裂像スコア1」と「Ki67=90%」には乖離があるようです。
「本人はここ2週間でどんどん大きくなってきてるよう」
⇒気持ちは解りますが…
 乳がんでは「そこまでの急速増殖は有りません」
 可能性としては以下となりますが、いずれ心配には及びません。
  ①組織診(針生検)による瘢痕による
  ②腫瘍が内部で壊死を起こした
「全摘で良いから取りたいとの事なのでやはり手術可能ならば先に手術を行いたいと思っています」
⇒当然手術先行でいいのです。
 全く「術前化学療法をする意義」はありません。
 それは「リンパ節が細胞診で転移と出ても」何ら関係ありません。(採血、腫瘍マーカーなど全く無意味です)
「どちらのタイプかになった場合でも手術が先の方が良いのか」
⇒その通りです。
 「トリプルネガティブにしても、HER2タイプにしても化学療法は必須」とはなります。
 しかし、『化学療法が必須≠術前に化学療法すべき』となります。
 ○「小さくして温存」以外に、術前化学療法を勧める理由は全くありません。(組織型がどうであろうと)
「これからどう対応していけば良いのかアドバイスをいただけませんでしょうか。」
⇒どのサブタイプにしろ、術前化学療法が絶対に効く保証は全くありません。
 万が一を考えれば(そして、小さくして温存という希望が無いのであれば)「確実に手術できる内に手術する」というのが安全です。
「又もし結果や主治医の所で今後の流れが不明瞭や疑問を感じたら田澤先生の所にかかる事も可能でしょうか。」
⇒勿論です。
「手術可能ならば先に手術を行いたいと思っています」
⇒どう考えても「手術不能」な状況ではありません。
 ご安心を。