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浸潤4ミリの際の治療について

[管理番号:5807]
性別:女性
年齢:45才
田澤先生、いつもQ&Aを拝見しています。
姉のことで教えていただきたく、何卒よろしくお願いします。
腫瘍6センチ、針生検非浸潤とのことで、左乳房の全摘をしました。
しかしながら、病理の結果、4ミリの浸潤がありました。
センチネルリンパ節生検は陰性でした。
主治医からは、抗HER2療法か、抗がん剤のどちらを希望するか、聞かれています。
詳しい数値がわからず、申し訳ないのですが、田澤先生でしたら、どのようにお考えになられますでしょうか。
主治医からは副作用が少ない分、抗HER2療法を勧められています。
本人がどうしても絶対に再発したくない、というならば抗がん剤も出来るが、そこまでしなくても良いのでは…とのことだそうです。
今までのQ&Aを見ていますと、5ミリ以下であれば無治療、というのが田澤先生のお考えかと思うのですが(認識違いでしたらすみません)、元の腫瘍の大きさに関係なく、あくまで浸潤の大きさで考えれば良いのでしょうか。
あと、4ミリの浸潤、センチネルリンパ節生検陰性という点から、予後についてお教えいただけますでしょうか。
詳しい数値があった方がより正確なお返事となるのでしょうか。
お忙しいのにすみません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「主治医からは、抗HER2療法か、抗がん剤のどちらを希望するか、聞かれています。」
⇒どうやら、主治医のいう「抗HER2療法」とは(本来の意味である)「HER+抗癌剤」ではなく「HER単独」のことのようですね。
 ☆HER単独はありえません。
  「無治療」か「(本物の)抗HER2療法(HER+抗癌剤)」のどちらかしか選択肢はありません。
「田澤先生でしたら、どのようにお考えになられますでしょうか。」
「5ミリ以下であれば無治療、というのが田澤先生のお考え」

⇒その通りです。
 5mm以下なので無治療です。
「主治医からは副作用が少ない分、抗HER2療法を勧められています。」
⇒主治医の言う(偽物の)「抗HER2療法(HER単独)」は決して行ってはいけません。(無意味)
「あと、4ミリの浸潤、センチネルリンパ節生検陰性という点から、予後についてお教えいただけますでしょうか。」
⇒この大きさで「再発の数字」など存在しません。
 再発を意識する必要は全くありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

浸潤4ミリの際の治療についての続き
性別:女性
年齢:45才
先日、浸潤4ミリの治療について質問した者です。
管理番号5807
すみませんが、また教えていただけますでしょうか。
まず、不十分かもしれませんが、主治医からいただいた情報です。
Ductal carcinoma in situ,comedo
type,associated with infiltrating
mammany carcinoma,no special
type,high grade、4×3mm
浸潤癌:乳頭腺管癌。
4×3mm
ER:陰性、PgR:陰性、Her-2:3+、Mib-1
index:30%
①病理は5ミリのスライスで行われたらしいのですが、腫瘍全体をスライスしたわけではなく、一部分しかやっていないそうなのですが、それが普通なのでしょうか。
スライスしていない部分に、もっと大きい浸潤癌があった、なんてことにはならないのでしょうか。
②5ミリにスライスして、それをどのように検査するのかわからないのですが、ちょうどその5ミリの中にもっと大きい浸潤癌が隠れているということはありえませんか?
以上2点から、4ミリの浸潤という結果が本当なのか、とても不安を感じます。
田澤先生のご意見を伺えますか?
③前回質問したように、主治医はハーセプチン単独の治療も考えています。
田澤先生にそれは無意味と教えていただいたので、主治医の考えを聞いたところ、ハーセプチンは、タンパクを攻撃し旗を立て、癌細胞を食べてしまう、と言われました。
姉は抗がん剤に対する恐怖があるため、そのような効果があるのなら…とその気になってしまっています。
いくら5ミリ以下は無治療とわかっていても、浸潤しているという事実から、再発転移が怖いのだと思います。
最終的に決めるのは姉本人なのですが、高いお金を出して無駄な治療をし、体を痛めつける…誰も得をしないと思うのです。
今一度、ハーセプチンという薬の効能といいますか、癌細胞に対してどのように働くのか、だから単独では効果がないのだということを教えていただけますか。
前回の質問の際、間違えて田澤先生にお伝えしてしまったのですが、主治医から提示されている選択肢は、A無治療 Bハーセプチン単独 Cハーセプチン+抗がん剤 だそうです。
主治医は、4ミリという大きさが微妙だと、Aで太鼓判を押すことができないのと、姉があまりにも再発への恐怖心を持っていることから、次回の近隣市の乳腺専門医が集まるカンファレンスに上げ、他のドクターの意見を聞いてくることもできる、と言っています。
(この対応からも、本当に4ミリで間違いないのか、不安になります。主治医は親切で?いってくれているのかもしれませんが。)
姉はそれを希望し、それから決めるようです。
お忙しい所申し訳ありませんが、4ミリの浸潤という結果の信憑性、ハーセプチンの働きについて、お聞かせ願えるでしょうか。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
どうも質問内容が前回と同じ様に思えますが…
「でも、主治医がこう言ったから。とか、ああ言ったけど。」みたいな再質問は控えるようにお願いします。(私が、それらの医師の言う事でコメントを変えることはありません)
「スライスしていない部分に、もっと大きい浸潤癌があった、なんてことにはならないのでしょうか。」
⇒そんなことを言っていたら、病理検査が成り立ちません。(人間のやる仕事には自ずと限界があります)
「ちょうどその5ミリの中にもっと大きい浸潤癌が隠れているということはありえませんか?」
⇒そんなことを疑っていたら、病理検査が成り立ちません(上記と同様の理由です)
「以上2点から、4ミリの浸潤という結果が本当なのか、とても不安」
「田澤先生のご意見を伺えますか?」

⇒病理結果を疑う根拠がありません。
「③前回質問したように、主治医はハーセプチン単独の治療」
⇒前回回答したように…
 それは「エビデンスがない」治療であり、決して行ってはいけないものです。(主治医が何と言おうと私の回答は一緒です)
「4ミリの浸潤という結果の信憑性、ハーセプチンの働きについて、お聞かせ願えるでしょうか。」
⇒「病理結果を疑うことはナンセンス」であり、「ハーセプチンは単独では使うべきではない」ということです。(其のカンファレンスでどのように決まろうと、私の回答に変更はありません)
 ハーセプチンに限らず、「理屈の上で、このように効く筈だから」という理由で治療をしてはいけません。(そのようなことになると「適応外診療が横行」して大変なことになります)
  治療とは(「理屈の上で効果がありそうだから」ではなく)「効果が証明されている(エビデンスがある)」から行うのです。